人との比較、盛りたい願望、やめたいのにやめられない…お悩み別“SNS疲れ解決法”

2023.3.5
人の投稿を見て気持ちが落ち込む、頻度の高いやりとりがしんどい、攻撃的な言葉に傷ついてしまった…。本来、楽しいはずのSNSなのに、使うことに嫌気が差してしまったという人が増加している模様。そこで、さまざまな疲れの解決法をレクチャー。

主体的に使うことでSNS疲れを撃退。

「SNS疲れ」という言葉が一般化するなど、SNSにまつわる悩みを抱える人は多いよう。なぜ、そうした問題が起こるのだろうか。

「SNSは個人の事情を無化しやすいツールです。それぞれに違う生活を送る人たちが画面の中で並列に表示され、本当は人それぞれ苦労もあると知っているはずなのに、一枚の写真を見ただけで“キラキラした人生を送っている”と思い込んで羨ましく感じるなど、認知の歪みが起こりやすくなります。また、現実とは異なるSNS内の時間感覚に従うため、たとえ夜であっても“すぐに返信をしなければ”などのプレッシャーも生まれやすく、結果、疲れを感じる人が多いのではないでしょうか。流れてくる情報をただ消費するのではなく、“自分は何のためにSNSを使っているのか”という目的を一度はっきりとさせ、自分の判断軸を持って主体的に使うことが大事になります」(心理カウンセラー・みきいちたろうさん)

「自分が投稿する際にも、リアクションを気にしすぎないことが大切です。この投稿はいいねやコメントをもらえるのか、投稿を見た人が自分を羨ましく見てくれるのかなどを考えてしまうと、期待通りの反応がもらえない時に辛くなります。SNSでのつながりがリアルで接している人間関係と近い人ほど投稿へのリアクションが気になりますが、“見る専”の人も多いため、いいねやコメントをしていなくても好意的に受け取っている人もいるはずです」(ITジャーナリスト・鈴木朋子さん)

SNSにまつわる疲れから解放されたいという思いから新しいムーブメントも生まれているという。

「アメリカを中心に、加工したり盛ったりしないリアルな姿をシェアするSNSが人気になっており、日本にも徐々に、その流れが到来しています」(鈴木さん)

2人の専門家が、SNSを気楽に楽しむためのマインドセット法や付き合い方をガイド。心地いい距離感を見つけよう。

お疲れタイプ別“お悩み解決法”

一口に“SNS疲れ”といっても、人との比較、盛りたい願望、言い争いなどのトラブル、やめたいのにやめられない…などタイプはさまざま。ここでは、なかでも悩んでいる人が多いという悩みをピックアップ。疲れの主な原因と、現状と距離のとり方などの解決法を紹介します。これを読んで、気楽で楽しいSNSライフを取り戻そう!

他者と比較して疲れる

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“みんなキラキラしていて自分がつまらなく感じる”“劣等感が刺激される”などが代表例。「多くの人がSNSにハレの日のことを投稿します」(鈴木さん)。「人は誰しも、最新のスマホを買えても服は買えないなど、何かしらトレードオフをしているもの。それを忘れてこうだと思い込むと疲れの原因になります」(みきさん)

【解決法】一枚の写真がすべてだと惑わされないことが大事。
「SNSは切り取られたもの、見せたい部分を見せるツールであることを改めて認識して」(鈴木さん)。「SNSの中では並列でも現実の人生はそれぞれに違い比較できません。ドキュメンタリー作品で山あり谷ありの人生を見てみては」(みきさん)

自分を良く見せたいと思って疲れる

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自分を良く見せたい気持ちが強く、反応を期待して無理をし、疲れるタイプ。「認められると嬉しくなりますが、頑張りすぎは禁物です」(鈴木さん)。「投稿へのリアクションが自分の評価だと感じ、固執して躍起になるのでは。ただ、人は本来、多面的で複雑なもの。写真へのリアクションだけで人の本質は測れません」(みきさん)

【解決法】盛らないSNSで気楽さを取り戻す。
「最近、アメリカの若者の間では、盛ることがダサい、リアルへ回帰しようという新しいムーブメントが起こっています。現実を分かち合うことをテーマとした、加工なしの写真を投稿するSNS『BeReal.』などを活用して意識を変えて」(鈴木さん)

頻繁なコミュニケーションが負担で疲れる

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すべての投稿に「いいね」をつけるなど、リアクションが負担という声も多い。「コミュニティから脱落したくないという“見捨てられ不安”が一因」(みきさん)。「職場などSNS以外にも関係性がある場合にプレッシャーを感じる人が多いよう。以前は“いいね”の数、今はリアクションに一喜一憂する人が増加中です」(鈴木さん)

【解決法】思い込みを捨てて自分軸でSNSを使う。
「見捨てられ不安の解消には、“他人はどうであれ自分は変わらない”という自信を持つ努力を。また、SNSの中と現実の時間軸は違うことを認識したり、“きちんとやらなきゃ”という思い込みを捨て、振り回されないことがカギです」(みきさん)

悪口や誹謗中傷に疲れる

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嫌なコメントがついたり、中傷を見て心が削られることも。「匿名性の高いTwitterはネガティブなことを言いやすく、特有のツッコミ文化もあり、巻き込まれる場合が。近年のコロナ禍など社会不安があると荒れやすくなるというデータもあります」(鈴木さん)。「他人への悪口も見ると共感し、影響を受けます」(みきさん)

【解決法】非表示やミュートなど機能を活用して防御を。
「攻撃的なアカウントには、非表示やミュート機能で対応を。おすすめの投稿にネガティブな内容が上がる場合も非表示に。あまりにもひどいコメントは、できる限り運営に報告して。警察への相談用にスクショを撮ることも大事です」(鈴木さん)

SNSをやめたいのにやめられなくて疲れる

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疲れを理由にいったんSNSを離れようとするも、つい手に取ってしまうという人も多数。「SNSに依存している状態といえます」(みきさん)。「“新しい情報に乗り遅れたくない”“コミュニティにちゃんと参加している気持ちが欲しい”などと思っている人に見られがち。デジタルデトックスに失敗する人は多いです」(鈴木さん)

【解決法】SNSの優先度の見直し&アイコン削除で対策を
「生活におけるSNSの優先順位の見直しを。案外大したことないと気づける可能性が高いです」(みきさん)。「アカウントを消すのは大変なので、ホーム画面のアイコンを消してアクセスしづらくしましょう。通知を切るのも有効」(鈴木さん)

みきいちたろうさん 心理カウンセラー、公認心理師。トラウマ、愛着障害のケアを専門にカウンセリングを行う。著書に『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー携書)、『プロカウンセラーが教える 他人の言葉をスルーする技術』(フォレスト出版)。

鈴木朋子さん ITジャーナリスト、スマホ安全アドバイザー。SNSのトレンドや安全な使い方について執筆、講演を行う。メディア出演も多数。著書に『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など。

※『anan』2023年3月8日号より。イラスト・伊藤ハムスター 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)