“音が聞こえてくる漫画”とも評される、ジャズをテーマにした同名大ヒットコミック『BLUE GIANT』がついに映像化。豪華な声のキャストも話題で、主人公・宮本大を山田裕貴さん、ピアニストの沢辺雪祈を間宮祥太朗さん、大の同級生でドラム担当の玉田俊二を岡山天音さんが演じる。役との向き合い方やアフレコ時のエピソード、お互いの魅力を3人でトーク!
山田裕貴:大がサックスプレイヤーになると決めた時、僕はもっとあっけらかんと「なる」と言うんじゃないかと思っていたんですが、アフレコで映像を見た時に、本当に天然で“自分のことを信じられる強さ”を持っている人なんだと思ったんです。その“本当に思っている”感じが出せたら大らしさに近づくし、大きなことを成し遂げる可能性を感じさせないと成立しない役だなって。
間宮祥太朗:俺が演じる雪祈は身長が185cmくらいあって、自分より体がでかくて。体と声質って関係があるから、もっと野太い声だろうと考えて、できる限り下の音で響くような声にしたいと思っていたんだけど。
山田:いや、めっちゃぴったりだなと思った。
間宮:…なんでアフレコの時に言ってくれないの(笑)。
山田:自分のことでいっぱいいっぱいだったからかな(笑)。
岡山天音:玉田は混じり気のないところから大を見つめ、ストレートに変化していく人物。漫画を読んで読者に近い存在だと思ったので、大と映画を観に来た人の架け橋的な役割を担えたらと。マジョリティの人が共感しやすい役というか。
間宮:声の芝居って普段の芝居の時のリズムよりワンテンポどころかツーテンポくらい早くセリフを出さないといけなくて。掛け合いのシーンでは、相手のアクションを受け、一度自分の中に入れてからリアクションを出すというテンポだと遅いし、本当に難しかった。
岡山:セリフを言うタイミングや、どういう表情から発せられた音なのかということも決まっているしね。実写では、制約はあるけれど、自分の感覚や生理から出てきたものをはめ込み、編集でコントロールしてもらうという道のり。でも、アニメだと逆で。映像に自分を沿わせていくのは実写と似て非なるものどころではなく、全然違う媒体だと思った。
山田:難しいよね。声の作品を一本通してやらせてもらう経験が初めてだったけど、以前、声優さんに「声優さんの演技を聞いていると自分の声には違和感しかない」という話をしたら、「一本通してやると変わると思う」と言われたことがあって。
岡山:そうなんだ。
山田:合格点や及第点が取れたとかではないし、正解が叩き出せた感覚もないけど、それが今回、ちょっとわかったかもしれないなとは思った。作品を一本通して役を生きたという経験は大きいなって。でも、日に日に“掴んできたな”という感覚が3人の中に生まれなかった?
岡山:え! …うん。
山田:あ、違うみたい(笑)。
間宮:多分、俺はそのくらいの時に、ようやくセリフを言うタイミングに慣れてきた頃だと思う。
岡山:一番最初のテストみたいな時、雪祈が話している絵に、「これしゃべっていいの?」という間宮くんの声が入っていたのを覚えてる。
間宮:あはは(笑)。
岡山:でも、そこからがすごかった。僕が出ていない場面で雪祈の声を聞いて隠れ泣きしたこともあったし、はたから見ると短期間でスキルアップしてて。声を選択するセンスとか、力を注ぐバランスとか、間宮くんの芝居はシュッとしてる。僕はそういうことができないから、すごいな、違う星の下に生まれた人だなって。
間宮:そういう天音は、前から思っていたけど本当にストイック。俺がアフレコに慣れていない頃、すでに表情の分析に入っていて。監督にも「すごく研究されてきていますね」と言われていたでしょ。
山田:言われてた!
間宮:だから、声のお芝居を何度も経験しているんだ、なんだよ~って思ってたけど、違ってた。
山田:これまでの作品を見て器用な人だと思っていたけど、努力で生まれている芝居なんだって。アフレコの時、僕は台本が真っ白なんだけど。
間宮:俺も。
山田:天音くんの台本は書き込みがすごいの。マーカーも引いてあるし付箋も貼ってあって、俺、すごく恥ずかしくなって。さっき、天音くんは玉田のことを「共感できる人」と言っていたけど、天音くん自身が持っている性質がそのまま玉田に乗ったことで生まれた素直な声は、本当に共感性が高くて。みんなのために怒っている時は胸がクッとなるし、橋の上で泣いている時は「玉田…」と胸がつまったもん。
岡山:でも、山田さんの、ある種狂気にも似たクオリティへの欲は本当にすごかった。「もう一回、もう一回」と、大という人物像になんとか触れようとする姿が、それこそ、大と重なるなって思った。
山田:狂気感じてたの? 俺に(笑)。
間宮:そういうところあるよね。
岡山:「ダメだったら呼んでください! 夜中でも空いてるんで!」って監督に言ってて。それは空いてるんじゃなくて、寝る時間だよって思ったけど(笑)。でも、それって大だなぁって。
山田:そんなふうに見えてたんだ。でも、なんか嬉しいな。
映画『BLUE GIANT』 ジャズの魅力にとりつかれた高校生の宮本大が世界一のジャズプレイヤーを目指す物語。シリーズ累計920万部を突破した石塚真一の人気コミック『BLUE GIANT』をアニメーション映画化したもので、ピアニストの上原ひろみが音楽を担当したことでも大きな話題を呼んでいる。2/17~全国の映画館で公開される。
(写真中央)やまだ・ゆうき 1990年9月18日生まれ、愛知県出身。NHK大河ドラマ『どうする家康』に本多忠勝役で、フジテレビ『女神の教室~リーガル青春白書~』に藍井仁役で出演中。『山田裕貴のオールナイトニッポンX(クロス)』(ニッポン放送)が毎週月曜24時~放送中。
パンツ¥80,300(シーエフシーエル cfcl.jp) ブレスレット¥66,000(ブランイリス/ブランイリストーキョー TEL:03・6434・0210) その他はスタイリスト私物
(写真右)まみや・しょうたろう 1993年6月11日生まれ、神奈川県出身。出演する映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』の『‐運命‐』が4月21日、『‐決戦‐』が6月30日に公開予定。映画『破戒』、ドラマ『ナンバMG5』など主演作も話題に。
デニムジャケット¥52,800 デニムパンツ¥31,900(共にアポクリファ/サカス ピーアール TEL:03・6447・2762) シャツ¥25,300(ミューズ/ミューズギャラリー TEL:03・6416・4217) その他はスタイリスト私物
(写真左)おかやま・あまね 1994年6月17日生まれ、東京都出身。2022年は映画『キングダム2 遥かなる大地へ』『さかなのこ』『百花』『沈黙のパレード』『あの娘は知らない』に出演。NHKドラマ10『大奥』が放送中。公開待機作に主演映画『笑いのカイブツ』など。
シャツ¥30,800(メアグラーティア/ティーニーランチ TEL:03・6812・9341) ロングコート¥176,000(セブン バイ セブン) パンツ¥33,000(アタッチメント) 共にサカス ピーアール その他はスタイリスト私物
※『anan』2023年2月22日号より。写真・平野一穂 スタイリスト・森田晃嘉(山田さん) 津野真吾(impiger/間宮さん) 岡村春輝(岡山さん) 取材、文・重信 綾 撮影協力・TITLES
(by anan編集部)