「僕はそもそも自分が前に出る仕事をしようという意識があまりなくて、プロデュースや楽曲提供がやりたかった人。なのでコラボに関しても『自分だったらこの人にこういう曲を歌ってもらいたい』というプロデューサー的な気持ちから始まっていることが多いです。ミュージシャン同士で仲良くなって『なんか一緒にやろうぜ』みたいに始まったことはほとんどないですね、僕は友達が少ないので(笑)」
しかし昨年は石田ゆり子さんの音楽活動プロジェクト・lilyの作品をプロデュースするなど多方面からラブコールが絶えない。今作では過去のコラボ曲たちもリマスター収録されているが、斉藤和義さん、布袋寅泰さん、秦基博さん、上白石萌音さん、矢野顕子さん、BONNIE PINKさんら錚々たる顔ぶれ。
「やっぱり矢野顕子さんとコラボできたのは特に大きな経験でした。矢野さんが先に歌詞を書いてくださって、僕が曲をつけるという、普段はやらないやり方だったんですけど。大尊敬する方ですから、絶対に歴史に残る名曲にしなきゃいけないという、プレッシャーがありました。ご本人に『本当にいい曲ができたわね』って言ってもらえてよかったですね」
更にkojikojiさん、JQ from Nulbarichさん、りりあ。さん、Kenta Dedachiさんとコラボした新曲も収録された。SNSやテレビで「いい声」と出合うこともあるという。
「りりあ。さんはTikTokで初めて耳にしたときに『何じゃこの声は!』と思いましたね(笑)。テレビでの生歌唱も見たんですけど、完成度の高い不思議な魅力を感じました。切ないバラードを歌うイメージが強いので、リズム感が強めの曲だったらどうなるだろうってことで今回『アーモンド feat. りりあ。』を作ったんですけど。やっぱりカッコよくハマりましたね」
アーティストの魅力を引き出し、自身のセンスを発揮する珠玉のコラボアルバムはまさに大橋トリオさんの真骨頂。この15年を「ありがたい音楽人生だなと思います」と振り返る。キャリアを重ねても音楽への情熱はとどまることがない。
「これからもいろんな方とコラボしたいので、どんどん声をかけてもらいたいですね。こんな曲を作ってほしいというオファーにも極力応えていきたいなと思っています」
そのモチベーションは、郊外にある音楽制作のためのプライベートスタジオにもあるようだ。
「最近は自分でドラム録音するのにハマって、音もどんどん良くなってきています。使ったことのないタイプのアコギを導入したりすると音楽性の変化も楽しめるし、そういうことが制作に対するモチベーションにも繋がります。スタジオは田舎の一軒家なので、虫の駆除や庭の手入れとかも大変なんですけどね(笑)」
コラボベストアルバム『ohashiTrio collaboration best ‐off White‐』。全12曲収録。【初回生産限定盤・紙ジャケット仕様(CD+DVD/BD)】¥6,160 【初回盤・紙ジャケット仕様(CD)】¥3,410(エイベックス)
おおはしとりお 2007年にデビューし、卓越した音楽センスで多方面から支持を得る。ドラマやCM・映画音楽の作家としても活動。1月21日から放送のNHK 土曜ドラマ『探偵ロマンス』の音楽・主題歌を担当。
衣装提供・ROGGYKEI TEL:0771・88・0022
※『anan』2023年1月18日号より。写真・角田 航(TRIVAL) ヘア&メイク・本條愛奈 取材、文・上野三樹
(by anan編集部)