「描く最初の時点で、マダムたちはルームシェアしていることに決めました。ルームシェアなら、朝も夜も気軽に一緒に行動できそうですし、シチュエーションの選択肢が広がるかもしれないなと思ったのもあります。3人とも最低限のキャラクター設定しか決めずにスタートしましたが、どこへ行く、何をする、と決めて描き始めると3人が自由に動いてくれます。回が進むうちにだんだんと、それぞれの性格やしぐさ、好きなものが固まっていきました」
海外コミックを彷彿させる、魅力的なタッチ。3人がみなおしゃれなのも憧れポイントだ。
「ステキだと思ったファッションの画像やお店のディスプレイなどを撮影しておいたり、街で見かけた人ならポイントをメモしておいたり。体型も着こなしも好みも三者三様に違うことが伝わるよう、首の長さや手の形、くびれの位置などもすべて描き分けています。着こなしでは、沙苗さんはあまりトップスをインしないし、栞さんは服の色と形に、晴子さんはシルエットに、それぞれのこだわりを出しています」
美術館巡り、年越しの買い出し、パジャマパーティなど、楽しげなイベントが続く。
「『チョコを交換するマダムたち』の回は、私の誕生日にカカオ100%のチョコレートをプレゼントしてもらった経験をそのまま使いました。基本的には、私が楽しそう、やってみたいと思うことから考えます。家族や友人との会話もヒントに」
いくつになっても女同士は楽しくなくちゃ! と思う半面、彼女たちのように長い友情を育むのは容易ではない。そのために大切なこととは。
「難しい質問ですね。私と友人たちの場合で言えば、ちょうどいい距離を保つことや、ステキだと思ったら素直に口に出して褒めることでしょうか。また、“面倒くさがらない”ことも大切かなと思います。面倒くさがると、気遣いや約束事などに対して、結果的に相手を雑に扱ってしまう気がするので。もし足りなかったかなと思ったら、埋め合わせをすることも大切ですよね」
これからも、粋なマダムたちの暮らしぶりを見ていたい!
『マダムたちのルームシェア』 Extra EpisodeやSpecial Episode、Illustration Galleryなど40ページを超える描き下ろしが付き大充実。3人でルームシェアを始める経緯も明かされる。KADOKAWA 1210円 ©seko koseko
seko koseko(せこ・こせこ) イラストレーター、マンガ家。絵を描くのが好きで一念発起で始めた自主制作が現在の仕事に結びつく。本書が初の単行本化。
※『anan』2022年10月19日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子
(by anan編集部)