「すべての人が、自分を認め、自分らしく生きて、明日が楽しみになるような人生のお手伝いがしたい」と、2020年にコスメティックブランド『rihka(リーカ)』を立ち上げた未来さん。ご自身もSNSなどで毎日をご機嫌に過ごす姿を公開し、ご自愛上手なイメージがある。
「ご自愛って、何かスペシャルなことのように思えるかもしれませんが、生きていく上で自分を愛し、大切にすることは当たり前のことだと思っています。ご自愛=贅沢ではなく、毎日を心身ともに健やかに暮らしていくために欠かせないこと。仕事のプレッシャーで不安に駆られる日もあれば、人間関係などの外的要因の影響でモヤモヤする日もある。特に女性は月経周期やホルモンバランスの変化が心身に様々な不調を招くこともあり、生きていると自分ではどうすることもできないことがたくさん起こります。つまずかずにスムーズに人生を歩ける人なんてこの世にいない。とはいえ、できるだけそれらに振り回されずに生きていきたいですよね。そのためにも自分の取り扱い方を知り、ケアして調整していくことが自分らしく生きていく上で大切な気がします」
長く快適に使い続けるために車のメンテナンスをするように、自分自身のケアも必要。しかし車と違い、自分の心や体を取り換えることはできない。
「一生付き合っていくものだからこそ、日々いたわってあげないといけません。そのために自分の心に耳を傾け、体の声を聞くことを習慣づけて、24時間ご自愛の精神を持ち、心身の健やかさを保っていくことが、長い人生を楽しく生きていく秘訣だと思います」
未来さん流のご自愛ルールについて聞いてみると、意外なことに毎日きっちりと決めたルーティンはひとつも持っていないそう。
「ルーティンを持つことで心が安定する人もいるので一概には言えませんが、私の場合、ルーティンを持たないほうがワクワクして楽しいと思っています。だからご自愛の方法も、形だけの気分転換っぽいことではなく、心から気持ちをリセットできるものをいくつか持っておくようにしています。たとえばストレスが溜まると、ついつい暴飲暴食や爆買いに走ってしまい、後々虚しい気持ちになりますよね。その時は確かに気分がすっきりするかもしれないけれど、それだと体にもお財布にも優しくないんじゃないかなって。一時的な快楽でお金を使う癖がつくとキリがなくなってしまうだけでなく、本当にそれが必要なことなのか自分の気持ちもわからなくなることも。だからご自愛の仕方も選択肢を幅広く持っておき、その時の状況や気分に合わせてチョイスできるようにしています」
何か嫌なことがあった時、心境や状況をまるっと変えることはなかなか難しい。だったら今よりちょっとだけでも気分が良くなるようなご自愛方法を持っておくと、忙しい時でも無理せず実践できるので、いつも自分らしくいられる。
「そのためにも今の自分に興味を持ち、気持ちに寄り添うこと。そうすれば自分の考えや選択に少しずつ自信が持てるようになるだけでなく、人生をクリエイションすること自体が楽しくなり、変化を恐れずに生きていける気がします。たとえ何かにつまずいたとしても常に自分を大切にする気持ちを持っていれば、切り替えも上手になる。自分の心に余裕が生まれると、自分の周りにいてくれる人たちのことを前よりもっと愛することができるようになるだけでなく、自分のことがもっと好きになれるのではないでしょうか」
1、誕生日には気に入っているホテルのスパを受ける。
年1度の大切な日は、改めてどんな私でありたいか、考え直す時間にあてる。「数多くの選択肢があるスパのメニューから自分が受けるものを選ぶ時、今の自分には何が必要なのかを考える時間にもなります。肉体的に疲れているから力強くほぐしてほしいのか、心の疲れを取るのがメインなのか、それとも心身に何かを足すのではなくデトックスが必要なのか…。深く自分と向き合うことで、『今、私はこういう方向に向かいたいんだ』というのも見えてくるんです」
2、誕生日と一年の締めくくりにランジェリーを自分にプレゼント。
大人になり、見えない部分がいかに大切か気づくようになったそう。「まっさらなランジェリーを購入すると、新鮮な気持ちになれるし、背筋がしゃんと伸びます。見えない部分を大切にすることは、とても大切だと感じていて。傍からパッと見てもわからなくても、何か伝わるものがあると思うんです。これはランジェリーだけでなく、行動などにも当てはまることなのかなと考えています」
3、爪の手入れに力を入れる。
「素の爪が綺麗な方って素敵だな、いつかそんな大人になりたいなと20代の時に思っていました。そして今、『せっかくならそんな大人に近づけるよう一歩踏み出してみよう!』と、素の爪の手入れをしてくれるネイルサロンに伺うようになりました。体の中では小さなパーツですが、爪のお手入れをすると全身が磨かれた気がします。またサンダルの季節以外もフットネイルをしておくと、ふとした瞬間に足元を見た時にお気に入りのカラーがキレイに塗られていて、心が落ち着きます」
4、今後の効率がアップする便利家電を揃えていく。
「おうち時間が増えたこともあり、長くいる空間は快適な環境を整えたいという思いが強くなりました」。そこで清潔感を保つために、ロボット掃除機など便利でスタイリッシュな家電を導入。「便利家電を利用することで家事を効率化できるだけでなく、捻出した時間に愛猫とゴロゴロしたり、忙しい毎日にメリハリをつけています」
5、寝具には徹底的にこだわる。
人生の3分の1を占める睡眠。睡眠の質を高めるためにクリーンな寝具は欠かせない。ベッドやマットレス、枕など、自分の体に合ったものをチョイスしている。「さらにシーツはこまめに、枕カバー、パジャマなど、直接肌に触れるものは毎日洗濯して清潔感をキープ。寝室には余計なものを持ち込まず、寝ることに集中する空間を整えるようになってから、以前より疲れが取れやすくなったし、眠ることが楽しみになりました!」
6、デザートや惣菜を選ぶ気持ちでちょっと高価なフルーツや野菜を買う。
高価なフルーツや野菜を買うのは少し勇気がいるが、驚くほど美味しかったり、栄養価が高かったり、価格に見合った価値がある。「都会で一人暮らしを始めてから、フルーツが高価に感じてなかなか手が伸びなかったんです。スイーツならそれと同じ価格のものでも手に取りやすいのに…。それに気づいてから、高価なフルーツや野菜を買うときでも、フィルターはなくして、もっと気軽に自分の体が喜ぶものを優先して選ぶようにしています」
7、カフェインは、早い時間帯に摂取。
カフェインは、摂る時間帯を制限している。「カフェインの作用は体質によるらしいのですが、私の場合、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなるリスクを少しでも減らしたいので、午前中か遅くともランチ後までと決めています」
8、仕事終わりにワインを1杯飲む。
ワインを飲むことが、仕事とプライベートの上手な切り替えスイッチになっている。「アルコールに強いわけではありませんが、ワインを1杯飲むとリラックスできるんです。ずるずると仕事を引きずることもなく、オフのスイッチを一瞬で入れることができるので、よりプライベート時間を満喫できるようになりました」
9、外食では、その時食べたいと思ったものを気にせずに食べる!
自炊では基本的に白米フリー、シュガーフリー、グルテンフリー、ペスカタリアンを意識しているが、外食は食べたいものを好きなだけ主義を貫く。「食事のコントロールは大切ですが、外食時はあまり気にせず、その時の気分に従って食べたいものを選択。でも基本的に、お腹を満たすためだけの食事はしないと心に誓っています」
松田未来さん まつだ・みらい 兵庫県出身。ヘアメイクアップアーティスト、コスメティックブランド『rihka』のブランドディレクター。ほかにもラジオパーソナリティなど、幅広いシーンで活躍中。著書に『私が私らしく生きる美学』(双葉社)。
※『anan』2022年10月12日号より。イラスト・chii yasui
<注釈>
2318号本誌記事に関し、校正確認において行き違いがあり表現やニュアンスが未来さんの意図するものと違った部分があったため、再編集したものをこちらにアップしました。
(by anan編集部)