「面白いドラマがあるよー!」ってみなさんに言いたい(笑)。
「これまで、松尾さんとの共演経験はなかったのですが、以前一度だけ、飲みの席でお話しさせていただいたことがあって。あとあと聞いたら『僕の役を太賀くんにやってほしいんだ』とその時から言ってくれていたみたいです。僕、酔っ払っていて、何も覚えていなかったんですが…(笑)。正式にお話をいただき、原作を読ませていただいたら、俳優のサクセスストーリーというわけでもなく、個性的な人生を描きつつも、途中から思わぬ話に転調していくのがとても面白いと思いました」
現在の風貌は、すっかりいつもの仲野さんだが、撮影期間中は体重を12~13kg増量させて挑んだという。
「自伝的エッセイでも、松尾さんのモノマネをするつもりは全くなくて。諭はどこか憎めない、周りから愛されるキャラクターで、なおかつコミカルな雰囲気が必要だと思ったので、クランクインの前からひたすら食べて、筋トレをして体を大きくしました。物語は、全編通してユーモアあふれるシーンもあれば、演じている僕ですら思わずうるっとくるシーンもあって、その度にこのホンの面白さを実感していました」
草彅剛さん、伊藤沙莉さん、薬師丸ひろ子さんはじめ、要潤さん、北村有起哉さん、風間杜夫さん、井川遥さんなど、豪華な俳優が次々登場するのも見どころのひとつ。
「僕が出ていないシーンはほとんどないのですが、職場、家族や友達といる時などいろんなシチュエーションがあるなかで、どの扉を開いても素敵な役者さんばかりが出てくるので、頼もしかったですね。なかでも印象深かったのが、初共演の草彅さん。僕が子供の頃から、ずっとその活躍を見てきたし、近年の出演作を見ても、素敵なお芝居をされていて尊敬していました。実際にお会いしてみると、現場に草彅さんが入ってきただけで見事に空気が変わり、パッと瞬間的に華やかになる一方で、目が離せないほどグッと引き込まれることもあって。その底知れぬ人間性には圧倒されましたね。僕の俳優人生は、作家さんや監督さん、スタッフさん、俳優さんなど、とにかく人に恵まれてきたし、自慢できる幸せな出会いばかりだったのですが、草彅さんとの出会いもその一つになりました。そして、完成作を見た松尾さんからは『めちゃくちゃ面白かった!』と言っていただき、ホッとしています。だから読者のみなさんにも言いたい。『面白いドラマがあるよー!』って(笑)」
『拾われた男 LOST MAN FOUND』 俳優を夢見て上京した松戸諭。自販機の下に落ちていた航空券を拾ったことで、人生が転がり始める…。全10話。毎週日曜22:00~、NHK BSプレミアムで放送中。また、「ディズニープラス」の「スター」で見放題独占配信中。
なかの・たいが 1993年2月7日生まれ、東京都出身。放送中のドラマ『初恋の悪魔』(日テレ系)に出演。朗読を務めた『神の子どもたちはみな踊る』(Audible)が配信中。出演映画『ある男』は今秋公開予定。
ラグビーシャツ¥50,600(コモリ/ワグ インク TEL:03・5791・1501) パンツ¥49,500(08サーカス/08ブック TEL:03・5329・0801) Tシャツはスタイリスト私物
※『anan』2022年8月17‐24日合併号より。写真・小川久志 スタイリスト・石井大介 ヘア&メイク・高橋将暉 インタビュー、文・若山あや
(by anan編集部)