両手を握り合い、肘だけ動かせる? あなたの“骨格の歪み”をチェック

2022.5.25
普段、骨を意識することはありますか? ラクだと思う姿勢、動作のクセ、そんな日々の習慣が実は骨に負担となり、“骨格の歪み”を起こしているかも。

200個余りの骨が関節などでつながって成り立つ骨格。姿勢や動作を支える基盤で、本来カラダをうまく動かせるよう作られているのに、使いきれていない人が多い、と話すのは身体教育家の林久仁則さん。

「普段、カラダの外側の筋肉だけを意識して使ってしまう人が多いので、一番深層にある骨を動かす意識が失われています」

また、骨を本来の機能通りに動かしていないことでズレも生じる。

「骨はニュートラルから、反る・曲げると動きますが、普段この動きをしていないと可動域が狭くなり、ラクだと感じるニュートラルの位置もずれてきてしまうのです」(理学療法士・山下翔平さん)

そして、運動不足の結果、起きているのが“局所疲労”だという。

「座りっぱなしや猫背といった長年の悪い姿勢の影響で、使いすぎの筋肉と使っていない筋肉の差が激しい人が増えています。アンバランスなカラダの使い方は骨格も歪ませてしまいます」(山下さん)

でも、骨から動かす意識を持てば歪みはリセットできる、と2人。そして骨が本来の位置に戻れば疲れにくいカラダが手に入るという。

「そもそもカラダのコリとは、部分的に力みすぎている状態。筋肉の緊張がほぐれ、骨が動くようになると、カラダ全体の動きが変わってきます。骨は立ち戻る基準。頼りになる自分のカラダを取り戻しましょう」(林さん)

骨格リセットを始めよう!

骨格リセットをより効果的に行うため、2人のカラダのプロがポイントを伝授。今の自分は骨を使った動きができているのか、どこが歪んでいるのかをしっかりチェック。骨格のポテンシャルを最大限生かしきろう。

骨から動かす意識を持ち、理想のカラダに変身。

骨が本来あるべき場所に戻れば、カラダは動かしやすくなり、眠っていた筋肉が目覚め、メリハリあるボディラインが手に入る。

「自分が思うラクな姿勢が、実は骨格のバランスを崩し、疲れを助長させている可能性も大きいのです。まずは骨それぞれの正しい場所と役割を知ると、歪みのリセットも効果的に行えます」(林さん)

リセットする際は、筋肉のこわばりをしっかりほぐすことが大事。

「使っていなかった硬い筋肉をほぐして緩まれば、最適な骨の配列を取り戻せて、骨や筋肉を動かしやすくなるからです」(林さん)

早速、自分が今どれだけ骨を使えるのかを下記でチェックし、BODY MAPで、骨格の要の背骨、肩甲骨、骨盤、距骨に歪みが生じてないか把握して。

STEP 1
骨の位置や役割を知ろう!

「正しい骨格の位置について無意識な人が多いですが、意識的になるだけでもカラダの使い方は変わります」(山下さん)。使い方が変われば、カラダも変わる。「骨と骨の関係性、骨と関節の関係性を理解し、本来あるべき位置に戻しましょう」(林さん)

STEP 2
筋肉をほぐし、部分的に骨を動かせるか挑戦!

「骨を独立して動かせるようになると、筋肉のこわばりがほぐれて、最終的には、姿勢やカラダの使い方まで微調整できるように。これが全身にいい影響を与えるんです」(林さん)。骨を細かな部位で動かせるか、下記の2つでまずチェックしてみよう。

両手を握り合い、肘だけを動かせる?

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肘と手首の関節の間には、橈骨(とうこつ)と尺骨という2本の骨がある。腕を前に出して両手を握り合い、肘だけを回転できれば、2本の骨をうまく動かせている証拠。

骨盤を、前にも後ろにも動かせる?

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骨盤だけスムーズに動かせるか確認。骨盤の下、背骨の一番下にある尾骨を前に少し巻き込んだり、少しだけ反らして骨盤を動かす。その際、背骨が曲がったらNG。

BODY MAP

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肩甲骨

「骨盤同様、大きな動きを支える大切な骨。姿勢や動きを整える時にも重要な役割を担います」(林さん)。「上半身や腕の動きにも大きく影響。猫背などで固まりやすい場所」(山下さん)

耳と肩のラインが横から見た時に一直線になっている。
猫背の人は、横から見ると耳と肩のラインが一直線にならない。また、正面から見て左右の肩の高さがずれている場合も肩甲骨が歪んでいる。

背骨

「椎骨が合計24個連なっているのが背骨。柔軟に動かせることが大切」(林さん)。「前かがみの姿勢が多く、重い頭を支え続けなければいけない現代は、背骨への負担が過剰」(山下さん)

胸骨と恥骨のラインが横から見た時に一直線になっている。
鎖骨下の胸骨(胸中央の骨)に片手を置き、もう一方の手を恥骨に置く。全身を横から見て、手の位置が同一線上になければ歪みのサイン。

骨盤

「背骨と脚をつなぎ、全身を動かすエンジンのような役割」(山下さん)。「上半身と下半身の中継点で、カラダの動きの中枢。背骨、骨盤、股関節の関係性はとても重要」(林さん)

両手を下腹部に押し当て三角を作り、指先が床に対して垂直になっている。
両手で三角形を作り指先を下に向け、下腹部(恥骨付近)に押し当ててみると、床に対する指先の角度で骨盤の後傾や前傾がわかる。

距骨

「足首の奥深くにあり、動作の際の支点となって全体重がかかる重要箇所。でも、距骨の柔軟性が落ちている人が多く、それが姿勢の悪さや腰痛などをもたらしています」(山下さん)

立った時に、親指下、小指下、かかとの3点に体重がのっている。
膝を伸ばしすぎだとかかとに、O脚の人は小指側に体重がのりやすい。電車内で立っているとバランスを崩しやすい人も、距骨の歪みが原因。

身体教育家 林 久仁則さん 東京藝術大学非常勤講師。「古武術」や「和の動作」を応用し、姿勢やカラダの動かし方を学ぶ場をつくる。“自分のカラダを手に入れる”をモットーに誰もが参加しやすく、カラダの動きを見直す実践の学び場を、都内、つくば市、横浜市で展開。

理学療法士 山下翔平さん ピラティスインストラクター、「カラダとこころのフィットネス 運動サロン」主宰。優木まおみさんの「MAOBICS」を監修。心身のつながりに着目し、個々人に合わせ、カラダをラクに動かすためのケアを提供。

※『anan』2022年6月1日号より。イラスト・田中麻里子 取材、文・板倉ミキコ 若山あや

(by anan編集部)