ムダ毛とニオイは関係あり!? 皮膚科医が答える「汗とニオイ」のリアルな悩み

2022.5.14
気温や湿度がどんどん上がり、汗をかきやすい季節が到来。せっかくおしゃれして出かけたのに、汗染みやニオイが気になって、テンションダウン…。さらにマスク蒸れで化粧くずれまで!?

皮膚を清潔に保つことで、健やかな素肌に導く。

空前のサウナブームに沸く昨今。岩盤浴、ホットヨガに続き、汗腺を鍛えられるスポットが次々と話題を集め、男女問わず、汗をかくことをポジティブに捉える人が増えている。anan総研メンバーへのアンケートでも、汗を積極的にかきたいと答えた人が多数!

「体を温めることが健康に直結するという認識が世間的に広まったことで、汗をかいて血流を良くするという考え方がスタンダードになってきたように思います。汗をかくことはデトックス効果が得られるだけでなく、実は保湿にも良い影響が! 汗にはアミノ酸が含まれており、これが肌の潤いを保つ皮膚の天然保湿因子『NMF』の補給にもつながり、健やか美肌に導いてくれることがわかっています」と、皮膚科医の山﨑まいこ先生。しかし暑い季節は、汗をかくことで悩みが増えることも確か。

「気温が上がれば、汗をかきやすくなり、それを放置していると、蒸れてかゆくなったり、ニオイにつながったり。マスクをしていることで、顔にも大量の汗をかき、それが肌荒れを起こす原因になっている人も多いようです」

今夏は猛暑になる可能性が高いといわれており、今まで以上にマスク蒸れによる肌トラブルにも気を付けるべき。これからの季節、汗をかいた後の対策がキモに!

こんな時、どうすれば? 汗とニオイのQ&A

人には言えない汗とニオイ問題。そこでanan総研メンバーから届いたリアルな悩みに、山﨑先生が回答。

汗が皮膚の雑菌と混ざることでニオイは発生する。

身だしなみのためにも、汗とニオイ対策はしっかり行いたいが、そもそも汗をかくのは何のため?

「汗をかくのは、体温調節のためです。気温が高いと、体温も上昇するため、汗をかいて肌表面の水分が蒸発することで体温を低下させ、熱中症を防ぎます。汗がクサイと思っている人も多いですが、汗自体は無臭です。汗に皮脂や汚れが混ざって、皮膚の常在菌により分解されることでニオイが発生するのです」(山﨑先生)

また汗腺には2種類あり、それぞれに汗の性質や汗を出す仕組みが異なることも覚えておこう。

「ほぼ全身の皮膚に分布されており、主に体温調節を行っているのが『エクリン汗腺』。もうひとつの『アポクリン汗腺』は、ワキの下、乳輪、デリケートゾーンなど特定の部分に位置する汗腺で、ストレスや緊張など精神的な刺激によって発汗します。特に『アポクリン汗腺』が多い箇所からニオイが発生しやすいので、あらかじめ対策するように心がけましょう」

Q1 お出かけなどでは汗をかきたくないけど、サウナやヨガではかきたい。汗をかき始める時期は発汗のメリハリはつけられるものですか?(29歳・保育士)

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A コントロールは不可。汗をかいたらケアするのが鉄則。

「先ほどもお伝えしたように、発汗の最も重要な役割は、体温調節です。だからお出かけの際は、風通しが良く、熱中症対策ができる服装を選べば、普段よりは汗をかきにくくなるでしょう。とはいえ、夏は湿度が高くジメジメしているので、服装だけではうまく調節できません」

“汗はかくもの”と心得て、いつかいてもいい状態を作り、ニオイを防ぐためのアフターケアを怠らないようにすること。そのために役立つアイテムとは?

「汗をかいた時はタオルで拭くだけでなく、汗拭きシートや赤ちゃんのお尻拭きなど、菌をさっと取り除ける濡れたシートがあると便利です。また肌に直接触れるインナーは、汗で濡れやすく乾きにくいので、替えを1枚だけでも持ち歩くと、清潔な肌を保つことができます」

Q2 毎夏の下着かぶれが苦しいです。どのような対策がベストですか?(25歳・エンジニア)

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A 天然素材を用いた、締め付けの少ない下着を選ぶべし。

「まずは下着の見直しをしてみてはいかがでしょうか。綿やシルクなど、肌に優しい天然素材が織り込まれた下着がおすすめです。締め付けの少ないものは、通気性が良く、蒸れにくいので、汗かきの予防にもなります。暑い時期だけでも、ブラトップなど、カップ付きインナーに変更するのも効果的です」

それでも下着かぶれが治まらない場合は、摩擦によってバリア機能が壊れて、肌が乾燥している可能性が!

「入浴中にこすって洗ったり、汗をかいた時もゴシゴシとタオルで拭いたりしていませんか? 摩擦で肌を傷つけると、かゆみを招き、乾燥肌の原因に。そんな時は、保湿ケアを」

さらっとした夏向きのテクスチャーの保湿アイテムを利用して、肌トラブルとサヨナラ。

Q3 VIOの脱毛をしようか迷っています。ムダ毛の有無と、汗のニオイは関係ありますか?(23歳・学生)

A 関係あり! ムダ毛がないと雑菌の繁殖を抑えられます。

「デリケートゾーンは非常に蒸れやすいため、ムダ毛があると、ニオイを発生しやすくなります。また毛を好んで繁殖する雑菌もいるので、ムダ毛の処理はメリットの方が多いです。また、何度もカミソリで剃ると皮膚を傷つけたり、そこから雑菌が繁殖することもあるので、脱毛がおすすめ」

また生理中のデリケートゾーンのニオイが気になる人は、ナプキンをこまめに取り換えて。ナプキンやショーツを抗菌・消臭機能付きのものにするのもアリ。

Q4 汗が臭う時と、臭わない時の違いは何ですか?(31歳・会社受付)

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A 雑菌の量。菌のバランスが崩れているかも!?

「人間の肌には、1000種類以上の皮膚常在菌が生息し、その菌バランスが悪いと、ニオイがより発生しやすくなります。だからやはり汗をかいたら放置せず、すぐに拭き取ること。そして毎日お風呂に入って肌を清潔に保ちましょう」

菌バランスが崩れる原因は、ストレスや生活習慣の乱れなども挙げられる。

「ストレスが増えると、自律神経がうまく働きません。すると、アポクリン汗腺の機能が鈍り、脂質やタンパク質などニオイのもととなる成分を多く含む、ベタベタとした脂っぽい汗が出始めます」

汗腺の働きは、汗をかくことによって活性化するので、入浴や軽い運動などで、定期的に適度な汗をかくような習慣を持つと、ニオイが気にならないサラサラとした汗をかけるように。

山﨑まいこ先生 皮膚科医、まいこホリスティックスキンクリニック院長。ナチュラルで美しい素肌を引き出す総合的な診療に定評がある。著書に『美しい肌が生まれるところ‐腸とこころをととのえる‐』(ワニブックス)。

※『anan』2022年5月18日号より。イラスト・山本さほ 取材、文・鈴木恵美

(by anan編集部)