人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。4月のお客様は、シェフならぬ“シュフ”として、料理で活躍する平野レミさん。しかし実は、歌手として活躍した過去があるのです。第2回はそんな時代のおもしろエピソードをご紹介。
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主婦&料理家になる前は、シャンソン歌手でした。

私の両親の教育方針は、“好きなことを徹底的にやりなさい”。なので、大好きなシャンソンを頑張ろうと先生のところに行ったら、「プロなんて考えちゃいけません」。なぜ? と尋ねると、「お金は汚らわしいもの。歌うことで、汚らわしいお金をもらうなんてとんでもない!」と。とか言いながら先生は、私から月謝をとってるんだけどね(笑)。でもやっぱり私は歌いたいので、内緒で銀座にあったシャンソンを歌わせてくれるサロンのオーディションに行ったら、受かっちゃった! それ以外にも同じく銀座の名門シャンソン喫茶〈銀巴里(ぎんパリ)〉でも歌わせてもらえることに。さらにスカウトされて、レコードを出せることに! そりゃぁ嬉しかったわよ。私の声がレコードから聞こえてくる、そんな夢みたいなことが現実にあるなんて、嬉しかったわ。しかし蓋を開けてみると、「今シャンソンは下火だから、まずは歌謡曲でデビューしましょう」と言われてしまい、もう愕然よ~。

まさかの人違いでラジオに抜擢…?

とりあえず歌謡曲でちょっと売れた私は、4枚目に『カモネギ音頭』というのを出すことに。しかもネギを背負って銀座で配るというキャンペーンをやらされそうになり、さすがにやんなっちゃって(笑)、やめました。

無職になった私に突然、「新しい番組が始まるからオーディションに来てほしい」とTBSラジオから連絡が来たので行ったところ、ディレクターさんは私を見るなり「え、あなたが平野レミさん?」と。変な空気のままマイクの前で喋らされ、よくわからないまま出演が決定。後日その方が、「実はレミの顔を見たとき、驚いちゃって」って言うから、よくよく聞いたら、レコード会社の新人紹介のパンフレット、私の顔写真のところに“辺見マリ”って書いてあって、辺見マリさんの写真の下に“平野レミ”って書いてあったんだって。で、マリちゃんの顔を見てかわいいと思って声をかけたら私が来てびっくりしたって。いろいろひどい話よねぇ(笑)。

*辺見マリさん…歌手・俳優で、辺見えみりさんのお母様。

ひらの・れみ 料理愛好家、シャンソン歌手。主婦の経験を生かし、テレビや雑誌で数々の料理を発信。新著に子育てと料理についてのエッセイ&レシピ集『おいしい子育て』(ポプラ社)が。

※『anan』2022年4月13日号より。写真・中島慶子

(by anan編集部)

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