「僕は落ち着いて生きていきたいからYouTubeも(再生回数が)伸びないようにやってたのに、伸びちゃって(笑)。昨年末にダンボール戦機というプラモデルを組み立てるライブ配信をしたら、びっくりするくらい見る人が少なくてむしろ嬉しかったですね。音楽活動とプラモデルは全然関係ないけど、歌ったり、絵を描いたり、文章を書いたり、配信をしたり、全部ひっくるめて小林私だと思ってくれたら。堅苦しいアーティストイメージなんて必要ないし、なるべく楽しいのがいいなと思っています」
セカンド・アルバム『光を投げていた』には、ロックなサウンドに弾丸のような言葉をメロディに浴びせかける「サラダとタコメーター」や、浮遊感のあるトラックに孤独なドライブを思わせる歌詞が切なさと狂おしさを加速させる「飛日」など、どの曲も個性的なクリエイティビティに満ちている。特に、何度も書き直すという歌詞のアプローチは繊細で、自身のこんなポリシーがある。
「苦しみや悲しみを歌にする人って多いと思うんですけど、そのうち曲を書くために辛い状態に持っていくようになってしまう。僕は最終的には幸福になりたい、豊かになりたいと思って音楽をやっているので、精神状態がなるべくフラットな時に歌詞を書くようにしています。勢いだけで書くのは嘘だなと思うし、いろんな解釈ができる歌詞を書いています」
今作には清竜人さんプロデュースによる「どうなったっていいぜ」も収録。目まぐるしく変化する美しいメロディを多彩な歌唱で歌いこなす、痛快なコラボにも注目。
「初めて聴いた時は、どう歌えばいいんだ! と思うくらい難しい曲だったから、竜人さんにボーカルディレクションしてもらえてよかったです。MVの監督もしていただいたんですが、彼はとても穏やかで優しい方で、僕と同じ根暗のシンパシーを感じました(笑)」
2nd Album『光を投げていた』。BOBO(Dr)と奥野真哉(Key)が参加した「冬、頬の綻び、浮遊する祈り」や先行配信曲「生活(rearrange)」など全8曲。3月30日発売。【CD】¥2,750(YUTAKANI RECORDS)
こばやし・わたし 1999年1月18日、東京都あきる野市生まれ。多摩美術大学在学中から音楽活動をスタート。今年、自主レーベルYUTAKANI RECORDSを設立。5月21日に大阪、6月11日に東京でワンマンライブを開催する。
※『anan』2022年3月30日号より。写真・大嶋千尋 取材、文・上野三樹
(by anan編集部)