ベースは中国武術。ゆったりと鍛えよう。
「体の一部を鍛えるのではなく、全身を動かすというのが一つの特徴。動かす速度がとてもゆっくり。それがとても心地よいです。体が温かくなってきて、同時に爽快感があるとみなさんおっしゃいます」(「全日本柔拳連盟」会長・地曳寛子さん)
中腰姿勢で、太ももの筋肉をよく使う太極拳には99種類の型が。今回はその中から太もも&股関節にアプローチする2つをご紹介。
「初心者でも少し練習すればできる簡単な型です。ゆったりとした気持ちでトライしてみてください」
なぜ効くの?
中腰の姿勢で行うので、下半身に負荷がかかります。
基本動作は膝を曲げた“中腰”。それゆえ、下半身への負荷が大きく、太ももの筋肉への影響が期待できる。また膝を曲げて脚を上に持ち上げたり、踏み出す動きは股関節に刺激が。「80分のレッスンを終えると、体を鍛えている人でも、“太ももが疲れた~”とおっしゃいます(笑)」(地曳さん)
【POINT 1】自然な呼吸で
なんと特別な呼吸法はなし! 「この型のここで吸って、ここで吐いて…といったことは一切ありません。吸いたい時に吸って、吐きたい時に吐く。型をしながら心地よく呼吸すれば自然と呼吸が深まります」
【POINT 2】手足は別々に動かす
99種類の型の多くは左右非対称な動きで“手足がバラバラに動く”のが太極拳の特徴。「難しそうに聞こえますが、日常生活でみなさんがやっていることなので、そんなに身構えなくても大丈夫」
【POINT 3】リラックスして「気」の流れを意識する
「東洋医学的には、体の中には“気”が流れる“経絡”があり、太極拳は型を行うことで経絡を刺激し、体内の気の流れを良くするんです。そのためにはとにかくリラックスし、ゆっくり体を動かすことが大事」
太もも・股関節に効く型
開太極(カイタイキョク)
太ももの前と後ろの筋肉に刺激を与える型。スクワットと同じ動きですが、ゆっくり行うのでかなり太ももに響きます! 3つの動きを約20秒で行う。まずは10回を目安に。
(1)足を揃えて立ち左足を1歩前へ。右足を左足に付けてから肩幅に開く。膝を軽く曲げ腰を落とす。腕は体の横に置き手の甲を前に向け指を軽く開く。全身をリラックスさせましょう。
(2)両手をゆっくりと上げながら、同時に膝を伸ばしていく。手は額の高さにくるまで上げていく。手には力を入れず指先までリラックス。とにかくゆったりと動くことが重要です。
(3)手が額の高さまで上がったら手のひらを前に向け、膝を曲げながらゆっくり両肘を下げ、手が顔の高さに来たら軽く前に押し出す。その後、両腕をゆっくり下ろし最初に戻る。
ろう膝拗歩(ロウシツヨウホ)
膝を高く上げることで股関節とそれを支える腸腰筋をほぐすことができる型。また、片脚立ちで太ももの筋肉にも刺激が。3つの動きを約20秒で行う。まずは左右交互に10回を目安に。
(1)左足を前に出しつま先はまっすぐ。右足はつま先を45度ほど外側に向け、両脚とも軽く曲げ、重心は両足の中間に。右手は手のひらを前に押し出す形、左手は腰の前あたりに。
(2)左の足先を45度外に向け、同時に右脚の膝を曲げて高く持ち上げる。右腕は顔の前に上げながら手をねじり甲を前に向け、左腕は同じく甲を前に向けながら横にまっすぐ伸ばす。
(3)上げた右脚を前に踏み出し、つま先はまっすぐ前へ。左足のつま先は45度外側に。両膝は軽く曲げる。左腕は耳の横を通して手のひらを前へ軽く押し出す。右手は腰あたりに。
一から丁寧に指導してくれる、体験レッスン¥2,500 初心者クラス80分¥25,000/10回。他に武術クラスなども。全日本柔拳連盟渋谷駅前本部 東京都渋谷区渋谷3‐21‐11 TEL:03・3400・9371 http://www.taikyokuken.co.jp
※『anan』2022年3月16日号より。写真・土佐麻理子 モデル・板垣翔子 イラスト・ububun
(by anan編集部)