ウィンナーコーヒー「元祖の店」も! 歴史と思いがつまった“レトロ喫茶”4選

2022.2.21
歴史と思いがつまった特製ドリンクを無二の空間ごと味わえる喫茶店へいざ! レトロ喫茶店のドリンク探訪です。

『ゆりあぺむぺる』のクリームソーダ

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ボリューム満点、夢あふれる一杯。
吉祥寺駅からすぐ。小さな洋館のような佇まいの『ゆりあぺむぺる』は、カラフルなクリームソーダ(¥800~)が名物だ。“大人も楽しめるものを”と、ルビー色のザクロ味から始まり、ブルーの柑橘系やグリーンのフルーツミックスなど10種類ほど展開する。透明感のある涼しげなソーダにアイスが山盛りのった姿はどこかファンタジック。かなりのボリュームながら、どのソーダも酸味が効いているから最後まで爽快に楽しめる。宮沢賢治の詩集の一編にちなんだという店名や花がふんだんに飾られたアール・ヌーボー調のインテリアから醸される幻想的な雰囲気もここの特徴。日常をしばしオフして心安らぐひと時を。

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1、コーヒーはチモトコーヒーの豆を使用。大倉陶園のブルーローズのカップで出されたブレンドの「フレンチ」(¥630)は、コクのある苦みでスイーツに合う。奥はマスカルポーネクリームが濃厚なティラミス¥600。
2、ガラスケースに飾られたカップ。飲み物に合わせてカップを選ぶのもこだわり。
3、店は1976年創業。現役で働くダイヤル式のピンクの電話やアンティークのレジも見逃せない。

SHOP DATA 東京都武蔵野市吉祥寺南町1‐1‐6 TEL:0422・48・6822 11:30~24:00(23:45LO) 無休

『パーラー キムラヤ』のミックスジュース

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本場・大阪に倣った創業からの味。
サラリーマンで賑わう新橋駅前ビルの地下に店を構える『パーラー キムラヤ』は、ビルの竣工と同じ1966年に開店し、今は先代の父の後を継いだ2代目が切り盛り。入り口脇のサンプルケース、ツートーンカラーが目を引く壁とソファなど、コンパクトな店に“古き良き”が凝縮されている。大阪が発祥とされるミックスジュース(¥550)は、先代が大阪で飲んだ味を再現した創業時のレシピのまま。天然果汁がベースのオレンジシロップ、牛乳、バナナ、桃をブレンドしたマイルドな味わいで、するすると体に染み渡る。リピーターが多いという手作りトマトソースのナポリタンやホットドッグとセットで味わうのがおすすめ。

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1、人気沸騰中のプリン ア・ラ・モード¥800。毎日店で焼くプリンの弾力ある食感と素朴な甘さが印象的。手作りゆえ数が多くないので早めの時間を狙おう。
2、昔懐かしの「レギュラー瓶」で提供するコカ・コーラ¥440。
3、デザイナーが手がけ、創業からほぼ変わらないという内装は、懐かしさとモダンさが共存。水槽で熱帯魚が泳ぎ、懐かしい音楽が流れるゆるい空気がなんとも居心地いい。

SHOP DATA 東京都港区新橋2‐20‐15 新橋駅前ビル1号館B1 TEL:03・3573・2156 8:00~22:00、土曜11:00~17:30(休憩時間あり、LOは30分前) 日・祝日休

『トリコロール 本店』のカフェ・オ・レ

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きめ細かな泡がおいしさの秘密。
銀座で80年以上の歴史を誇る『トリコロール 本店』は、キーコーヒーの創業者がコーヒーの普及を願って開いた喫茶店。レンガの外壁と赤い庇が目印の現店舗は1982年に改装した3代目で、老舗の品格は残しつつ、街に開かれた応接室のような明るさが特徴だ。ここでぜひ注文したいカフェ・オ・レ(¥1,160)は、ギャルソン姿のスタッフが華麗にコーヒーとミルクを注ぐサーブの仕方も楽しみどころ。高い位置から注ぎ入れることで空気を含んでよく攪拌され、泡を纏ってまろやかになるという。コーヒーは注文ごとに豆を挽き独自のネルドリップ方式で丁寧に抽出されたもの。伝統に裏打ちされた本格のおいしさを堪能しよう。

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1、目の前でみるみる泡立つ“カフェ・オ・レパフォーマンス”。アイスの場合も同じ注ぎ方で。コーヒーとミルクの割合は通常1対1だが「ミルク多め」など好みにも合わせてくれる。
2、毎朝焼き上げるアップルパイ(¥710)はトリコロール自慢の一品。香ばしいパイの中に、シナモン香るリンゴ煮がぎっしり。
3、2階はヨーロピアンで優雅な設え。天井が高く開放的でゆったり過ごせる。

SHOP DATA 東京都中央区銀座5‐9‐17 TEL:03・3571・1811 8:00~18:00(17:30LO) 無休

『神保町 ラドリオ』のウィンナーコーヒー

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コーヒーの酸味とクリームの絶妙なバランス。
『神保町 ラドリオ』は喫茶店のメッカ神保町のなかでも古参のひとつ。書店を訪れる人のサロンとして1949年に誕生した。「元祖の店」とされるウィンナーコーヒー(¥600)は、シンボル的メニュー。よそにはない飲み物を探していた当時の店主が、常連客がウィーンで飲んだというコーヒーの話をヒントに作り、店に集った作家や芸術家たちの間で「ウィンナーコーヒー」と呼ばれるようになったという。やや酸味のある軽やかなコーヒーにホイップをたっぷり絞るのがラドリオ流。コーヒーとクリームのやわらかな溶け合いを楽しみながら、作家たちの憩いの場だった時代に思いを巡らせると、一層味わい深くなる。

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1、ナポリタン(¥800~)は、タバスコとコショウのスパイシーさがあと引く味わい。ランチならウィンナーコーヒーとセットで¥1,000とお得に! 
2、彫刻家の本郷新さんが描いたシンボルマークのコースターとマッチ。
3、いい感じに薄暗く、落ち着く店内。内装やレンガ造りの店構えは創業時と大きく変わっていないそう。常連客が作った店名入りの看板が飾られていたり、長年愛されてきた証が随所に。

SHOP DATA 東京都千代田区神田神保町1‐3 TEL:03・3295・4788 11:45~18:00、土・日曜12:00~19:00(LOは30分前) 祝日休

※『anan』2022年2月23日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・熊坂麻美

(by anan編集部)