VTuber・渋谷ハル「僕たちのような入り口から入ってゲームを楽しんでもらえたら」
渋谷ハル/チャンネル登録者数 67.1万人
・初めてやったゲームは?/『ポケットモンスター ルビー・サファイア』
・一番熱中したゲームは?/『AVA』
・ゲーム選びのポイントは?/気になるな、と思ったら一回触ってみる
・配信のターニングポイントは?/大会を主催してリスナーが増えたこと
・実況で気をつけていることは?/ネガティブなことは言わない
人と人との繋がりを生む、VTuberの世界。
VTuber黎明期の2018年に誕生した渋谷ハルさんは、『PUBG』や『APEX』などのFPSゲームで圧倒的な存在感を放つ実況者だ。2020年に行われた、『APEX』を採用したeスポーツイベント「RAGE×Legion Doujou Cup」では、劣勢から形勢逆転しチームを優勝に導いた。ゲーマーとして確かな腕を持つ渋谷さんの初めてのゲームは、『ポケモン』の『ルビー』と『サファイア』。周りの友達と交換や対戦を楽しんだそうだが、本格的にゲームをするようになったのはパソコンを買ってからだという。
「よくニコ動のランキングを見ていたんです。それで初期の『マインクラフト』が気になって、パソコンで遊んだのが最初ですね。そのあとに5対5で戦う『AVA』をやるようになって、それからはFPSばっかり。『オーバーウォッチ』『PUBG』『APEX』、一通りやりました」
FPS沼にどっぷり浸かっていた2018年、ニコニコ動画で突然にVTuberが流行り始めた。
「その過程をちょうど見ていたんです。コミュニティができて、人と人との繋がりが生まれていくのがいいなあと。僕もVTuberになりたいと思いました」
自身で2Dのキャラクターを作り、“渋谷ハル”としてYouTubeチャンネルを開設した。“エイト・トゥウェルブに勤めるバーチャルコンビニ店員”という設定を持ち、通常はコンビニのユニフォームを着用。FPSなどゲーム実況の際はマント姿へと変身する。フリーだったため、VTuberとしての様々な決まりごとも、全て自分で決めた。初めの頃はなかなか再生回数が伸びず苦労したという。
「全然見てもらえないし、どうしたらいいんだろうと悩みました。それで、VTuberを80人くらい集めて『PUBG』の大会(『VTuber最協決定戦』)を開催したんです。各参加者のリスナーが視聴すれば、相互にプラスになるだろうと思って。そうしたら、企画が面白いと話題になってハネたんです。当初、僕の登録者数は300人くらいだったのが、一気に5000人から1万人くらいまで増えたんですよ」
自身のプロモーションを兼ねて計画した大会だったが、反響を受けてそれ以降も開催が続いた。さらに『APEX』が流行したことが、渋谷さんの人気を決定づけた。
「僕は『1』からプレイしてたんですけど、その頃はユーザーが少なかった。でも『4』や『5』くらいから流行りだして、一気にメジャータイトルになったんです。いつか人気が出るとは思ってたけど、想定の上を行きましたね」
オンラインゲームは息が長いものが多いから、触れたゲームが、いつ爆発的なヒットをするかわからない。それもあって、気になるゲームは必ず一度はプレイする。
「新しいゲームは2~3回遊んだら、わりとすぐ次、ということが多いです。やっぱり自分で試してみないとシステムもわからないし、面白さも実感できませんから」
ゲームでも、雑談配信でも、実況中は喋りっぱなし。渋谷さんはこんなことを気遣っているという。
「実況のときはネガティブなことを言わないようにしています。嫌なコメントが来ても怒ったりヘコんだりせずに、茶化すくらいの感じで返す。コミュニケーションの基礎ですね。僕自身、早くからニコ動でVTuberを見ていた一人のファンなので、こういうことはしないでおこう、反対にどんどんやってみよう、というポイントはわかっている気がします」
渋谷さんが見据えているのはゲーム実況の底上げだ。VTuberがもっと活躍して、実況という文化を押し上げる一助になればと考えている。イベントの主催や、ゲームが好きな芸能人とのコラボに果敢に取り組むのはそのためだ。
「ゲームが持つ力はものすごいけれど、どうしたって届かない層もいる。そういう届き得ないところにも影響を与える存在がVTuberだと思ってるんです。僕たちのような入り口から入ってもらって、ゲームを楽しんでもらえたら。そう願っています」
大切なゲーム
『Alliance of Valiant Arms』
韓国のNEOWIZが開発するオンラインFPSゲーム。通称「AVA」。美麗なグラフィックが特徴的で、攻撃側、防御側の2チームに分かれて戦う。2008年リリース。
しぶや・はる 2018年にYouTubeチャンネルを開設し、VTuberとしての活動をスタート。『PUBG』『APEX』のライブ配信のほか、「歌ってみた」も多数。「VTuber最協決定戦」主催。昨年10月にVTuber事務所meriseを設立し、運営兼所属タレントに。
◎登録者数は1月20日現在
※『anan』2022年2月9日号より。イラスト・望月けい 取材、文・飯田ネオ
(by anan編集部)