諸口神社(もろくちじんじゃ)
導かれるようにして出合ったのは、今こそ必要な“御神威”を宿す神社。
利他愛にあふれ、力強く輝くエナジー。
去年の夏、初めて戸田(へだ)を訪れたとき、引き寄せられるようにお参りしたのが、諸口神社でした。“諸々の幸せの入り口”という名を持つお社の佇まいは、実に素朴。けれども、地元の皆さんの信仰も厚く、私は計り知れないエナジーを感じました。
その後、ご祭神の橘姫命(たちばなひめのみこと)が、日本武尊(やまとたけるのみこと)の妻である弟橘姫命(おとたちばなひめのみこと)と同一と知り、すべては導きと悟ったのです。実は私は熱海にて日本武尊と弟橘姫命を夫婦でお祀りしています。“利他愛”にあふれた女神は、女性が力強く生きるためのヒントをくださるでしょう。
よく晴れ渡った日には海の向こうに富士山が。
「日本の中心、日本の心である富士山。自然遺産ではなく、世界“文化”遺産なのは、信仰のお山だから」と江原さん。冒険気分で登る山ではなく、本来、禊潔斎(みそぎけっさい)をして詣でるべき聖地だと警鐘を鳴らす。「この国を育む祈りと御神威がある」とも…。
透明度が高い戸田の海に朱色の鳥居が美しく映えて。
漁師さんたちが航海の安全を祈り、大切にしている諸口神社。鳥居の向こうに美しい海が広がる。海の恵みによって栄えた土地柄だけに、「港の入り口が幸せを運ぶ」と考えられていたそう。「海には浄化のエナジーがあり、これぞパワースポット」(江原さん)
“夫婦和合”や“縁結び”に加え海上の安全を守る神様。
『今、いくべき聖地』(小社刊)で訪れた走水神社のご祭神も弟橘姫命。夫である日本武尊を救うため、荒れ狂う海に身を投じた神話がある。夫婦愛にあやかるだけでなく、海神(わたつみ)の怒りを鎮めたことから、「航海の安全を守る神様」としても崇敬を集めている。
宮司さんがひとつひとつ心を込めたご朱印。霊峰富士のお姿を手元に置き、いつでも富士山に想いを馳せることができる。
諸口神社 静岡県沼津市戸田2710 沼津駅からは、東海バスおよび予約制乗合タクシー(戸田・江梨線)などで、「御浜口」下車約120分。伊豆箱根鉄道修善寺駅から東海バス50分。車では、東名沼津ICから国道414号経由43km80分。新東名長泉沼津ICからも同程度。TEL:0558・94・3115(戸田観光協会)
部田神社(へだじんじゃ)
大国主命(おおくにぬしのみこと)をお祀りし、こぶ付き大楠が有名。
子孫繁栄への祈りとエナジーがこもった神社。
地域の人たちに崇敬されている部田神社。諸口神社の宮司さんの“本務社”です。規模は決して大きくないものの、清潔に整えられた様子に、地元の人々がこのお社をいかに大切にしているかが伝わってきます。
そして、見どころは何といっても、こぶ付きの大楠。大きなこぶに宿る生命力は、子孫繁栄を願う人にパワーを授けてくれるでしょう。また、女性特有の病気に悩む人もこの生命力にあやかり、写真からエナジーを受け取って。どんなご神木にも居住まいを正して向き合うことを忘れてはいけません。
地元の皆できれいに整えて大切にしていく。
戸田港から少し離れ、周りには緑も多い部田神社。住民の皆さんが氏子ということもあり、地域でお世話をしているそう。宮司さんは常にはいらっしゃらないけれど、いつも美しく整えられているのも、住民の皆さんの努力のたまもの。地元に愛されていることがひしと伝わってくる。
さりげない彫り物にも意味が隠されている。
参拝させていただいた本殿で見つけた「大根とねずみの彫り物」。子だくさんなねずみにあやかりたい、子孫繁栄を願う人々の心がそこにこもっているよう。神社に出かけたときは、あなたもぜひ細部にいたるまで目をこらしてみて。こんなふうに、特別な意味合いを持つ意匠を見つけることも。
ご神木に向き合う敬いの心を忘れずに。
「こぶ付き大楠のエナジーは本当に見事」と、生命力のすさまじさに驚く江原さん。パワーを分けてほしいと願う人に伝えたいことがあるそう。「以前紹介したとある神社のご神木に抱きつく人が続出した結果、ご神木を守るための柵ができたと知り、心を痛めました。敬う心は絶対に忘れずに」
こぶ付き大楠で有名な部田神社のご朱印。宮司さんがいないときは、自ら初穂料を所定の場所にお納めして、ご朱印をいただいて。
部田神社 静岡県沼津市戸田1585 伊豆箱根鉄道修善寺駅から東海バス「宮の前」下車45分。車では、東名沼津ICから国道414号経由38km75分。新東名長泉沼津ICからも同程度。TEL:0558・94・3115(戸田観光協会)
えはら・ひろゆき スピリチュアリスト、オペラ歌手。ロングセラーの『江原啓之神紀行』シリーズや『今、いくべき聖地』(共に小社刊)などで、長くパワースポットやスピリチュアル・スポットについて説いてきた。
※『anan』2021年9月22日号より。写真・小川朋央 文・湯川久未
(by anan編集部)