令和の『漂流教室』!? 勇気ある演出も話題、青春SFアニメ『Sonny Boy』

2021.8.17
クラスメイト36人が、学校ごと異次元に漂流する。“令和の『漂流教室』”ともいえるアニメ『Sonny Boy』が放送中。監督・脚本は『ワンパンマン』などの人気作で期待を集める夏目真悟さん。自身でも「自分の全部、空っぽになるくらい詰め込んで作った」という本作。モノローグは一切なし、そして第1話ではBGMを使わない、勇気ある演出が話題になった。夏目監督に直撃すると「まさに“勇気がいる”っていうのが的確な表現ですね」と一言。

中高生と、中高生だった全ての人に送る青春SFアニメ。

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「登場人物に心情を説明させず、起きた現象を切り取ることにこだわりました。36人全員に背景があって、育った環境も違えば、同じ制服でも着方が少しずつ変わる。そういう差異を積み重ねていけば、モノローグがなくても“あぁ、この子ってこういう子なんだ”と伝わるものがあると思うんです。自分としては、必要な情報は映像に入っているかなと。だから、彼らがどう行動していくか注目してもらえたら…。とはいえ自分でもなかなか怖くて、冷静に見られなかったりするんですが(笑)。プロデューサーに『好きなように』と言ってもらえたので、ありがたくわがままにやらせてもらってます」

挑戦するのは、言語化しにくいものを言葉にせずに表現すること。

「例えば“悲しい”という感情一つとっても、実は一言で表せるほどシンプルじゃない。登場人物の外見も一見テンプレート的でわかりやすいんですが、中身は乖離していたり倒錯していたりする部分も。そこに奥深さや共感が生まれるんじゃないかと」

注目は銀杏BOYZ書き下ろしの主題歌。ほかにも楽曲制作には、ミツメやtoeなど豪華な顔ぶれが。

「好きだから主題歌を銀杏BOYZにお願いしたい、って最初はおこがましい気がして(笑)。でも、スタッフに相談したら『受けてもらえるかどうかは別だけど、好きならお願いしたらいいじゃん』と言ってくれたので、思い切ってオファーしたら、快諾していただけました」

「少年少女」を初めて聴いた感想は。

「ど真ん中を突いてくれるぴったりの曲でした。峯田和伸さんをはじめにアーティストのみなさんは感受性が豊かで、むしろ自分が“この話って、こうだったんだ”と気づかされたりも。原作がないからこその醍醐味を感じました」

最後に、どんな人に見てもらいたいか尋ねると。

「中高生と、中高生を経験してきた全員ですね。とにかく今っぽいアニメじゃないということに尽きます。変わった作品になったので、先入観なく見てもらえたら嬉しいです」

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長い夏休みの半ばを過ぎた8月16日。学校に集まっていた中学3年生の長良(ながら)たちは、学校ごと異次元に漂流するという、思いもよらない事態に巻き込まれる。突如始まったサバイバルから、元の世界に戻れるのだろうか…。

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『Sonny Boy』 中学3年生のひとクラス36 人が突然異次元に漂流する“SF青春群像劇”アニメ。毎週木曜24:30~TOKYO MXで放送中。サブスクリプションや配信など各サイトでも配信中。詳しくは公式HP をチェック。https://sonny-boy.net/ ©Sonny Boy committee

※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。

(by anan編集部)