まるで本物!? クローン文化財を体験する、謎解き「ゴッホと文化財」展

2021.8.14
絵画の見方が変わる! クローン文化財で創作の秘密に迫る、「東京藝術大学スーパークローン文化財 謎解き『ゴッホと文化財』展 つくる文化∞つなぐ文化」が開催!

会場にずらりと並ぶゴッホの傑作、オルセー美術館が誇るセザンヌやゴーギャンの名画の数々……実はこれらはすべて複製品。東京藝術大学のチームが最新テクノロジーを使って作品を分析、色の配合からテクニックまで再現した「スーパークローン文化財」と呼ばれるもの。とはいえ、なぜ、こうした高精細複製品が作られることになったのだろう?

そもそも世界中の文化遺産、芸術作品のうち、博物館や美術館に収蔵、保護されているのはごく一部。古代遺跡や石仏などの中には、自然災害や盗難、最近では紛争による破壊などで失われたものも少なくない。一方、収蔵されている作品でも、展示による劣化を防ぐため、保存を優先し一般公開されない例もあるとか。

こうした実際に目にすることが困難な文化財も含めて、その価値を広くシェアするためにスーパークローン文化財が注目されているのだという。本展の見どころは、なんといっても複製技術の高さ。ゴッホを中心にしたオリジナルのDNAを受け継いだ“クローン”を見比べる面白さに加え、ゴッホ独自の波打つような筆のタッチ、厚塗りの技法を3Dで再現した展示を見れば、作品の秘密により迫ることができる。

そのほか歌川広重らの浮世絵をCGでアニメーション化したり、マネの《笛を吹く少年》を立体的に再現したり。浮世絵の世界が動き出し、絵画から登場人物が原寸大で飛び出してくるのは新鮮な驚き。作品鑑賞に新しい体験を吹き込んでくれるクローン文化財の数々と、ぜひリアルに向き合ってみて。

作者の試行錯誤が浮かび上がる!?

左・ゴッホは色を混ぜず並べて描くことで、網膜上で色彩が混じり、鮮やかに見える「視覚混合」を狙っていた! 右・歌川広重の《名所江戸百景 亀戸梅屋舗》をトレース。完全に重なり合うゴッホの模写。

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左・フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》(再現)原本所蔵 オルセー美術館 原本年代1889年
右・フィンセント・ファン・ゴッホ《ジャポネズリー梅の開花》(再現)原本所蔵 ファン・ゴッホ美術館 原本年代1887年

名画の登場人物が三次元に。

左・印象派の先駆者といわれるマネの油彩画《笛を吹く少年》を、平面で複製。右・オリジナルの絵画を計測してデータ化、三次元で再現。等身大の少年が飛び出してきたかのよう。

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左・エドゥアール・マネ《笛を吹く少年》(再現)原本所蔵 オルセー美術館 原本年代1866年
右・エドゥアール・マネ《笛を吹く少年》(立体再現)原本所蔵 オルセー美術館 原本年代1866年

「スーパークローン文化財」とは。

伝統的な模写・模造技術と最先端のデジタルテクノロジーを組み合わせ、高精度に複製された文化財のこと。例えば壁画を再現する場合は同じ素材を用い、質感の表現はもとより、技法も元の様式に則って再現。時代背景やスピリットまで反映させるという。芸術家の専門知識と感性が必要とされるプロセスである。

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大正時代に実業家が購入。1945年、神戸空襲で焼失したゴッホの幻の作品、通称“芦屋のひまわり”がスーパークローン文化財として甦る!

東京藝術大学スーパークローン文化財 謎解き「ゴッホと文化財」展 つくる文化∞つなぐ文化 そごう美術館 神奈川県横浜市西区高島2‐18‐1 そごう横浜店6F 開催中~8月31日(火)10時~20時(入館は閉館の30分前まで。8/18は19時閉館。※そごう横浜店の営業時間に準じ、変更になる場合あり) 会期中無休 一般1100円ほか TEL:045・465・5515

※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。文・松本あかね

(by anan編集部)

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