TikTokからお茶の間へ! ドラマを彩る新世代アーティスト。
「いつもは自分で曲を作るんですけど、今回は他の方(田中隼人さん)に作っていただいて。しかも経験したことがないテーマで歌詞を書いて、こういう形で使われるのも初めてだったので、プレッシャーはありましたね(笑)。でも、面白かったです」
オリジナルナンバーは、彼を含めた5組のアーティストがドラマの世界観に合わせて制作しており、各話で予告なしに違う楽曲が流れるため、「家族や友人からは、『今日は流れなかったね』って言われます(笑)。流れたら感動しちゃいますね」と笑う。
《今まで当たり前と思ってた世界/何一つも永遠はない》など、ドラマのみならず、コロナ禍の今しっくりと響く歌詞になっており、そこには彼のアーティスト性も表れている。
「僕が音楽をはじめたきっかけには、誰かに寄り添うような曲を作りたいというところもあったんですよね」
それだけに、昨年の自粛期間中に「Myra」がたくさん聴かれたことは、「相当嬉しかった」そうだ。
「以前から、曲の弾き語りをYouTubeにあげてはいましたけど、楽曲の配信リリースみたいなことはしていなくて。なんの起爆剤もないのに聴いてもらえるわけはないから、どういう出し方をしていけばいいんだろう、って考えて、『Myra』をTikTokにあげたんです」
広い意味でのラブソングといえる歌詞だけではなく、音楽性も魅力。J‐POPやEDM、ブラックミュージックなど、様々なジャンルが洗練された形に落とし込まれている。
「父親が海外のハードロックが好きで、『ギターとかはじめないの?』ってしつこく言われていたんです(笑)。それが嫌で、母親が聴いていたゆずさんや絢香さんのようなJ‐POPを好きになったんです。高校ではバンドが好きになって、専門学校からはEDMを聴くようになって。卒業のあたりで、全部ひとりでできたらいいなって、パソコンで音楽を作るようになりました。いろんな表現ができるので、今まで吸収したエッセンスを集約している感じです」
カチッと作られているとはいえ、彼の楽曲は決して堅苦しくなく、生活に馴染みがいい。それは、制作の発端が“ある場所”だからだろう。
「お風呂で、みんなが鼻歌を歌うような感覚で曲を作っています。携帯を置いておいて、メロディを思いついたら録音して。このセクションの歌詞ができてからあがろう、とか思うと、だいぶ長風呂になります(笑)」
お茶の間に楽曲が流れだした今、「次はドラマの主題歌や、アニメが好きなので、アニメのオープニングやエンディング、あとは映画の曲も担当してみたいです」と、近い未来への展望についても意欲的。8月には待望のワンマンツアーも行われる。
「昨年末には人数を制限して有観客でワンマンライブはやらせていただいたんですけど、しばらくは、みなさんが僕を画面で見ているのと同じで、僕もファンのみなさんを直接見られる機会がなかったんですよね。あとは、前回のライブは東京だけだったので、SNSのコメントでも、遠くて行けないとか、こんな時期だから断念したとかっていうものがあって。今回は、愛知や大阪にも行けるので楽しみにしています」
タニ・ユウキ 作詞作曲、編曲、サウンドメイクなど、すべてを自身で行うシンガーソングライター。8月には東名阪をまわる初めてのワンマンツアー「Tani Yuuki Tour 2021“Over The Time”」を開催予定。
“青春群像医療”ドラマ『ナイト・ドクター』のオリジナルナンバーとして書き下ろされた最新曲。柔らかな歌声が後悔を包み込み、希望まで寄り添ってくれる。「Over The Time」配信中(Valley Records)
※『anan』2021年7月28日号より。取材、文・高橋美穂
(by anan編集部)