森崎博之「お茶の時間はすごく大事」 おうち時間の楽しみを語る
家での時間を心地よく、新鮮に過ごすには?
仕事に、プライベートにと、自宅をベースとした生活がスタンダードとなっている今。まずは二人がこの日常とどう向き合っているのか、そしてどうしたら家で過ごす時間を心地よくできるのかについて、語ってもらうことに。
森崎:僕は家族5人で北海道に住んでいるんですけど、この一年で家にいる時間が本当に増えました。とくに去年の4月と5月は家から一歩も出ませんでしたから。その間にすべての家事ができるようになりました。なかでも料理が楽しくてしかたないんです。
小林:自宅で過ごす時間をいかに充実させるか、改めて考えるきっかけになりましたよね。私はもともと家にいることが好きなんですが、それでもやっぱりリモートワークが続くと閉塞感がありますし、生活にメリハリをつけづらくなってしまって。そこで仕事とプライベートの区切りに、お茶を飲む時間を作って、意識的に気分転換をするようにしたんです。
森崎:お茶ですか!
小林:はい。今日はいくつか持ってきたんですけど。
小林さんの気分転換アイテム
飲みたいものが、その時の自分の指標になることも。「たとえば右から2番目の紅茶はカカオの甘い香りで、仕事のあとのリラックスタイムに。それを休日にも飲みたくなると、疲れているサイン」
縁がぽってりとした、愛用のマグカップ。「尾形アツシさん作。1つ割ってしまったんですけど破片を取っておいて、昨年のステイホーム期間中に自分で金継ぎしました。より愛着が増しています」
森崎:うわ~。おしゃれだなぁ。
小林:いえいえ(笑)。紅茶やコーヒー、ルイボスティーなどいろんなお茶を、その時の気分によって飲み分けています。
森崎:わかる! お茶とか飲み物ってスイッチの一つですよね。
小林:あとはお茶の種類だけじゃなくて、その時の気分によって口当たりの違うマグカップをそれぞれ選んでいるんです。たとえば気分を和らげたい時は、カップの縁がぽってりとして口当たりが優しいもの。気持ちを切り替えて仕事をしなきゃっていう時は、少し薄くて口に当たった時にひんやりするもの、といった感じで。
森崎:うちもお茶の時間はすごく大事。一番下の子がまだ小さいので、妻と交代で寝かしつけをして、それが終わると一日が終了。そのあとに二人でお茶を飲みながら話をするのが毎日の楽しみなんです。
小林:それ、すごくわかります。あと、ずっと家にいるとインテリアにも見飽きてしまいますよね。だから私は、いつも座る場所から見える一角を、よく模様替えしています。その日に買ったお花でも、お気に入りのマグでも何でもいいんです。「今日はこの子を主役にしよう」みたいな感じで棚の一部を模様替えすると、家具を移動するとか大がかりなことをしなくても、十分リフレッシュできます。
森崎:なるほど。家を中心とした生活は、ともすると単調になりがちですけど、そんなふうにプラスに転換できるといいですよね。
一人、あるいは誰かと暮らすなかでの心がけ。
家にいる時間が長いぶん、一人暮らしは寂しかったり、パートナーなど複数人で暮らしている場合は相手の存在が気になったりすることも。そんな時はどうすれば?
森崎:うちはこういう時だからこそと、家族の絆を強くするように努力しました。とくに夫婦って合わせ鏡みたいな感じでしょ。相手の眉間にシワが寄っていたら、それは僕の眉間にシワが寄っているから。妻にはいつも笑っていてほしいから、僕がニコニコしていないと。なんて、できていないこともあると思いますけど(笑)。
小林:うちも夫と運命共同体みたいな感じで、話をする時間が増えました。ただ、お互いリモートで仕事をしている時は、相手が会議で話している内容をあまり聞かないように、ノイズキャンセリングのイヤホンをして、自分の世界に集中するようにしています。
森崎:そういえば昨年のステイホーム期間中に『ハナタレナックス』(HTBで放送しているチームナックスのバラエティ番組)の収録をそれぞれの自宅からリモートでやったことがあったんですけど、途中で戸次の子どもが入ってきて。「お父さん、大変だな」なんてゲラゲラ笑っていたら、ほかのメンバーの子どもも次々入ってきたという(笑)。
小林:リモートならでは(笑)。あと逆に一人暮らしの場合は、人恋しいっていうこともありますよね。そんな時はクッションとかブランケットとか、肌に触れるものを優しい手触りにするといいのではないでしょうか。その中に埋もれると、ちょっと落ち着いたり、気持ちが和らいだりすると思います。
森崎:気持ちよさそうですね
これからの住まいには何が求められるのか。
仕事や趣味など、これまでは外でやっていたことを、今は家でも行う生活に。そんなこれからの時代の住居に求められることとは?
小林:私は“余白”が大切になるんじゃないかなって思います。仕事もそうですけど、今はジムに行かずに家でちょっとした運動をするなど、家にはいろんな役割が求められていますよね。そういうさまざまなことに対応するには、余白が必要かと。空間的なことはもちろん、気持ちの面でも、です。
森崎:余白、確かに。
小林:それと“フレキシブル”が必要とも思っていて。たとえばベランダは、今までだったら洗濯物を干すだけの場所だったかもしれないけれど、そこで植物を育てれば、気分転換をする場所にもなる。一つの空間で、何役にもなれることが、これからの住まいには求められるのかな、と思います。
森崎:ベランダで植物を育てる時、もし農産物を育てるならミニトマトがおすすめ。失敗がまずないんですよ。グリーンもいいですけど、家で無農薬のミニトマトを食べられたら楽しくないですか?
小林:最高ですね! 森崎さんの家でも育てているんですか?
森崎:うちはトマト、ニンジン、じゃがいも、ナスとかいろいろ。僕の夢は“北海道になること”というくらい北海道が大好きなんですが(笑)、今はどこにいてもオンラインでつながれる時代。住む場所の選択肢も広がりましたよね。
小林:2拠点とかもありますしね。
森崎:好きな場所で暮らせると、生活の充実度が上がりますよ!
もりさき・ひろゆき 1971年11月14日生まれ、北海道東川町出身。チームナックスのリーダー。北海道を拠点に活動し、HBCの食を見直す番組『あぐり王国北海道NEXT』に出演中。
ジャケット¥16,280(SPINNER BAIT/ドナ TEL:03・5799・6924) シャツ¥28,600(KIIT/TEENY RANCH TEL:03・6812・9341) パンツ¥33,000(T-JACKET/三喜商事 TEL:03・3470・8232) その他はスタイリスト私物
小林夕里子さん インテリアショップ『イデー』のVMD。自身のライフスタイルにも注目が集まる。著書に『暮らしを愉しむお片づけ』(すばる舎)がある。
※『anan』2021年5月19日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・小林洋治郎(Yolken/森崎さん) ヘア&メイク・岩下倫之(Leinwand/森崎さん) イラスト・naohiga 取材、文・保手濱奈美 撮影協力・AWABEES
(by anan編集部)