プリミティブな色彩の世界に没入。幅10mの壁画作品も登場。
岡田杏里さんは1989年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業後、メキシコ、グアテマラへ留学。現在は日本とメキシコを拠点に制作しており、今回はポーラ美術振興財団の助成を受けた若手作家として、その活動を紹介するための場所「アトリウム ギャラリー」に絵画、立体作品が展示される。
目に飛び込んでくるビビッドな色彩は、闇を思わせる黒とのコントラストによっていっそう際立つ。そのモチーフはラテンアメリカの自然や古くから伝わる神話を連想させ、観る人を引き込んでいく。
メキシコはマヤ文明、アステカ文明をバックグラウンドとして、独自の世界観や死生観を育んだ土地。そのスピリットが彼女を通して現代に花開いたといえるのかも。
注目は縦3m、横幅10mに及ぶ壁画のインスタレーション。メキシコは20世紀初頭、メキシコ革命をきっかけに壁画運動が起こった地だ。岡本太郎氏による渋谷駅の大壁画《明日の神話》が制作された場所でもある。その系譜に連なろうとする作家がどのような物語を描き出すのか。期待とともに見届けたい。
《Sonar dentro de la tierra》2021年 アクリル/カンヴァス 45×106.7cm 作家蔵 ©Anri Okada
《ヒトの心の構造について》2019年 アクリル/カンヴァス 60×50cm 個人蔵 ©Anri Okada
『Sonar dentro de la tierra /土の中で夢をみる』 ポーラ美術館1F アトリウム ギャラリー 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285 開催中~9月5日(日)9時~17時(入館は16時30分まで) 会期中無休 無料 TEL:0460・84・2111
※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。文・松本あかね
(by anan編集部)