アンケートから浮かんだ“色気”の最新イメージ。
Q.色気のある男性は好きですか?
はい…74%、いいえ…26%
“色気”といっても、その言葉の輪郭はぼんやりとして捉えづらい。そこで、女性が男性のどこに色気を感じるのか探るべく、20~30代の女性141人にアンケートを実施。その結果を公認心理師の山名裕子さんに分析してもらった。まず、そもそも色気のある男性が好きかどうか聞いたところ、74%と多くの人が「はい」という回答に。
「とはいえアンケートを丁寧に見てみると、その対象はいわゆる“フェロモン系の男性”ではなさそう。人の心理には、自分に足りない部分を補う人に強く惹かれるという傾向がありますが、何に対して“足りていない”、ひいては色気と感じるかは、時代や社会的な背景の影響を受けやすいんです」
色気のある男性像がどう変化しているのか詳しく見ていこう。
Q.男性のどんなところに色気を感じますか?(複数回答)
雰囲気…67%、仕草…37%、表情…28%、顔立ち…28%、声…28%、話し方…26%、背格好…18%、人生経験…10%、ファッション…8%
「雰囲気」と回答した人
- ガツガツしている感じがなく話しやすいのに、ミステリアスな要素も兼ね備えている人が素敵。(28歳・サービス業)
- 特別何かをしているわけではないけれど、肌や口元がきれいで清潔感がある人には色気を感じる。(32歳・公務員)
「仕草」と回答した人
- スポーツをした後にドリンクを勢いよく飲み、口元を素手で拭き取る仕草に心を掴まれた。(34歳・飲食系)
- 男性が何かを考え込んでいる時の仕草が好き。計画通りに作業が進まなくても内容を頭で整理して、臨機応変に対応できているとさらにグッとくる。(26歳・商社)
「表情」と答えた人
- くしゃっとした笑顔を見せたかと思えば今度は真剣な表情に。そんな表情の豊かさやギャップに色気が宿る気が。(31歳・看護師)
- 会話の最中に照れたのか、はにかんだように笑った表情に心がくすぐられた。普段キリッとしているから余計にそう思ったのかも。(23歳・出版)
昨今の色気は、その人の雰囲気から滲み出るように。
「顔立ち」や「背格好」といった見た目を抑え、色気を感じる上位に挙がったのが、「雰囲気」など個々の資質に関わるところ。
「色気は、その人の経験や育った環境によって培われるもの。つまり、内面から滲み出るところが大きいんです。また、『雰囲気』をはじめ『仕草』や『表情』には動きが伴います。人は、静止状態よりも動きに注目しやすく、記憶に残りやすい。そういう意味で、この3つに色気を感じる人が多いのだと思います」
Q.どんな内面の人に色気を感じますか?
心に余裕がある人…58%、クールですべてを見せない人…20%、ギャップを感じさせる人…10%、謙虚で恥じらいのある人…6%、真っすぐで熱い人…5%、その他…1%
「心に余裕がある人」と回答した人
- 女性が重い荷物を持っていた時に無意識に手助けできる人は素敵だと思う。優しさから垣間見える、力強さに胸が高鳴る。(34歳・パート)
- 仕事などで失敗して落ち込んでいる部下や同僚に、すかさずフォローを入れられる人。見ていないようでしっかり見てくれているのだと、その優しさにドキッとする。(27歳・福祉系)
- 会話の中で「○○さんはどう思う?」「どこに行きたい?」「今日は何があったの?」など、相手の意見を聞いたり、気遣ったりできる人。具体的な行動よりも、精神的な余裕に色気が宿る気がする。(29歳・自営業)
「クールですべてを見せない人」と回答した人
- 性的なフェロモンをあからさまに出しているというよりは、何か心の内に秘めているものが色気となり、漂うのだと思う。(32歳・経営者)
「ギャップを感じさせる人」と回答した人
- 普段みんなといる時には、わいわいとにぎやかな人が、二人きりになるとしっとり落ち着いたテンションに。そんな雰囲気のギャップを目にすると、色気を感じずにはいられない。(28歳・PR)
不安定な世の中だからこそ、大人の余裕や受容力を求める傾向に。
内面の色気としては「心に余裕のある人」が最多。それを感じるのは、誰かをケアしたり、気遣ったりしている姿など。
「心の余裕は、その人が経験的に身につけた自信や受け止める力の表れ。今は何かと不安定な時代なので、安心感を求める心理が働き、それを満たしてくれる相手に魅力を感じるのでしょう。また、ストレスフルな世の中で、誰かを気遣える余裕がある人は多くないもの。そんな希少性にも惹かれるのでは」
Q.どんな表情に色気を感じますか?
真剣な眼差し…45%、はにかむ笑顔…27%、切なげな表情…14%、イタズラな微笑み…12%、その他…2%
笑顔から真剣な表情へ。色気は緩急から生じるもの。
色気を感じる表情の最多は「真剣な眼差し」だが、単なる真剣な眼差しではない様子。
「ずっと真剣ということではないはず。普段は和やかなのに、仕事では真剣だったりする、そのギャップにドキッとするのでしょう。人には、緩急に心揺さぶられる心理があり、それが色気につながると考えられます」
また、2番目に多かった「はにかむ笑顔」に関しては、「恥じらいも色気の要素。大笑いよりは風情がありますからね」
Q.どんな仕草に色気を感じますか?
腕まくりをする仕草…29%、ネクタイを締める、緩める仕草…24%、車を運転する姿…21%、髪の毛をかきあげる仕草…12%、その他…14%
その他の意見
- ジャケットをサッと羽織る姿。(25歳・不動産業)
- 本を読んでいる時にページをめくる仕草。(34歳・保育士)
- フルーツなど、素手で物を食べる仕草。(24歳・看護師)
- 気だるげに首を傾けながらスマホをいじっている仕草が好き。(23歳・出版)
- ピアスを着脱している仕草。そんな時に上目遣いで見上げられたりするとたまらない。(29歳・ネイリスト)
- 鏡を見ながらヘアセットしたりスキンケアしている姿。(36 歳・金融系)
- パソコンのキーボードを叩いている姿。(27歳・派遣)
自分にはない力強さを感じる仕草に惹かれるよう。
上位には「腕まくりをする仕草」や「ネクタイを締める、緩める仕草」など、いわば王道の仕草がランクイン。他の項目ではあまり重視されていなかった“男性性”が支持される結果に。
「色気のある男性の定義は、一昔前と比べて多様になってきていると思います。ただ、生物学的なところで言うと、力強さといった男性性は、自分との違いという意味でも女性の心が動くポイント。その心理が仕草の回答に表れたのかなと思います」
山名裕子さん 公認心理師。2013 年、臨床心理士の資格を取得。「やまなmental care office」でカウンセリングを行う。著書に『幸せを引き寄せる「口ぐせ」の魔法』(ダイヤモンド社)など。
※このアンケートは、20~30代(未婚・既婚問わず)の働く女性100人と、anan総研メンバー41人を対象に行いました。
※『anan』2021年3月31日号より。イラスト・山中玲奈 取材、文・保手濱奈美
(by anan編集部)