ネット炎上もウェルカム!? 復活した『電波少年』の魅力を“ラスボス”が語る

2021.2.6
今やバラエティ番組の常套句である“アポなしロケ”。そのルーツは間違いなく’90年代を代表する伝説的番組『進め!電波少年』だ。MCの松本明子や松村邦洋らが、国会議員だろうが世界的VIPだろうがお構いなしにアポなし取材を敢行。さらに、ヒッチハイクでユーラシア大陸を横断、懸賞だけで1年間生活……と、芸人たちによる規格外かつ過酷な体当たり企画を次々と打ち出し、驚くべき視聴率を叩き出した。そんなお化け番組がWOWOWで『電波少年W』として復活した……!?

ネットニュースが騒ぎはじめたら番組をチェックしてください(笑)

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「タイトルはずばり『電波少年』ですけどリメイクをやるつもりはないんです。だって、なすびにしろチューヤンにしろ、あの有吉(弘行)だって全員、心に深い傷を負っていますから。そこに塩を塗るようなことはしない(笑)。それより、もっと新しい冒険へと旅立つ気持ちです」

と語るのは、かつて番組で恐怖の存在だった“ラスボス”であり“黒幕”のプロデューサー土屋敏男さん。

「『電波少年』シリーズが終わったのは2003年。そこから20年近く経って、テレビと視聴者の関係はがらりと変わった。特にここ数年は、SNSでまた人との繋がり方が変わったでしょ? その関係をテレビに持ち込みたい。一方的に見てもらうんじゃなくて、コミュニティが番組を動かすんです。企画を提案したり、番組を進行するのだって見ている人がやればいい。リアルとネットとテレビ、その垣根のない番組を世界ではじめて作りたいと思っています」

実際に『電波少年W』では、コミュニティサイトを設け、ゲストに聞いてみたいことや企画を自由に投稿、ディスカッションができる。さらに番組内でもアプリを使い、スマホ画面をフリップボードのように使って視聴者が番組に参加する。番組はWOWOWで放送のほか、YouTubeなどでも配信。そこにコメントをつけることもできる。視聴者と繋がって、土屋さんがもっともみんなと共有したいこととは?

「テレビの記憶を聞いていきたいんですよね。テレビには約70年も歴史がある。だから、全員に自分だけの思い出ってあるでしょ? みんなの記憶からテレビ全史のようなアーカイブを作れたら。そこに番組を作ったテレビマンたちの話を紐付けたら、テレビがもっと身近で面白いものになる。かつてテレビ界の帝王といわれたディレクターやプロデューサーを招いてね、墓場に持っていこうとしている裏の話を吐き出していけ! とやりたいわけ(笑)」

何も恐れない、ヤンチャな電波少年魂はやっぱり変わらなそう。

「そこは忘れちゃいけない。だからネットニュースがザワザワしはじめたら、みなさん番組をチェックすればいいですよ。ネットが炎上しはじめてからが『電波少年』の腕の見せどころですから(笑)」

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『電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!~』 レギュラー放送は、隔週月曜20:00~WOWOWプライムにて無料放送(配信は毎週月曜20:00~WOWOWオンデマンドほかYouTubeなど)。MCは松本明子と松村邦洋が務める。毎回、豪華&意外なゲストが登場予定。

つちや・としお 1979年日本テレビ入社。数多くのバラエティ番組の演出・プロデュースを担当。人生のビデオ化を提案する「LIFE VIDEO」や、3Dスキャン技術を取り入れた舞台『NO BORDER』演出など幅広い分野で活躍。

※『anan』2021年2月10日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・梅原加奈

(by anan編集部)