BABYMETAL、メンバー脱退を振り返る「最初はもっと自由だったと気付けた」
SU‐METAL ベストアルバムの10曲は、BABYMETALの歴史そのもの。
10周年を記念したベストアルバムを、“BABYMETALの歴史そのもの”と表現したSU-METAL。そして思い出の曲に、真っ先に「Road of Resistance」を挙げる。この曲にはシング・アロングのパートがあり、一緒に歌う観客の声が、彼女にとって応援歌になるのだそう。
「海外をまわりだして半年経った頃、イギリスのワンマンライブで初めて披露したんですけど、すごい熱量で。自分たちが半年やってきたことは正しかったと安心しました。このとき、この曲の本当の意味を理解したように思います」
自身の活動を初めて見つめたのは2018年。元メンバーであるYUIMETALの脱退時の話し合いがきっかけだった。
「それまでは目の前のことに必死で(笑)。私たちってどんなグループなんだろうと振り返ったとき、最初はもっと自由だったと気付けた。既成概念を壊すがモットーだったのに、いつの間にか自分たちが一番BABYMETALという存在に縛られていたんです。だから、それを一回壊してみることにしたら、世界がすごく広がった感覚がありました」
また、音楽とどう向き合えばいいのかわからず悩んでいたときも、その殻を破ってくれたのはメンバーの存在。
「年上だから、憧れの存在でいなきゃって頑張っていたんですけど、私よりもMOAMETALの方が大人で頼れると気付いてから、いい意味で頑張ってる感はないんです。だから、今が一番BABYMETALの音楽を楽しんでいます」
SU‐METAL → MOAMETAL
冒険を楽しむ力を一番持っていて、先頭で道を切り開いていく人だよね。BABYMATALでできてきた経験は、MOAMETALがいてくれたおかげです。10年間、一緒に走ってくれてありがとう。これからも楽しくやりましょう。
MOAMETAL 曲と一緒に成長してきたから、自分の音楽を信じるだけです。
「私たちがライブパフォーマンスをできないときでも、誰かがどこかでBABYMETALの音楽を聴いてくれていたり、何かの支えにしてくれていて。それって本当に幸せなことで、やっぱり音楽って最高じゃん! って思えたんです」
全てがストップした半年間、自分の無力さを痛感したというMOAMETAL。けれど、BABYMETALの音楽に希望を持ってくれた人の存在が、「自分の音楽を信じるしかない」と後押ししてくれたと微笑む。物事を冷静に見極め、グループを支える彼女だけれど、結成当時はまだ10歳。
「10年前は、今とは全く違う未来を想像していて(笑)。自分の中でこんなにもBABYMETALが大切な存在になったことに驚いています。だから結成当時の自分に、“あなたの歩むべき道はあるからそのまま頑張って”と伝えたい。ダンスを好きで始めたわけではなかったし、今でもダンスはBABYMETALを表現する武器という感覚。でも、“継続は力なり”を意識して頑張ってよかったと思います」
この10年間に発表した曲数は全42曲。その全てが、「一緒に成長してきた大切な曲。だから、全部に同じだけ思い入れがあるんです」とも語る。
「でも、存在が近すぎてどんなふうに成長したかは自分ではわかりません。ただ、BABYMETALを一番体現しているのは、『Road of Resistance』。どんな逆境にも負けないBABYMETALの精神が含まれていて、大好きな曲です」
MOAMETAL → SU‐METAL
伝えたいのは、“そばにいてくれてありがとう”だけ。この10年で良いところも悪いところも知って、全部が愛おしい。だからその全てを失くさないでね。自然体のSU‐METALが好きだから、私に頼れるところは頼ってね。
ベビーメタル 2010年結成。12月23日にベストアルバム『10 BABYMETAL YEARS』を10形態でリリース。来年、全10公演の日本武道館ライブも控える。
※『anan』2020年12月23日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・Shohei Kashima(W) ヘア&メイク・aya watanabe 取材、文・野村紀沙枝
(by anan編集部)