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神木隆之介×佐藤卓「これからはより“直感”が求められる」

2020.10.13
20歳から2年間、本誌で連載された神木隆之介さんによる「Master’s Cafe」。その第1回のゲスト、グラフィックデザイナー・佐藤卓さんと7年ぶりの対談が実現しました。
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神木さんが各界の達人と対談をした連載企画「Master’s Cafe」。ここでの出会いがきっかけとなり、神木さんたっての希望で25周年アニバーサリーブック『おもて神木/うら神木』のロゴ&ブックデザインを佐藤さんに依頼。7年間で変わったこと、変わらないこと、ぐんと深度の増した対談になりました。

佐藤:今はもう27歳でしょう?

神木:アラサーですよ! アニバーサリーブックのロゴデザイン、卓さんにしていただけて嬉しかったです。

佐藤:連載時のロゴに続き、声をかけてもらって僕も嬉しかったですよ。前回はたしか、対談の場でロゴを作る話になったんだよね。

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神木:僕が突然お願いしてしまって。

佐藤:僕としてはそっちが本業だから、喜んで作りました。

神木:卓さんは僕のことを一番知ってくれているデザイナーさんだと思っていたので、素敵な作品になるはずっていう期待でいっぱいでした。

佐藤:喜んでお引き受けしたものの、神木さんのことをどのくらい知っているのか、自分ではわからないところもあるわけです。メディアを通して見る神木さんと直接お会いした姿、もしくは外側から受ける印象とは違う部分もあるかもしれないので、どの辺に目盛りを合わせようか考えました。それで全然違う考え方のデザインを3案作ったんだけど、最初にできてこれを選んでくれたらいいなと思っていたものを選んでくれて。

神木:そうだったんですね! 見た瞬間に「僕はこれがいいです!」って即決したら、「ほかもあるので見てください」って(笑)。

佐藤:早かったよね。通常、企業の仕事だといろんな部署に確認したり、調査をしたりするので、決定にかなり時間がかかるんです。だけどデザイナーとしては、直感的にこれがいいと言ってもらうのが本当は快感。打ち合わせの後、スタッフとハイタッチしましたから(笑)。

あらゆる人に受け入れられるニュートラルなイメージ。

神木:このロゴデザインは、どんなふうに考えていったんですか?

佐藤:何しろ名字が素敵なので「神の木」をシンボルにしようと思いました。“神”という字のへんとつくりは、棒状のものが下に向かっているので幹になるなと。根元が2本に分かれた木のイメージですね。それで、これはできるなとなりました。

神木:神木でよかった(笑)。僕のどのイメージに目盛りを合わせるか考えたそうですが、どうやってチューニングしたのでしょう?

佐藤:神木さんはユニセックスな感じというか、ジェンダーを超えたかわいらしさがありますよね。だから子どもっぽくしすぎず、大人っぽくもしすぎず、あらゆる人に受け入れられるような、ニュートラルなかわいさを意識しました。あと優しさも大切だと思ったので、尖っているところがない丸みを帯びた形にしています。ちなみにお仕事のときも、直感を生かせる場はよくありますか?

神木:芝居ではありますね。なぜかわからないけどテストでは感じなかった感情が湧いてきて、本番の芝居が少し変わったりとか。直感はかなり大事にしていますし、それが間違っていたとしても勉強になるから、ああすればよかったとは思わない。

佐藤:やっぱりクリエイターですね。今の世の中は理屈のほうが優先されて、直感や本能など人が本来持っている素晴らしいところがどんどん削除されているけれども、これからはより直感が求められる気がします。

神木:一方でデザイナーさんは、直感を言葉で説明しなければいけない場面もありそうですよね。「よくわからないけどこっちがいい」とはクライアントに言えない気が(笑)。

佐藤:ひと昔前まではそういうタイプのデザイナーが多かったんです。だけどそれだと、大きな組織の人たちをなかなか納得させられない。

神木:この7年の間、世の中に求められるデザインは変わってきているのでしょうか。

佐藤:刻々と変化はしていると思います。デザインは間をおつなぎする仕事なので、人や社会の価値観、志向が変われば、つなぎ方も当然変化するわけです。たとえば環境問題への意識が世界的に一気に高まっていることもそうですし、SNSなどでコミュニケーションのあり方が変わり、参加できるデザインが求められています。抽象的な言い方だけど、未完成のものをクオリティの高い状態で仕上げるようなイメージです。

神木:たしかに、完成されたものは単に好き嫌いで終わったり、近寄りがたい感じがしそうですよね。

佐藤:まったくその通り。完成の手前で止めておくと、カスタマイズして自分なりの付き合い方ができるから。神木さんの役の作り方も、そんな感じがちょっとするんだよね。

神木:演技の場合は、現場に入って監督の言うことを聞いてやってみないとわからないところが多いので、最初は特に完成させず、第一印象をまとめるくらいですね。あとは直感をいかに表現できるか。その瞬発力が大事だと、最近感じています。

佐藤:デザインはややもすると脳ばかり使って、身体性を失いがちだから、役者のように体とともにクリエイションがあるのは、ものすごく健全だし羨ましいですね。

kamiki ryunosuke

『おもて神木/うら神木』発売中。俳優としての“おもて”と、27歳の男性としての“うら”の2つの面から、25年間の歩みをひもとくアニバーサリーブック。染谷将太、中村隼人、志田未来、本郷奏多との対談のほか、母へのインタビュー&親子ショット、錚々たる著名人からのメッセージなどを収録。[限定版]特装BOX&メイキングDVD付き¥4,500 [通常版]¥3,000 株式会社アミューズ販売サイト:「アスマート」https://www.asmart.jp/

さとう・たく 株式会社TSDO代表。「明治おいしい牛乳」「ロッテ キシリトールガム」のパッケージデザイン、国立科学博物館のシンボルマークなどを手がける。著書に『塑する思考』。

かみき・りゅうのすけ 1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。近年は舞台への出演やMVの監督・プロデュースでも才能を発揮。デビュー25周年記念プロジェクトを始動中。YouTube公式チャンネル「リュウチューブ」は毎週木曜20時配信。ジャケット¥49,000 パンツ¥42,000(共にスタジオ ニコルソン/キーロ TEL:03・3710・9696) シャツ¥26,000(ファクトタム/ファクトタム ラボ ストア TEL:03・5428・3434) シューズ¥21,000(クレマン/プーオフィス TEL:03・6427・7081)

※『anan』2020年10月14日号より。写真・松田 拓 スタイリスト・鹿野巧真 ヘア&メイク・MIZUHO(vitamins) 取材、文・兵藤育子

(by anan編集部)