佐藤浩市の息子も! 主演もこなす、若手“名バイプレイヤー”たち

2020.10.10
映画でよく見かける、指名の絶えない役者たち。映画を観るプロ、映画パーソナリティ・伊藤さとりさんの視点から、彼らが愛されてやまない秘密を考察します。

役作りは固めすぎずに監督や共演者とのセッションで作る、余裕がある役者が魅力的。

主役の脇、いわゆるバイプレイヤーとしても光を放ち、もちろん主演もできてしまう。そんな才能ある若き役者はとても多く、日々映画を観続けていると気になる役者は続々と出てきます。彼らの特徴は、現場に入るまでがっちり役を固めてくるのではなく、役の性格を脚本で深く読み解いて現場に入り、あとは監督と詰めながら共演者との温度感でセッションするというテクニックを持っていること。以前、仲野太賀くんにインタビューをした時に「演技では柔らかく相手に合わせる。演じることはリアクション、アクションに次ぐアクションという言葉もありますから」と話していたことが印象深いのですが、そういう余裕を持っていることが、どのポジションにいようが光ることができる要素のひとつだと思っています。彼らの共通点はさらに、優しくて共感能力が高く、人がいい。そしてどういうわけか8割が昭和のイケメン顔。時代劇から現代劇まで、そんな役者が重宝されるのでしょう。

浅香航大

actor

脇に構えながら突き抜けた芝居で注目せざるを得ない存在!
「映画『桐島、部活やめるってよ』は、東出昌大さん、仲野太賀さんなど、今となってはメインでも大活躍している役者たちが実は脇でたくさん出ているという意味でも“名作”なんですが、浅香さんもそのキャストのひとり。昨年、『見えない目撃者』での突き抜けた芝居が注目を浴び、今期は行定勲監督の『劇場』にも出演した実力派です」

あさか・こうだい 1992年8月24日生まれ、神奈川県出身。初舞台は’09 年の『さよならエンジェル』。’11年の『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~ 2011』でドラマ初出演、翌年『桐島、部活やめるってよ』で映画デビュー。

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『見えない目撃者』(森淳一監督・2019年)日下部翔役、『劇場』(行定勲監督・2020年)田所役、『とんかつDJアゲ太郎』(二宮健監督・10月30日公開)夏目球児役、『滑走路』(大庭功睦監督・11月20日公開)鷹野役など。

矢本悠馬

actor

将来はムロツヨシや佐藤二朗?! 自分のキャラを確立し存在感を放つ。
「すでに自分のキャラを確立していて、『今日から俺は!!』ほかいろんな作品でその魅力を発揮していますが、驚いたのは『ちはやふる』シリーズでもムードメーカー的な存在感が際立っていたこと。こんな青春きらきらムービーにもフィットしちゃうんだ…と感心しました。将来的にはムロツヨシさんや佐藤二朗さんのような広く愛される役者になりそう」

やもと・ゆうま 1990年8月31日生まれ、京都府出身。映画『ぼくんち』でデビュー。’15年のドラマ『ブスと野獣』で連ドラ初主演。出演ドラマ『明治開化 新十郎探偵帖』(NHK BS プレミアム、NHK BS4K)が12月11日より放送。

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『賭ケグルイ』(英勉監督・2019年)木渡潤役、『屍人荘の殺人』(木村ひさし監督・2019年)重元充役、『今日から俺は!!劇場版』(福田雄一監督・2020年)谷川安夫役、『新解釈・三國志』(福田雄一監督・12月11日公開予定)黄蓋役など。

岡山天音

actor

スクリーンに映ると気になってしょうがないほどの魅力を発揮!
「映画『青くて痛くて脆い』でもそうでしたが、イケメンの主役の友達役にさらっとハマる人。喋っていると照れ屋でフニャッとした性格ですが、お芝居が大好きなのがにじみ出ている。脇で最も光っていたと思う映画が『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』。頼りないけれど、誰もが気になってしょうがないほどの魅力を放つ、唯一無二の存在です」

おかやま・あまね 1994年6月17日生まれ、東京都出身。’09年のドラマ『中学生日記シリーズ・転校生(1)~少年は天の音を聴く~』で俳優デビュー。’17年の主演映画『ポエトリーエンジェル』で、第32回高崎映画祭最優秀新進男優賞受賞。

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『リトル・サブカル・ウォーズ~ヴィレヴァン!の逆襲~』(後藤庸介監督・10月23日公開)主演・杉下啓三役、『おらおらでひとりいぐも』(沖田修一監督・11月6日公開)、『ホテルローヤル』(武正晴監督・11月13日公開)など。

寛一郎

actor

佇まいや視線、目力…圧倒的な色気を放つ役者界のサラブレッド。
「佐藤浩市さんを父に、三國連太郎さんを祖父に持つのは有名な話ですが、小さい頃からすでに撮影現場に連れてこられていた筋金入りです。この世界では、整った顔立ちながら少し特徴的な部分があることが色気に繋がるといわれているんですが、彼がまさにそれ。とくに『劇場』の佇まいや目力が放つ、圧倒的な色気からは目が離せません」

かんいちろう 1996年8月16日生まれ、東京都出身。’18年公開の映画『菊とギロチン』で俳優デビュー。映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』では第27回日本映画批評家大賞の新人男優賞を受賞するなど、デビュー時から注目を集めている。

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『劇場』(行定勲監督・2020年)野原役、『一度も撃ってません』(阪本順治監督・2020年)五木要役、『泣く子はいねぇが』(佐藤快磨監督・11月20日公開)志波役、『AWAKE』(山田篤宏監督・12月公開予定)など。

伊藤さとりさん 映画ライターであり、映画来日舞台挨拶や映画イベントなどの司会もする“映画パーソナリティ”。邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を観賞。ラジオアプリRadiotalkにて、「伊藤さとりのスナックシネマ」を配信中。

※『anan』2020年10月14日号より。イラスト・岡田成生 取材、文・若山あや

(by anan編集部)