キラキラ眩しく輝く…。そんな正統派のアイドルになりたかった。
歌マネやカラオケ番組、バラエティでも大活躍。さらに日本を代表するアニメ&アニメソングにこよなく愛され続け、今年デビュー35周年を迎えた森口博子さん。取材中、取材陣をずっと笑わせ続けてくれたことが、とても印象的でした。
――撮影時、カメラマンが指定した立ち位置よりちょっと前に出てしまう、その感じがなんとも“森口博子さん”ぽかったです(笑)。
森口:アハハ、そうなんですよ。撮影でもトークでも、なんかつい前のめりになっちゃうの(笑)。なんでしょうね、目立ちたいというよりは、もっと楽しんでほしい、もっと笑ってほしい、という気持ちの表れかなと、自分では思ってるんですが…(笑)。
――森口さんというと、バラエティで笑いを取り、ちょっと無茶もやるアイドル、いわゆる“バラドル”の先駆者の印象が強いですが、本当は正統派アイドルを目指していたそうですね?
森口:はい。小さい頃から歌うことが大好きで、人前で歌うと「上手かぁ、花村(本名)さん上手かぁ」って褒めてもらえ、みんなが喜んでくれるのが嬉しくて。「もう一曲、アンコールやがぁ」とか言われると、口では「もう、いやぁ~」なんて言ってるくせに、心の中では“じゃあアンコールはあの曲でいくか”と思ってる、そんな子供でした(笑)。あと、小学生のとき『ちびっこものまね紅白歌合戦』という番組の全国大会に参加して、全国大会に毎年出場したんです。会場は中野サンプラザ、生バンドの快感を知っちゃったんです。今思い出しても血が騒ぎます。“ここでもっと歌いたい!”、そう感じたことが、私の背中を押しました。正にライブの原体験です。
――憧れのアイドルはいました?
森口:当然、松田聖子さん! 松田聖子さんみたいなキラキラ光線を出すアイドルになりたい! って思ってました。
――あの、キラキラ光線ってなんですか…?
森口:私が憧れたアイドルはみんな、キラッキラの光線を出しているので存在自体が眩しいし、微笑みかけられた私たちは、その光線でクラッとするんです…って、わかります? この感じ。
――ちょっとむずかしいです(笑)。
森口:私が小学校6年生のときに、その『ちびっこものまね紅白歌合戦』に出場した際、ゲストが聖子さんで、たまたま舞台袖にいらっしゃる姿を拝見する機会があって。舞台袖って、真っ暗なんです。でも聖子さんは、後光が差していて、星が見えるかと思ったくらい、キラキラしてました。その翌年、今度は私は聖子さんのバックダンサーを務めるチャンスがあって、目が合ったときにニコッと笑ってくれて!! アイドルの微笑みで、人はこんなに幸せになれるのか…と感動して。私もそんな存在になりたいと思い、オーディションを受けまくってたんですが、これがまったく受からない(笑)。
――ここ10年ほど、女性アイドルグループ全盛期という感じですが、もし森口さんが今、中学生だったら、グループに入るオーディション、受けていたと思います?
森口:いや、受けてません。私は絶対ソロがいい!(キッパリ)
――なんと強い意志!
森口:というよりは、あの集団の中で、数秒で自分をアピールするとか、私には無理です(笑)。いつ自分にカメラが向いて…っていうのを秒単位で計算し、その瞬間が来たら相手を瞬殺! って、本当にすごい。鋼の心がないと無理です(笑)。
『機動戦士Zガンダム』挿入歌「銀色ドレス」や『機動戦士ガンダムZZ』オープニングテーマ「サイレント・ヴォイス」など、全10曲とボーナストラック2曲が収録。ジャズ・バイオリニストの寺井尚子さんやアコースティックギタリストの押尾コータローさんなど、豪華アーティストが多数コラボ。『GUNDAM SONGCOVERS 2』¥3,000(キングレコード)
もりぐち・ひろこ 1968年生まれ、福岡県出身。小さい頃からアイドル歌手に憧れ、'85年TVアニメ『機動戦士Zガンダム』の主題歌でデビュー。その後バラエティで活躍する“バラドル”の第一人者として活躍。2019年にガンダムソングをカバー&セルフカバーしたアルバム『GUNDAMSONG COVERS』をリリースし、10万枚を超える大ヒットを記録し、「日本レコード大賞」では企画賞を受賞した。
※『anan』2020年9月30日号より。写真・小笠原真紀 ヘア・原田妃佳留
(by anan編集部)