怒った状態=闘争モード! まずはクールダウン法で対処。
「怒りを感じることは悪いことでありません。ただし取り扱い方が難しい感情です」と、臨床心理士の関屋裕希さん。
そもそも怒りは、原始時代は人間が危険を察知し闘って生き延びていくために必要な感情だった。
「ところが現代でカッとなって思わず衝動的な行動をとれば、人間関係も社会的な信用も台無しになりかねません。上手に付き合っていく必要があります」
対処法がクールダウン法。
「怒りを感じた瞬間=闘争モードなので、冷静な判断を取り戻す手段となってくれます」
冷静な判断力を取り戻すためのクールダウン法
呼吸法(こきゅうほう)
怒りがなかなか消えないときに。
腹式呼吸を使ったリラクセーション法。カッとなったときはもちろん、怒りがなかなか消えないときに大きな効果を発揮する。まず息を吐き切り、鼻からゆっくり息を吸って1秒程度の間を取る。次は吸うときの倍の時間をかけながら口からゆっくり息を吐き出し、吐き切った後に少し長めの間をおく。1分間に6~8回。
漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)
後から怒りがこみ上げてきたときに◎。
怒りを感じているときは体が緊張状態にあるため、体にアプローチして怒りを静める方法。椅子に浅く腰かけ、両手は握り目を閉じて体を丸め、体にグッと力を入れたらその緊張状態を5秒ほどキープ。その後に一気に全身の力を抜き、背もたれに寄りかかりながら15秒ほど筋肉の緊張が抜けるのを味わう。
カウンティング法
カッとしたら即、数を10数える。
怒りで頭に血が上ったときは、脳内に別名“闘うホルモン”と呼ばれるノルアドレナリンが分泌されて興奮した状態に。冷静さを取り戻すために、頭の中あるいは口に出しながら「1、2、3……」とゆっくり10数える。「好きな食べ物を10思い浮かべる」「同じ形のものを10探しながら数える」など、アレンジしてもよい。
イメージ法
怒りが和らぐイメージを思い浮かべる。
頭の中で怒りが和らぐような1シーンを思い浮かべる方法。「小川の流れやさえずる鳥」のような癒される風景や、「宇宙から見た地球」のような時空を超えた景色、あるいは「学生時代の部活での地獄の特訓風景」を思い返して「あれよりマシ」と自分に言い聞かせても。気持ちがスッキリするものなら何でもOK。
リマインダー法
“魔法の言葉”で怒りを和らげる。
「百害あって一理なし!」や「短期は損気!」「ストップシンキング!」など、自分にとって怒りが鎮火できそうな“魔法の言葉”をいくつか用意しておき、腹が立った場面で頭の中で唱える方法。「いつかドブに落ちる」など、思わずぷっと噴き出してしまうようなユーモアの効いたフレーズを使うのもおすすめ。
関屋裕希(ゆき)さん 臨床心理士、心理学博士、東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野客員研究員。著書に、ネガティブな感情と上手く付き合うためのコツを紹介した『感情の問題地図』がある。
※『anan』2020年9月9日号より。イラスト・山中玲奈 取材、文・小沢緑子
(by anan編集部)