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ピルは小学生から60代まで…“女性ホルモンを整える”ピル活用法

2020.3.23
女性ホルモンを整える心強い味方、「ピル」との正しい付き合い方とは? 産婦人科医の吉野一枝先生にお聞きしました。

ピルには生理痛緩和や美肌効果も!

「もともとピルは1999年に経口避妊薬(OC)として日本で使われるようになりましたが、2008年には月経困難症の治療薬(LEP)として正式な認可を受けました。ピルを飲み続けると排卵が止まりますが、これにより生理痛やPMSの症状が軽くなるばかりか、良質な卵子を温存して不妊を予防できたり、子宮内膜を薄い状態に保つことで子宮内膜症のリスクを減らすなどの効果も期待できるようになります」

健康面だけでなく、さらに美容面ではこんなメリットも。

「皮脂の分泌を活発にする黄体ホルモンの濃度が低く推移するため、ニキビができにくくなり、肌のコンディションも整います。婦人科医という立場から言うならば、高級なコスメを買うよりもよっぽど効果的といえるでしょう」

副作用の心配はほとんどなくなっています。

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ピルにさまざまなメリットがあるとわかったところで、気になるのは副作用のこと。

「“ピルを飲むと太りやすくなる”と信じている人もいるようですが、これはまったくの誤解です。飲みはじめに気持ちの悪さやだるさ、むくみなどが起こることが時々ありますが、これはホルモン状態が安定する最初の3か月までのこと。ずっと続くわけではないので安心してください」

一つだけ注意したいのは、血栓症のリスクについて。

「血栓症とは、血管の中で血液が固まってしまい、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす症状。ただしピルによる血栓症のリスクは喫煙の半分以下です。あまり心配する必要はありませんが、気になる人は医師に相談してみてください」

ひと月にかかる費用は、約1300~4000円。

吉野先生によると、クリニックで購入可能なピルには保険適用のものと、保険適用外のものの2種類がある。

「生理痛がある場合は保険適用のものが処方されますが、生理痛がない場合で生理をずらしたり、避妊目的で使用したいなら自費のピルを使うことになります。保険適用のピルの値段は1か月で約1300~3000円ほど。ただし初診料や再診料などがかかります。1回に処方してもらう量は多くて3か月まで。自費のピルの場合はクリニックによるので、1シート2000~4000円と幅があります。場合によっては保険適用のピルより安いものもありますし、一度に半年分をまとめてもらえるなど、処方量にも決まりは特にありません」

処方量については、医師の判断なしに長期間飲み続けることはできないため、特別な理由がある場合は相談を。

ピルを出してもらうのに、特別な検査は不要。

ピルに興味はあるけれど、「病気でもないのに婦人科に行くのはハードルが高い」「大がかりな検査があると面倒…」と思っている人も多いのでは。

「ピルをもらうのに、内診台を使っての検査や、血液検査などは特に必要ありません。行うのは簡単な血圧測定と、問診のみ。血栓症のリスクが高い人でなければ、誰でも簡単にピルを処方してもらうことができます」

最近は、若い年代を中心にピルを服用する人も徐々に増えてきているとのこと。

「私のクリニックでは、月経がはじまったばかりの小学生にもおすすめしています。ホルモンの状態によっては、50~60代まで服用する方も」

と吉野先生。あまり特別なことと思わずに、気軽に足を運んでみよう。

2日までなら、飲み忘れてもリカバー可能。

「ピルの服用は、1日に1錠を決まった時間に飲むのがルール。前後1時間程度の誤差なら気にしなくても大丈夫ですが、なるべく同じタイミングに飲み続けることが肝心です。ただし、初めて服用する時や胃腸が弱い人は気持ちが悪くなる可能性もあるので、食後の服用がおすすめ」

では、もしも飲み忘れてしまったら…?

「飲み忘れた場合は、気づいたタイミングですぐに服用すること。それが翌日になってしまった場合は、2回分をまとめて飲むことになりますが、気分が悪くなるのを避けるため、1時間ほど時差を設けて。避妊効果を求める場合、1~2日の飲み忘れならこの方法でリカバーできますが、シートの始めの3日分以上忘れた場合は妊娠する可能性も出てしまうため、1週間は別の避妊法を試みる必要があります」

他にもまだある、女性ホルモンを整える方法。

女性にとってピルはとても便利な薬だけど、「毎日飲むのが難しい」という人もなかにはいるはず。そこでおすすめなのが、「ミレーナ」。

「通称“リング”といわれるアイテムです。黄体ホルモンが付加されたリングを医師の手で子宮の中に挿入すると、少しずつホルモンが放出され、半年ほど経つ頃には子宮内膜が薄くなり、出血もほとんどしなくなります。ピルと同じ避妊効果を持ちながら、1回装着すれば5年間は効果が持続するところも魅力的なポイントです」

リングを子宮に挿入するといっても、つけたあとの違和感や痛みは一切なし。ピルのように毎日飲む必要もないため、小さな子どもがいる母親や働く女性、夜勤などで生活が不規則な人にもおすすめ。

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避妊リング「ミレーナ」。2007年に避妊具として国内で承認済み。過多月経、月経困難症に対して2014年に保険適用。

吉野一枝先生 産婦人科医、臨床心理士。高校卒業後、フリーターやCM制作会社を経て、32歳で帝京大学医学部入学。2003年によしの女性診療所を開院。『母と娘のホルモンLesson』(メディカルトリビューン)など著書多数。

※『anan』2020年3月25日号より。写真・中島慶子 イラスト・山中玲奈 取材、文・瀬尾麻美

(by anan編集部)