仕事、スポーツ…「理想のチーム」 必要な“4つの条件”とは?

ライフスタイル
2020.01.24
「新語・流行語大賞2019」で、ラグビーW杯の日本代表がスローガンに掲げた「ONE TEAM」が年間大賞を受賞。スポーツだけでなく、“強いチーム力”が描かれた映画やドラマが話題を集め、多くの人の心を掴んでいる。ビジネスの世界でも、チームは注目のキーワード。最近では、多くの企業が従業員の連帯を重要視し始めている。さまざまな知見や証言から、理想のチームとは何か、仲間が個に与える力などを読み解いていきます!

チームの形は変化。従来型にくらべて“役割重視”に。

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久しく個の時代といわれてきたが、いまチーム力が見直されている。その理由を数々の企業で組織マネジメントに携わってきた奥田和広さんはこう話す。

「かつては終身雇用が当たり前でしたが、古い日本的経営の習慣は崩壊し、個の能力を大切にする流れに。しかし一人では絶対に達成できない、大きなことを成し遂げるためにはチームの力が必要不可欠。チームが活性化することで、個がより高い能力を発揮できるんです」 

チーム作りは、雰囲気より、役割を重要視すべきだと、心理カウンセラーの塚越友子さん。

「チームに人間関係はつきものですが、そこからのアプローチではなく、個々の存在意義を高め、仕事上の役割を明確にすることが大切です。そうすれば責任感が生まれ、まとまりやすくなり、チームは強くなります」

人がチームで強くなれる理由。

一人ではできないこともチームなら実現可能に!
1+1=∞になるのがチームの強み。「チームに所属すると、メンバーシップ性、帰属意識、社会的アイデンティティが生まれて、意欲や自信を生み出し、想像以上の力が発揮できるようになります」(塚越さん)

みんなで助け合ってお互いに成長できる。
「多様なスキルや経験を持つメンバーが集まることで、新しいアイデアが生まれ、さまざまなことにチャレンジでき、自分の成長にも繋がる!」(奥田さん)。またお互いの苦手分野を補うことができるというメリットも。

ねぎらい合える仲間が一人一人をより強くする。
「支え合う以上に、ねぎらい合うことが人間関係を豊かにしてくれるんです」(奥田さん)。「人間は孤独に弱いもの。繋がりが持てないと不安感が募り、行動を萎縮させてしまいます。仲間の存在自体が重要です」(塚越さん)

目的を共有することがチーム力アップの大きな鍵。

理想のチームになるためには、“目的”を持つことが大前提。

「目的があるからこそ、チームは作られる。だからその目的をチーム全員で共有できれば、自分が何をすべきかがおのずと見えてきます。時間、場所、雇用形態に囚われない多様な働き方が可能になってきたからこそ、チームで目的意識を持つことが何より大事です」(奥田さん)

「目的を共有できたら、もちろんそこには成果や成功体験も必須。結果にコミットできれば、生産性が上がり、さらにチーム力が高まります。リーダーの存在も大きいけれど、価値観も多様化してきているため、チーム全体の価値や目的に魅力を感じられないと団結できない時代になってきています」(塚越さん)

そして今後、理想的なチームを作るために必要とされるのが、下記の条件。心がけてみよう。

理想のチーム、4つの条件

【透明性】
人間は、わからないことや知らないことに強い不安を抱くもの。チーム内で進捗状況を随時報告するなど、できるだけ風通しをよくしてオープンにしたい。また、迷った時はすぐに相談し、失敗した時にはそれを隠さずに報告する、逆に上手くいった時は褒め合える…そんなお互いをサポートし合える環境が作れると、チームは強くなる!

【信頼関係】
最高のチームワークを構築するために、信頼関係は最重要。チームメンバーが多ければ多いほど、強い信頼関係を築くのに時間とリスクを要するので、まずはそれぞれの存在価値や存在意義を認め合うことから始めてみたい。そうすれば何かトラブルが起こった時も助け合えるし、大きな目的に対しても力を合わせて取り組むことができる。

【一致団結】
チームの目標が決まっていない時は、意見を述べたり、疑問を投げかけたり、反論をしてもOK。しかし最終的なジャッジが下ったら、その目標に向かって一致団結すること。文句を言ったり、少しでもズレが生じ始めると、不信感が生まれる。もちろん目標に向かっている間も、コミュニケーションは欠かさず、モチベーションを維持させて。

【ルールの共有】
チームスポーツの世界では、ルールや勝利条件を参加者全員が理解しているからこそ、集団で戦うことができる。それはビジネスなどのチーム作りでも同じ。一緒に戦う上で、最低限のルールや規律を決めて、指標を共有することが大切。ただしモラルは人によってバラバラなので、できる限り具体化して解釈を一致させておくことがマスト。

働き方改革以降、数々の企業もチームワークに注目。

チーム力回帰に至った経緯は、ほかにもこんな理由が。

「成果主義による個の競争に、人々が疲弊し始めたことが大きく関係しています。さらに、深刻な人手不足、労働時間短縮を掲げる働き方改革が追いうちをかけた。そこで“全体は部分の総和以上になり、大きな仕事を成し遂げることができる”可能性を秘めたチームワークが注目され、チームを重要視する傾向に変化したんです」(塚越さん)

「国内外の大手企業もチームの力を最大限発揮するために、さまざまな新しい取り組みを行っています。変化が激しいベンチャー企業でも、臨機応変できるチームの在り方が見直されてきています」(奥田さん)

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さらに、チームで得た成果は、個で得るよりも幸福感が大きく、人生を豊かにするとも。いまこそチームの力で前進しよう!

塚越友子さん 公認心理師、心理カウンセラー。ペンネーム・水希として著書多数。『銀座No.1ホステスが教える男の見極め方』(秀和システム)など。

奥田和広さん (株)タバネル代表取締役。著書に『本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR』(ディズカヴァリー・トゥエンティワン)。

※『anan』2020年1月29日号より。イラスト・深川 優 取材、文・鈴木恵美

(by anan編集部)

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