星野源のCDジャケも! デザイナー・吉田ユニ、アイデアの源泉は?

エンタメ
2019.11.25
ラフォーレ原宿のキャンペーンビジュアルや、星野源さんのCDジャケットなどを手掛ける吉田ユニさん。自身の作品が一堂に会する個展「Dinalog」も開催中です。かわいさと毒っ気、そして上品さのバランスも絶妙な作風が魅力の、彼女の素顔に迫ります。
yosida yuni

――作品作りをしていて、特に喜びを感じる瞬間はどんなとき?

まずは、自分の頭の中に浮かんだアイデアが、実際に形になったとき。例えば今回の展覧会でも見ていただける作品なんですが、雑誌『装苑』の75周年記念のビジュアルを作った際、モデルのポートレートを75年分の背表紙1300冊に分解して印刷し、実際に背表紙に貼り、本棚に並べて撮影をしたんです。そういうときが、まず“第1喜び”です。ちなみに私は、ひたすら背表紙に貼っていく、というような単純作業がとても好きなので、そういう意味でも喜びがあります(笑)。

――もしかして、背表紙、吉田さんが貼ったんですか?

はい、お手伝いをしてくれた大学生たちと一緒にちまちまと(笑)。すっごく楽しかったです。そして、それを撮影するわけですが、撮影した写真を使ってビジュアルをデザインし、それが完成したときが、“第2喜び”。あ、それと、仕事の性質上、見てくれた方の声を直接聞く機会はなかなかないのですが、5年前に初めて個展を開催したとき、見に来てくれた方からいろんな感想を聞けたので、そこもまた、別の喜びですね。

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――でも確かに吉田さんの作品は、現物を作って撮影されているという意味でも、細部へのこだわりがとても感じられて、そこも大きな魅力ですよね。

幼稚園のときから絵を描くのが好きだったんですが、よく描いていたのが、近所の駄菓子屋さんのおじさんがいつも変わった細かい柄物の靴下を履いていたので、それを家で思い出しながらひたすら描いたり。あと、歯医者さんごっこのときは入れ歯を作ったりしていて…。

――入れ歯を作る、とは…!?

ピンクの練り消しで歯茎を作り、近所にあった白い小さな石を拾ってきて、それを歯の形に並べて、フェルトペンで虫歯を描いて、白い絵の具で上から塗って「治療できました」とか言ってました。カルテも作ってましたね…(笑)。それから、ファミコンが欲しかったんですがなかなか買ってもらえなかったので、自分でファミコンとカセット的なものを工作して、マリオの絵を描いてテレビに貼って、楽しんでました。自作のカセットの差し込み口のところを、「あれ、おかしいな?」とか言いながら、ふーって吹いたりして(笑)。そう思うと、ディテールにこだわって工作をするのは、その頃から好きだったみたいですね。この前幼稚園の頃からの友人にも変わってないね、と言われたんですが、たぶん、今作品作りで感じている楽しさは、その頃感じていた気持ちの延長線上にあるような気がします。

yosida yuni

――手を動かす喜び以外に、実際に作品を作り、撮影することの利点はありますか?

個人的には、やっぱりディテールが当然リアルに作れますし、同時に温かさみたいなものが出る気はします。ただそれよりも、実写にすると、“こっちの角度もいいかも”とか、“こういう影の出方、おもしろい”とか、その場で発見があるんですよね。想像していたのとは別の到達点が見え、より良いものが出来上がる気がする。そこも一つの良さだと思います。

――それから、吉田さんの作品からは、独特の毒っ気というか、若干の“怖さ”が漂う気がするのですが、そこに理由はありますか?

怖いものは小さい頃から大好きなんですが、楳図かずおさんや、つのだじろうさんのマンガを好きで愛読していました。『りぼん』も買うけれど、『サスペリア』っていうホラーマンガ雑誌も買う小学生(笑)。

――友達とは、そのあたりの趣味は分かち合えたんでしょうか…。

友達に勧めてはみたものの、いまいち芳しくなかったです(笑)。なので、友達とは『りぼん』の話をしつつ、一人で近所の古本屋をめぐり、つのだじろうさんなどのマンガを探してました。私の作品に怖さがあるとしたら、ルーツはそのあたりですかね(笑)。

――今回の展覧会は、5年間の作品が一堂に会すると伺っています。そんなかわいさや怖さがたっぷり楽しめますね、楽しみです。

今図録を作っているんですが、本当に仕事ばっかりしていたなと思いました(笑)。

――その中には、生みの苦しみがあった作品もあると思いますが、考えても考えてもアイデアが出ないときは、どうするんですか?

しょっちゅうあるんですが…。「きっと今日の夕方にはアイデアが出てるだろうな。そしたら早く帰れるかも!」って、“アイデアを出し終わって幸せな自分”を想像するんです。それでなんとかひねり出します(笑)。

――ちなみに、アイデアが出た場合は、どんな素敵な夜を過ごすんでしょうか?

えーと、おいしいものを食べたり、犬とゴロゴロ…。そのくらいですかね(笑)。

よしだ・ゆに 1980年生まれ、東京都出身。女子美術大学を卒業後、大貫デザインなどを経て独立。パルコやルミネなどのファッションビルや、ワコール、資生堂などブランドの広告イメージビジュアルを中心に、木村カエラ、CharaなどのCDジャケットも数多く手掛ける。

12月1日まで、ラフォーレミュージアム原宿にて「吉田ユニ展『Dinalog』」が開催中。これまでに仕事で手掛けた作品に加え、撮り下ろしの新作や、また制作の裏側を垣間見られるラフスケッチや撮影に使ったプロップ、さらにはメイキング動画も公開。作品集も刊行される。

※『anan』2019年11月27日号より。写真・小笠原真紀 

(by anan編集部)

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