遊び心あふれるトイ“ホラー”ストーリー。
主人公は、引っ越しをして友だちがいない少年アンディ。母親カレンは女手ひとつで彼を養うために量販店で働きづめ。友だちと遊ぶこともなく、いつもひとりぼっちでゲームばかりしているアンディを心配したカレンは、勤め先に返品された不良品の「バディ人形」を彼にプレゼントします。はじめこそ、「バディ人形」の奇妙な言動に戸惑っていたアンディですが、やがて「バディ人形」の虜となっていきます。
チャッキーの服装は’88年版と同じ、青いオーバーオールにマルチボーダー柄のトップス。商品名が’88年版の「グッドガイ人形」から、「バディ人形」に変更されていますが、これにはワケが。’88年版の人形デザインの元ネタとされているのが、玩具メーカー・ハズブロが販売していた「マイ・バディ人形」なのです。商品名だけでなく、今作のチャッキーは内面的にも大きな違いが。’88年版のチャッキーは自分のエゴのために殺人を犯しますが、今回は、持ち主アンディへの愛ゆえに暴走を重ねていきます。実はこの設定も’88年版の初期プロット(構想段階のあらすじ)と同じ。’88年版の精神に敬意を払いながら、現代版にリブートしているのです。
今作のチャッキーは、最先端テクノロジー企業カスラン社が手掛けたAI技術を搭載。電化製品を自在に操り、人間の言動を学習してどんどん賢く進化していきます。ある日、チャッキーは、アンディや彼の友だちと一緒にホラー映画の名作『悪魔のいけにえ』を観賞。アンディたちがゲラゲラと笑う姿を見て、チャッキーは残酷な殺人シーンを彼を喜ばせるものだと勘違い。アンディを傷つける相手を見つけるやいなや、『悪魔のいけにえ』を即マネして、制裁を加えてしまいます。チャッキーの凶行を知ったアンディは当然ながらドン引き。ところが、アンディがチャッキーと距離を置こうとすればするほど、彼は暴走。アンディの身近な人々を恐怖に陥れていきます。
孤独にさいなまれ、チャッキーのトリコになっていく少年アンディの心を繊細に表現したのは、ガブリエル・ベイトマン。ホラー・ドラマ『アウトキャスト』では悪霊に憑りつかれた少年に扮し、生きたゴキブリを食べる衝撃シーンを披露して話題を呼んだ美少年で、『アナベル 死霊館の人形』や『ライト/オフ』などの大ヒットホラー映画にも重要な役で出演しています。チャッキーの声を熱演したのは、『スター・ウォーズ』シリーズのルーク・スカイウォーカー役でおなじみのマーク・ハミル。『スター・ウォーズ』ネタで笑わせてくれるほか、彼が歌うバディ・ソングの破壊力が半端ない!
観終わった後は、きっと頭の中で無限ループしてしまうはず。くれぐれも人形のそばでは歌わないように…。
『チャイルド・プレイ』 ホラー映画史に残る大ヒット作『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』の製作陣が手掛けた『チャイルド・プレイ』のリブート。本国では『トイ・ストーリー4』と同日に公開された。全国公開中。©2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved.CHILD'S PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation. All Rights Reserved.
※『anan』2019年7月31日号より。文・田嶋真理
(by anan編集部)
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