『スイミー』でもおなじみ! 絵本作家の巨匠レオ・レオーニの大回顧展

2019.7.30
赤いきょうだいの中で、唯一黒い魚の物語『スイミー』をはじめ、ねずみの『フレデリック』や、しゃくとりむしの『ひとあし ひとあし』など、数々の名作で知られる絵本作家レオ・レオーニ。日本では「スイミー」が教科書にも掲載されファンが多い。そんな彼の人生とともに、作品を紹介する大回顧展『みんなのレオ・レオーニ展』が始まった。

レオーニは本名レオナルド・リオンニといい、1910年オランダ・アムステルダムの裕福なユダヤ人家庭に生まれた。家にはシャガールの油絵があり、デッサンは叔父さんから教わるなど芸術に囲まれて育った。学生時代は両親の仕事の関係で欧米を転々としながら過ごし、多彩な文化に触れながら成長する一方で、「自分とは何者なのだろう」という疑問を常に抱き続けた。その疑問こそが、彼の創作の原点となる。

20代後半にはイタリアでグラフィック・デザイナーとして活躍するも、第二次世界大戦中にユダヤ人への迫害を逃れアメリカに亡命。雑誌のアート・ディレクターや編集長を務め、NYでも成功を収める。けれど心には葛藤があった。「本当に自分がやりたいことは何だろう」と。

そんな折、孫のために描いた絵本『あおくんときいろちゃん』が出版され、49歳で絵本作家としての人生を歩み始める。他人のための仕事を引退し、「おのれとは何者かを知ることは、子供にとって大切なこと」と仕事に邁進したレオーニ。研ぎすまされた色彩感覚の絵と、人には個性と役割があるというメッセージ。それらが集結した絵本は、世代を超えて今も私たちを惹きつける。

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「スイミー」 1963年 スロバキア国立美術館 Swimmy©1963 by Leo Lionni, renewed 1991/Pantheon On Loan By The Slovak National Gallery

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「平行植物」シリーズ:《向月葵》 1971年 Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family

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「アレクサンダとぜんまいねずみ」 1969年 Alexander and the Wind-up Mouse©1969, renewed 1997 by Leo Lionni/Pantheon Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family

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「ザ・ファミリー・オブ・マン(人間家族)」表紙 1955年 Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family

『みんなのレオ・レオーニ展』 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 東京都新宿区西新宿1‐26‐1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42F 開催中~9月29日(日)10時~18時(入館は17時30分まで) 月曜休(8/12、9/16、9/23は開館) 一般1300円ほか TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)

※『anan』2019年7月31日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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