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肉体的には男性の少女がバレエダンサーを目指すLGBTQ映画

2019.6.27
「シネフィル(映画通)な母親の影響で幼い頃に映画が人に与える影響力を実感。将来は映画を作る人になりたいと夢見るようになりました」 俳優と紹介されても納得する端正な顔でニッコリと微笑むのは、ルーカス・ドン監督。脚本・監督を手がけた『Girl/ガール』が昨年、カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞。ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞候補にも選ばれ、一挙に注目度が上昇している。長編監督デビュー作である本作は、バレエダンサーを夢見るトランスジェンダーの少女ララと、彼女の葛藤に焦点を当てた青春ドラマだ。
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「LGBTQ映画というとセクシュアリティに悩む主人公と外界との軋轢を描く作品が多いけれど、僕は自身を受け入れたララという少女の人間性や葛藤に注目した。彼女を取り巻く人々が最初からララを応援している設定にすることで、なおさら、少女の内面で何が起きているのかが際立ったと思う」

性転換手術前なので肉体的には男性であるララはトゥシューズに苦労し、クラスの女子による残酷ないじめにも遭う。“理想の自分”を目指すララの悩みはある意味、誰もが共感できるものだ。

「女性の摂食障害なども同じで、『私はこうあるべき』と考えると精神的にも肉体的にも自分を傷つけてしまいがち。ありのままの自分でいるには強さが必要だから。ララの行為はそのメタファー。物議をかもすテーマだけど、僕はきっと、本当の自分で生きるという人間の側面を掘り下げていきたいんだと思う」

監督が“個人的な作品”と呼ぶ本作は、実は学生時代に知り合ったダンサー、ノラ・モンセクールに着想したもの。ノラは企画段階から完成まで監督と密にコラボ。キャスティングにも深く関わった。

「ララを演じたビクトールは現役のダンサーで、(身体的性と性自認が一致する)シス・ジェンダーだけど役柄に近い資質を持っていると感じた。柔和でエレガントで、自身のフェミニンさも自然に受け入れている。彼の演技を見ると、ジェンダーの考えにはパフォーマンスの側面があるとわかるんじゃないかな」

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『Girl/ガール』 監督・脚本/ルーカス・ドン 出演/ビクトール・ポルスター、アリエ・ワルトアルテ、オリバー・ボダル、ティヒメン・フーファールツほか 7月5日より新宿武蔵野館ほか全国公開。©Menuet 2018

1991年、ベルギー生まれ。映画学校在学中に制作した短編がアカデミー賞短編部門選考対象となり、才能に注目が集まった。本作でカメラドールのほかクィア・パルムも受賞。

※『anan』2019年7月3日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・山縣みどり

(by anan編集部)

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