え、「ありがとう」を練習!? 夫婦関係の悩みはこう解決する!

2018.11.26
現代になんとなく生きづらさを感じている人たちに向けて、占い師・しいたけ.さんと精神科医・名越康文さんがアドバイス。「現代における幸福への道」をご紹介します。

受け入れられたいなら、まずは他人を受け入れよう。

幸福への道

N(名越さん):対人関係というと、“他人を受け入れる”ことより、“どうしたら他人に受け入れられるか”を、まずはみなさん考えがちだと思うんです。でもそれはまったく逆の話で、他人から受け入れられたいなら、その前に、相手が喜ぶことを、たくさんしてあげることが先決でしょう。そうじゃないと、人は他人を受け入れられないです。

S(しいたけ.さん):それを聞いて、以前、名越先生のメルマガか何かに寄せられていた相談を思い出しました。

N:え、どんな?

S:ある新婚の旦那さんからのメールだったんですけど、奥さんが出産されたとかで、結婚して初めて夫婦仲が険悪になった、と。お互いにつんけんしていて、どうしたらいいでしょうっていう相談に、すごい名回答だったんです! それは、奥さんがいない時に、目の前に奥さんがいると想定して「いつもありがとう」って言ってくださいって。

N:そんなことありましたね。

S:はい。それを1 週間続けていくうちに、「ありがとう」って言う空気がこなれてきて、自然と口から出てくる。そして、相手に届く言葉になる、と。

N:なんだか、気恥ずかしいけれど(笑)、きっとその時の僕は、彼に予行演習をしていると思わせておいて、それこそが最良のセラピーになると、感じていたんでしょうね。

S:すごい…!

N:いきなり相手に何かを伝えるのは、とても難しいんです。受け入れてもらうには、その土壌をつくっておかないと。会話の場合は、話し手より、“いい聞き手”であることが重要です。僕がテンション高く話していられるのは、しいたけ. が真剣に聞いてくれているおかげであって、実は人の話を興味深く聞き続けるのって重労働。一方、話し手は、聞き手が相づちを打ってくれたり、「それで?」と話を促してくれたりすると、とても幸せな気持ちになれるんです。

S:自分が話している時のことを考えると、確かにそうですね。

N:それなのに、自分側が上手く話す技術ばかり身につけようとすると、ますます人が離れていってしまう。

S:それと近いことだと思うんですけど、僕は人と接する時、架空の設定をつくります。たとえば仕事相手の方が黄色いニットを着てきたら、「これはその方の先輩が引退した時に、後輩に託した伝来のニットだ」と。

N:受け継いだ学ランで来た、みたいな?

S:はい。今日は特別な日だから、気持ちを込めて着てきてくださった、という設定です。そんなふうに、ある意味、舞台を上げると、こちらの入り方が変わってくるというか。

N:確かにね。

S:そして、勇気を振り絞って初めてネイルをして…って、そこまでいくと変態的になってくるんですけど(笑)、とにかく迎える態度が違ってくるんです。

N:違う、違う。たとえフィクションでもそう思うだけで、相手と向き合う気持ちが、俄然、ノッてきますよね。

S:相手を受け入れる態勢がとれます。

N:ただ、そういう気構えの人は、そんなに多くないと思うんですよね。きっと、どんなに気遣い上手の人でも、“相手に楽しませてもらいたい”という気持ちが、心のどこかに少なからずあるんじゃないでしょうか。でも、しいたけ. なんかは、友達がいなかった時に、誰も楽しませてくれなかったら、「ひとり密着番組ごっこ」とか、自分の想像力を駆使したわけでしょ。

S:そうですね(笑)。

N:妄想といえば妄想かもしれないけど、それによって自分の内面を満たしてあげたり、人を受け入れる態勢も整ったりするのだから、すごいことですよ。

S:妄想は使いようです。目の前の人を「苦手だな」って思ってそこで終わってしまうのと、「コワい気もするけれど、どうやら相手は勝負服を着てきてくれているらしい」と思うのとでは、その先の可能性が、まったく違いますから。

N:わかります。“自分はおもてなしされる側”ではなく、まずは自分から他人を受け入れる。そうすれば、人から受け入れられるようにもなりますよね。

なこし・やすふみ 精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。NTV系『シューイチ』ほか、さまざまなメディアでコメンテーターとしても活躍。著書多数

しいたけ.さん 占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)ほか。最新刊『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(KADOKAWA)が12月15日に発売予定。しいたけのブログ https://ameblo.jp/shiitake-uranai-desuyo/ 名越先生から「体癖」について学ぶなど師弟関係にある。ツイッターでのふたりのやりとりに注目者多数

※『anan』2018年11月28日号より。イラスト・100%ORANGE 文・保手濱奈美

(by anan編集部)


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