タイアップ曲は、CMのためにこういう曲が必要とか、ドラマやアニメ、映画に合わせたイメージソングが欲しいと依頼されて作ります。僕は、タイアップの場合は商品だったり、作品だったりにめちゃくちゃ寄せて寄せて考えるタイプです。だから、作ったものにクライアント側からNGを出されることは、比較的少ないかもしれません。そして、もし修正を依頼されても素直に言われたことを聞いて直すタイプです。最初に、アカデミックな曲でと言われ制作したら、「いや、もっと岡崎さんの『MUSIC VIDEO』みたいにハジけたやつ!」と言われ、それ、どっちやねんと思ったことはありますが、それも結局オーダーに沿った楽曲に作り直しました。
どちらかというと僕は、自分の中でのダメ出しが多いです。レコード会社に通達するまでもないボツが山ほどあります。そもそも、僕はタイアップで作った曲とアルバムに収録する自分の曲は別のものだと考えています。タイアップ曲は、クライアントに満足していただくことが最優先。自分のアルバム曲は自分のこだわりを追求します。曲が生まれるスタート地点からして違うというのが、僕の中でのタイアップ曲と自分の曲との違いですかね。
ミュージシャンの中には、自分が作りたいように作った曲がCMのイメージソングになり得るという素晴らしい才能を持つ方もたくさんいらっしゃいますし、それはそれでお互いにとって幸せなことだと思いますが、僕はちょっと向いてないようです。だから、アルバムも『OT WORKS』というタイアップ曲だけを集めたものを作るなど区別するようにしています。アルバムにタイアップがついた曲がずらっと並んでいると購買意欲が上がるし、初めてのお客さんも「あ、あのCMの曲か」と手に取りやすくなるというのも理解しているのですが、僕はそれをしていません。コアなファンの方に「新しいアルバム、既存曲ばっかりやん」と思われてしまうことが怖いし、僕の場合ネタバレ感があるだろうから、それじゃ面白くないだろうなと感じてしまうんです。せっかく自分の名前のついたアルバムを出すなら真っさらな10曲でお届けしたい。アルバム曲は僕だけのものです。だから、あとからタイアップで使いたいと言われても、それはお断りしますね。うん…。断りますよ。…多分ね。あの、でもそこは使用料次第でポリシー変わるかもしれません。
おかざき・たいいく NHK連続テレビ小説『まんぷく』に出演決定。JINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」、11/17(土)埼玉・三郷市文化会館から全国7か所にて。
※『anan』2018年11月7日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・村田真弓 文・梅原加奈
(by anan編集部)
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