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球根1個で邸宅が買えた!? チューリップに熱狂した時代とは

2018.10.15
17世紀のオランダでは、チューリップが珍重され、希少品種の球根1個が邸宅1軒分にも相当したそう。自分が投資した球根からブレイカー(色割れ)と呼ばれる縞模様の変種ができようものなら、一夜にして大金持ちに。当然、人々はチューリップへの投機に熱狂する。映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』は、そんな“チューリップ・フィーバー”が巻き起こっていた時代の物語だ。
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ヒロインは、孤児として修道院で育ち、親子ほど年の離れた裕福な商人コルネリス(クリストフ・ヴァルツ)に嫁いだソフィア(アリシア・ヴィキャンデル)。早く後継ぎを授かりたいというプレッシャーはあるものの、優しい夫のおかげで何不自由ない生活を送っていた彼女の胸に、徐々にさざ波が立ちはじめる。

この時代、チューリップと同様に愛されていたのが絵画。多くの金持ちがそうしたように、コルネリスもまた自分たちの肖像画を残そうとする。けれども、雇ったのが若い画家ヤン(デイン・デハーン)。恋も知らずに嫁いできた美貌の若妻と、イケメン画家が、恋におちるのに時間は要らない。人目を忍んで逢瀬を重ねる二人は、新たな人生を始めようと画策し、“チューリップ・フィーバー”に乗っかって、ひと山当てようとする。しかし、この“チューリップ・フィーバー”は、世界最古の経済バブルとされる事態。そう、バブルとははじけるもの。果たして、彼らがすべてを懸けたチューリップは、夢見た結果をもたらしてくれるのか。俄然、サスペンスフルな展開になだれこんでいくのが、この一見クラシックな恋物語の魅力。

なにしろ、冒頭に、ソフィアと自分の人生が逆転したと語るナレーションが流れるのだ。しかも、その声の主は、コルネリス家の召使いマリア(ホリデイ・グレインジャー)。これまたチューリップに一発逆転を懸ける魚売りウィレムとマリアの恋も並行して描かれるなか、2組の恋人たちをどんな運命が待ち受けているのか。悲劇と破滅の予感を抱かずにはいられないじゃありませんか。

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それにしても、ブルーのドレスを纏ったソフィアの美しいこと! チューリップを手に佇む彼女の姿に、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を思い浮かべる人も多いはず。それもそのはず、デボラ・モガーによる原作は「フェルメールの絵画の世界を小説にしたい」という思いから書きあげられている。絵画のような映像美のなかで、青いドレスの下でざわめくマリアの想いを、不安げな表情の中に浮かびあがらせるアリシアは、さすがアカデミー賞女優といったところ。

しかも、脇を固めるのが、クリストフ・ヴァルツと、修道院長を演じるジュディ・デンチというこれまたオスカー印の大物たち。キャンバス越しに視線を絡ませあうソフィアとヤンの恋の狂おしさを、名優たちの円熟が際立たせる。「夫を得るか、客をとるか、神に仕えるか」と、修道院長が何気なく口にするシーンも、大女優デンチが演じているから、観客はソフィアの行く末にさらなる不安を感じずにはいられない。王道悲恋を描いていそうで、予想をはるかに超えるものを見せてくれる映画。デインとアリシアの美男美女共演がお目当てでも、恋の愚かさも愛の大きさも見つめさせるオスカー俳優たちの実力にも感動するよ。

『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』監督/ジャスティン・チャドウィック 出演/アリシア・ヴィキャンデル、デイン・デハーン、ジュディ・デンチ、クリストフ・ヴァルツ、ホリデイ・グレインジャーほか 新宿バルト9ほかにて全国公開中。©2017 TULIP FEVER FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

※『anan』2018年10月17日号より。文・杉谷伸子

(by anan編集部)


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