ハライチ・岩井「芸人は意外と貞操観念が強い」 その心は?

2018.5.31
あえて昭和風に言うならば、まさに凸凹コンビ。のほほんとした優しい雰囲気が魅力の澤部佑さん。尖った刃のような鋭さを持つ岩井勇気さん。「ハライチ」として活躍するお二人にお話を聞きました。
タレント

最近また、友達みたいな距離感に戻ってきてます。

知っている人も多いかもしれませんが、ハライチの出会いは幼稚園時代。小学校5年生で同じクラスになり、いつの間にやら意気投合。同級生に「二人のノリにはついていけないよ…」と言われたコンビは、32歳になる今も、共に同じ道を歩んでいます。

――二人のノリと雰囲気は、小学校5年生くらいからず~っと変わらない感じなんでしょうか?

澤部:あ、たぶんそうなんでしょうね(笑)。ずっと、同じことを面白いと思えているところは、ハライチの強みだと思います。まあ一方では、進化してないってことかもしれないですけど。

岩井:あぁ、そうね(笑)。

――幼稚園で出会い、友達になったのが小学校5年生と伺っています。クラスが一緒になって、いきなり仲良くなったんですか?

岩井:最初は、見てるテレビが一緒程度の話だったと思いますよ。たぶん『ボキャブラ天国』の話とかしてたんじゃないかな。でも同じものを面白いと思ってると、それだけで仲良くなるじゃないですか。そこからです。

澤部:6年生になって一緒に学級新聞を作り始めまして。壁貼りの新聞。そこにオリジナルのカードゲームを付けて、「やりたい人は取ってください」ってしたんですけど、誰も取ってくれなくて(笑)。結局二人でやるっていう、ね。

岩井:うん。当時流行ってた<遊☆戯☆王>のカードみたいに、ゲーム性も持たせたんですけど。全然ウケなかったですね。あと、俺はマンガを描いてたな。で、澤部が小説を書いて。

澤部:そうそう、二人でそれぞれ連載を持ってました。なんか、放課後に二人でキャッキャしながら作ってたのを覚えてます。その工程が、すごく楽しかったんだと思います。

――岩井さんは?

岩井:えー…、僕もキャッキャしてたと思います。はい、してました、してました(苦笑)。

澤部:当時本当に二人で話すのが楽しくて、給食の時間に食べる班が違うのに、ずーっと二人で喋ってて。担任の先生に「お前らちょっと仲良すぎる」って怒られたり。仲良すぎるから怒られるって、意味分からないですよね。でも友達とかからも、「二人のノリにはついていけない」とか言われてた気がします。

――ハライチでは、ネタを書いてるのは岩井さんですよね。岩井さんにとって澤部さんは、ご自身のネタを最も理想の形にしてくれる表現者、という感じですか?

岩井:まあ、そうなんじゃないですか? ていうか、澤部は表現者でしかないですから(笑)。

澤部:ちょっと! “理解のある表現者ですね”って言ってくれてるのに、その言い方!

岩井:だって、澤部は表現者としか言いようがないじゃないか…。作ってるのは俺だし。あ、でも、前に役者さんにネタを書いたことがあって、それをやってもらったとき、結構面白かったんです。だから俺、誰に書いても面白いんだなって思いましたけどね(笑)。

澤部:(笑)。

岩井:でも、そのパターンはかなり稀有で、基本、芸人って、他の人とやらないんで、あんまりよく分からない。芸人は、意外と貞操観念が強いんです。うちのコンビはうちのコンビ、みたいなのが。

――くだらない質問ですが、澤部さんは、岩井さんのネタが一番面白いと思ってますか?

澤部:どうなんですかね…(ニヤニヤ)。でもたまに聞くんですけれど、よそのコンビは、初見でネタ合わせをしてもあんま笑わないことが多くて、ネタを書いている方がイライラする、とかって。そういう感じはないよな、と思いますけどね、うちは。

岩井:うん。

澤部:だいたい、こいつのスマホにざっくり書いてあるものを送ってもらって、それでネタ合わせをしていくんですけど、その間にも書いていないことをバンバン言ってくるんですよ。それが面白くて、思わず笑いながらツッコんだりとか…。結構いつも、楽しくやらせてもらってますね(笑)。

――お笑いのコンビは、仲良しという概念だけではやっていけないですよね。ビジネスパートナーとしてのドライな一面も必要だと思います。ただ、やはりお互いどこか尊敬しているところがあるからこそ、長くコンビが続くのでは…と、ファンからすると夢を見てしまう部分があるのですが…。

澤部:ん~、ある、んじゃないですかね。上手くいってるコンビは、やっぱりそれを持っていると思いますよ。それがなくなったら、解散ってことでしょう。

岩井:ハライチがなんで長くやっているのかって、解散の理由がないからです。

――活動を始めてからこれまでに、解散していくコンビをたくさん見ていると思うんですが…。

岩井:澤部が言った尊敬云々もそうかもしれないけれど、売れないから解散するんだと思います。

澤部:おい(笑)。

岩井:そりゃそうですよ。そういう時期がなかったから。だからめちゃくちゃラッキーなんです、我々は。

澤部:確かに、早めにテレビにも出させていただいて…。ネタのこととかでケンカはありますけれど、他で揉める要素は…。

岩井・澤部:ないですよね。

――揃った!!

澤部:だからいいんです(笑)。

――これだけ長くやってきて、改めて伺いますが、最近のお二人はどういう関係性なんですか?

澤部:仲悪くなるってことはなかったんですが、一時期ビジネスパートナー寄りになった時期があり、最近はまたちょっと、戻ってきてますかね、友達に。

岩井:うん。

――そのきっかけは?

岩井:……売れたからじゃないですか?(笑)

澤部:そればっか(笑)。

――でも、大事なんですね、売れるって。

岩井:大事大事。

澤部:だってカネがないとバイトしないといけなくなって、ネタ合わせの時間が減るわけじゃないですか。あと、心がどんどんギスギスしてくるし。

――売れてよかったですね。

岩井:よかったです(笑)。

澤部:真面目に答えると、ラジオをやってるのも大きいと思いますよ。ラジオでフリートークをしながらふざけ合ってると、昔を思い出すというか、自分たちのノリを確認できる。

岩井:そうだね。会っていない時間のお互いのことを報告し合う感じも、いいんでしょうね。

ハライチとしてのコンビ活動以外に、最近では個人としても大活躍。“お笑い界きってのアニメ好き”といわれる岩井さんは『ハライチ岩井勇気のアニニャン!』( TBS ラジオ、火曜21:00~)にパーソナリティとして出演中。澤部さんは、台本のない旅バラエティ『なりゆき街道旅』(フジテレビ系、日曜12:00~)にレギュラー出演中。

左・岩井勇気さん、右・澤部佑さん。共に1986年生まれ、埼玉県上尾市原市出身。幼稚園時代に知り合い、‘05年にコンビを結成、特待生としてお笑いスクールに入学。‘09年、M-1グランプリの決勝に進出し、注目される。以降TVのバラエティ番組や、ラジオなどで活躍。岩井さんがボケとネタ作りを担当、澤部さんがツッコミ担当。

※『anan』2018年6月6日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・河野友紀

(by anan編集部)


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