“ゴールデンタイム”は嘘だった!? 知っておきたい睡眠の新常識

2017.11.25
インナービューティのために、実は欠かせないのが、良質の眠り。続々発見される新常識を知り、快眠テクニックを身に付ければ、あなたも今夜からグッドスリーパーに大変身! 美しくなる“眠り”を身に付けて!
睡眠

睡眠は大事、ということはなんとなく知っていたけれど、ここへきて「睡眠負債」という言葉が注目されるなど、日本人の睡眠への意識が高まっている昨今。研究も進み、新しい見解が続々と。

「睡眠とは“日中、良いパフォーマンスを発揮するのに必要なもの”ということを理解しましょう。“よく眠れたか”ではなく、“昼間の行動に問題が起こらないだけの睡眠がとれているか”が重要です」(筑波大学教授・櫻井武先生)

起きてから眠るまでスッキリいるための睡眠先端理論をご紹介!

睡眠時間を削ると心と体がキケン! 睡眠負債って何!?

最近、世間でにわかに取りざたされている「睡眠負債」という言葉。これってどういうこと?

「睡眠不足が続いた状態を指す言葉です。理想の睡眠時間は個人や年齢によって異なるので一概には言えませんが、80%以上の日本人が約7時間は必要とされています。しかし、多くの社会人がその時間を確保できていないんです。今の日本人は、50年前と比べて就寝時間が1時間後ろ倒しになっていますが、就業時間は昔と変わらず。その結果、睡眠時間が常に1時間足りていないことに。こうして不足した睡眠時間は取り戻すことができず、どんどん蓄積。長く続くと免疫力低下や集中力の減退など心身に重大なダメージが出てしまいます。補う方法としては20分以内の昼寝が有効です」(櫻井先生)

成長ホルモンが出るゴールデンタイム は嘘!

「22時~深夜の間までに寝ると、成長ホルモンが出て美容にも健康にもいい」という話を聞いたことがある人は多いはず。

「それはよく、“ゴールデンタイム”などといわれますが、特定の時刻に成長ホルモンが分泌されることはありません。成長ホルモンは、時間帯で分泌されるのではなく、就寝後、最初に現れるノンレム睡眠と呼ばれる深い睡眠の時に分泌されます。たとえば深夜2時に寝ても、眠り始めに深いノンレム睡眠に入れれば、成長ホルモンは出るのです。逆に、22時に寝ても眠りが浅ければ、成長ホルモンはあまり分泌されません。大切なのは何時に寝るか、ではなく、“最初に深いノンレム睡眠に入れるか”ということ」(櫻井先生)

“寝ないと太る”には、科学的根拠があった!

むしろ寝ないほうが起きている時間にカロリーを消費して痩せられるのでは? という気もするけれど、実はそうではないよう。

「コロンビア大学が行った調査によると、平均睡眠時間が7時間の人と比べて、それ以下の人のほうが、肥満になる確率が高くなるとされています」(櫻井先生)

その原因で考えられるのは?

「睡眠が足りていないと、食欲をコントロールするホルモンが乱れてしまいます。お腹が満たされていても、もっと食べたいという気持ちがわき、食欲が増してしまうのです。また、睡眠時間が短いのは、人間にとって非常事態。これ以上何かあってはいけないと、体力を温存する方向に体が働くため、脂肪を溜め込み、太りやすくなるのです」(医師・白濱龍太郎先生)

良睡眠が決まるのは、寝入りばな1~2時間。

「成長ホルモンが出るゴールデンタイム は嘘!」でも触れたように、成長ホルモンが分泌されるのは、最初の深いノンレム睡眠の時。

「この深いノンレム睡眠は、良睡眠とも関わりがあります。実は良睡眠とは、深いノンレム睡眠をとることなのです。これが現れるのは、寝入りばな1~2時間後。睡眠には、脳も体も休んでいるノンレム睡眠と、体は動かないけど脳は活発に動いているレム睡眠の2つの状態があり、眠っている間、これが一つのサイクルとして繰り返されますが、時間が経つごとに、覚醒へ向けて眠りは徐々に浅くなっていく。つまり、最初の1~2時間を逃すと、その後、深いノンレム睡眠に入ることができず、睡眠の質が悪くなってしまいます。そんなノンレム睡眠とレム睡眠は、1回の睡眠で4~5回繰り返すのが理想的。それにはやはり7時間など、ある程度の時間が必要なのです」(櫻井先生)

櫻井 武先生 筑波大学教授。世界トップレベルの研究施設「国際統合睡眠医科学研究機構」副機構長。著書は『睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか』(講談社)など。

白濱龍太郎先生 医師。睡眠など専門クリニック「RESM新横浜」院長。著書は『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)など。

※『anan』2017年11月29日号より。写真・中島慶子 イラスト・山中玲奈 文・保手濱奈美

(by anan編集部)


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