アソコを柔らかくして…エッチもしなやかにデキる「大人女性の振る舞い方」
麻衣子(25歳)‟柔軟度レス”。「完璧な大人の女」でいなくちゃとがんばっていたけれど空振り。
【レスなひとびと】vol. 114
オフィスには誰もいない、金曜日の20時。残業中の麻衣子に声をかけてきたのは、後輩の健太。
「三宅さん、まだやってるんですか?」
人懐っこくてやんちゃ、ちょいと気になる後輩だ。麻衣子は、大手不動産会社に勤めて3年目。きちんとした性格で、毎日リストに入れたタスクが終わり切るまでは帰らないと決めていた。
「うん、もうちょっと」と返す麻衣子に、健太は「はやく終わらせて軽く飲みに行きませんか?」と誘う。
麻衣子は動揺していた。しばらく男性と2人で出かけるなんてなかったから。サラサラヘアでトレンドをおさえたビジネスファッション。絵に描いたような丸の内ウーマン。麻衣子はここのところ、仕事プラス資格の勉強で手一杯。
ジムやエステに行く時間や気持ちの余裕もない。自分を大切にできていない気がする。恋愛をして、その人のことまで考える余裕があると思えない。
だから、男性からの誘いをずっと断ってきた。同僚の女子社員たちがいつまでも学生みたいに「課長の〇〇さんってかっこいいよねえ」「次の合コンどうする?」など言うあいだにも、麻衣子はしっかりと仕事や勉強をしてきたのだ。
そんな麻衣子が、なぜ急に誘いに乗ったか。
健太に「三宅さんって、なんだか他の女子社員と違って大人ですよね」と言われたから。麻衣子にとって、もっとも言われたい言葉。他の女子社員とは違うがんばりを、誰かに認めてほしかった。
健太とオフィスを出ると、いつもの丸の内仲通りが華やいで見える。
「ここ、よく行くんです」健太が連れてきてくれたのは、東カレに出てくるようなおしゃれバー。
オリジナルの桜カクテルを飲みつつ、テリーヌをつまむ。ベースはズブロッカ。「桜餅の香りがするっしょ」と健太が笑う。お酒にくわしい男ってのは初めてだ。会計時、払おうとする麻衣子に「いや、僕が誘ったので払います」と健太。
2軒目、今度こそ払おうとしたら「じゃあ、三宅さんが楽しかったな、と思うぶんだけお願いします」といたずらっぽい笑顔。
「健太くんこそ大人じゃない」
一瞬でオチた。
気づくとホテル。まずい。普段きちんとしてるキャラを構築しているので、酔っぱらった時の反動が…と思ったけれど。まあよしとしよう。
後ろから奥をグリグリ突かれて、つい長い吐息を漏らしてしまった。「麻衣子先輩…思ったより…エロ…いです…ね」なんて途切れた声で話しかけてくる。
はずかしくもキュン。ポケットからキュンでなく、ヒップからキュンだ。
「健太くんと付き合いたい」と感じた。
その後も、仕事終わりに何度か同じようなことがあった。が、健太から「好き」や「付き合おう」の言葉はない。でも、私は知性がある大人の女。大人の女は「付き合おう」なんて野暮なことは言わない、と我慢一徹。
「うちらってどんな関係?」なんて聞くのは、幼稚な女子がすることだ。
しかし、3か月経ったある日、我慢できずに口走ってしまった。
「ねえ、私達って付き合ってる?」
「えっ、三宅さんもそういうこと聞いちゃうんですか。三宅さんってもっと大人の女だと思ってました」
氷のかけらが胸元から股間に滑り落ちたような寒い感覚。何も言わずに、麻衣子は背中を向けて走り出した。
【三松さんからのコメント】
後輩の健太くんにバカにされてしまいましたね。「大人の女」なんて言っておいて「都合のいい女」でいてほしいだけのパターンじゃないか。「大人の女」を自分にとってラクなように解釈して、不誠実な関係を作る男性の多いこと!
そして、残念なことにそれを許容してしまっている女性もいるいる。たくさんいる。
真の「大人の女」というのは、割り切った付き合いができる女性ではなく、自分を大切にすることができる女性じゃないかと。「エッチだけしたいから、付き合わなくていいのよ」と強引に割り切るかたもいますが、素敵なエッチを続けているとなぜか‟情が湧く”。これがオンナの弱点か。セフレと別れられないという相談件数は年々増加中。
それとですね。自分を「完璧に」大切にできないからって、恋の誘いを断らなくっていいのです。麻衣子さんはじゅうぶん、努力を重ねていて素敵。将来のために、まじめ一筋で突き進んでいる。キャラなんて変幻自在に変えていいのです。男性からの誘いに乗りたい時は、乗ってよし。頑固すぎると、ハッピーチャンスを逃す場合もあるもんで。
今回はたまたま、相手が悪かっただけです。
「恋愛相手を大切にする余裕がないなど、ストイックに考えなくてよし。頭と心をやわらかく、しなやかにすれば、セックスもしなやかにできる。柔軟性がある女を大人の女って呼ぶのだ」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。
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三松真由美 note 恋と結婚とエッチのテーマ更新中
https://note.com/suzune_16
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「君とはもうできない」と言われまして
©Alen Danilina / EyeEm/Gettyimages