コロナ禍を経てリモートワークやオンライン需要が増え、ゲームや動画配信サービスの利用者が増加。デジタル疲れをしている人が急増する中、注目されるようになったのが“デジタルデトックス”。その新しい方法とは?
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オックスフォード大学出版局が昨年「今年の言葉」として選んだのが“ブレインロット”=脳腐れ。「SNSやゲーム、流れてくる広告などインターネットが発するコンテンツは色の刺激も強く、没入感があり、集中し続けることで脳は疲労。それを継続すると頭痛や肩こり、腱鞘炎、顔のたるみを引き起こし、やがて脳の働きにまで支障をきたします。それが“脳腐れ”です」(日本デジタルデトックス協会理事・森下彰大さん)
とはいえ、もはやスマホやPCなしでは生きていけない現代人。
「そこでデジタル機器に依存するのではなく、共存する生活へと切り替えてみましょう。私たちの協会では1~2泊のデジタルデトックスプログラムも開催していて、脳がクリアになるなどの劇的な変化を体感できますが、日常生活でストイックになりすぎると続かないので、そこまで追い込まなくてもいい。SNSを1日1時間使うと幸福度は下がり、20分程度の利用だと幸福度が上がるというデータもあるぐらいです。一定期間スマホやPCなどのデジタルデバイスから距離を取ったり、SNSの利用頻度を減らすだけでも、デジタルがもたらす不快な症状が改善されるのがわかるでしょう」
次に紹介する6つの“ちりつもデジタルデトックス”を実践して、新しい休み方を習得しよう。
【デジタルデトックス 1】トイレにスマホを持ち込まない。

馬の上、枕の上、便座の上。古くから“3上”に物を持ち込まないという思想があり、ここでは脳が休まり、アイデアが浮かびやすいといわれている。まずはトイレにスマホを持ち込まないことから始めよう。
【デジタルデトックス 2】移動中は「スマホを見ない区間」を決める。

電車やバスなどに乗っている間、暇つぶしで開きがちなスマホ。ある一定区間を決めて、その間だけはスマホを開かないようにしたり、画面を見ずに音楽だけを聴く時間に切り替えてみよう。
【デジタルデトックス 3】夜はスマホ画面を「グレースケールモード」に。

デジタルデバイスから発する色の刺激は、眠りの質にも影響する。時間を決めてタイマーをセットし、夜はスマホ画面を“グレースケール”にする設定に変えると、色の刺激から目や脳を守ることにも。
【デジタルデトックス 4】旅行中の外出時は思い切ってスマホを持たない時間を。

旅行先では、あえてスマホを持たずに出掛けてみて。自分の直感を頼りに、ゲーム感覚で街を歩いてみることで新たな発見ができたり、感性を磨くことにも繋がる。普段の休日の散歩で試すのもおすすめ。
【デジタルデトックス 5】サウナは最強のデジタルデトックス。

そもそもスマホを持ち込めない場所に行くことを習慣にするのもよし。例えばサウナは、情報を遮断して自分自身と向き合う時間が作れる、上質なデジタルデトックス。カラダはもちろん、脳までととのう!
【デジタルデトックス 6】歩く瞑想などマインドフルネスの時間を取り入れる。

スマホをしまい、自分の足裏の感覚を感じながら歩けば、それだけで瞑想に。職場でトイレに行く時の歩く時間も然り。またナッツなど好きな食べ物をじっくり観察しながらゆっくり味わうだけでもよし。
お話を伺った方・森下彰大さん
Profile
編集者、一般社団法人日本デジタルデトックス協会理事。編集者として国内外のデジタル・ウェルビーイング関連動向の調査を続けながら、講演活動やデジタルデトックス・プログラムの開発を行う。著書に『戦略的暇』(飛鳥新社)。
anan 2453号(2025年7月2日発売)より