暖かい秋に油断は禁物。寒さは平年並みらしいけど…。
「高気圧は西から東へ、どんどん動いていくのが一般的ですが、今年の秋は同じ位置に長期滞留する傾向がありました。その高気圧の影響で気温は下がらず、昨年よりも暖かい。秋が一段と短く感じられたことでしょう」(足助病院院長・小林真哉さん)
11月中旬に発表された「3か月予報」では、冬らしくなるのは、12月中旬を過ぎた頃から。
「偏西風が南に蛇行し、北から冷たい空気が流れ込みやすくなります。すると一挙に冬型の気圧配置が強まるので、12月から1月にかけて早々に底冷えする可能性も。気になるのは、“冬の寒さは平年並み”という予報です。昨年は記録的な暖冬でしたから、“平年並み”ということは昨年と比較して寒くなるということ。気温の落差に注意しなければいけません。暖かい秋からいつも通り寒い冬へ、一気に気温が下がってしまうと、その気温差に体もついていくのが大変です。私たちが健やかに機能するための必須条件である恒常性、“普段の体温”を維持するために体は余計に働かなくてはいけませんから」(小林さん)
冬対応でお疲れ気味の体に忍び寄るのが、インフルエンザなどの感染症。今年はマイコプラズマ肺炎が夏から異例の流行を続けており、新型コロナも含めて“トリプルデミック”を懸念する声も聞かれる。
「インフルエンザに関しては、気温が下がり始めて6~8週間後に流行のピークを迎えるといわれます。年末年始にかけて人の移動も多くなりますし、特に体調管理に気をつけていただきたいです。マイコプラズマ肺炎は飛沫や接触感染が主ですが、インフルエンザと新型コロナは空気感染にも留意しなくてはなりません。加えて、やはり本格的な冬が到来することによる体への負担というのを、食事や運動、衣服、生活習慣などでカバーしていく必要があります。今年は特に“段階的に寒さに慣れていく”という準備期間が短いので、体を整える毎日を積み重ね、免疫力を高めておきましょう」(小林さん)
’24~’25年、冬のキーワード
暖冬だった昨年と今年の平均気温を比較。秋と冬の気温差はなかなか激しそう…。
【KEYWORD 1】暖かい秋から、寒い冬へ急降下
【KEYWORD 2】12月、1月早々に底冷え
【KEYWORD 3】年明けから2月にかけて体調注意報
※平均気温は気象庁による東京都のデータを記載。今年11月以降は、東京都の平年値のうち各月中旬の平均気温を参考にしています。
PROFILE プロフィール
小林真哉さん
医師。JA愛知厚生連「足助病院」院長。気象予報士、防災士の資格も持つ。“想う医療”を掲げ、医療・介護・福祉、そして防災の拠点としての病院のあり方を提言。若手医師の育成にも力を入れる。