疲れ、ストレスを湯に流す! 温冷交代浴のすすめ

残暑バテ気味の日は、湯船に浸かるだけじゃもったいない。温めて、冷やして、また温める。自律神経を切り替える「温冷交代浴」で、心と体をリフレッシュ。自宅での基本の入り方から、バスタイムを心地よくするアイテム、銭湯での楽しみ方まで。今日はいつものお風呂を、ちょっと特別にしてみませんか?

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    お話を伺った方

    Profile

    早坂信哉

    温泉療法専門医、東京都市大学教授。25年以上にわたり、7万人を超える入浴習慣を医学的に調査してきた“入浴のスペシャリスト”。著書に『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』(アスコム)などが。

    湯船で体を温めて、次にシャワーや水風呂でぬるま湯や冷たい水に触れる。これを繰り返し行うのが、温冷交代浴。この入浴方法が、自律神経を整えるのに効果があるそう。温泉療法専門医である早坂信哉さんによると、「よく“自律神経が乱れる”といいますが、それはスイッチの切り替えがうまくいっていない状態のこと。人間は、感じる温度によって自律神経が入れ替わる生き物。温冷交代浴をすることでスイッチの切り替えが強制的に行われ、その結果、自律神経の働きが改善、あるいは整うことに繋がります」

    自宅で行う場合は、まず温かいお湯を張った湯船に入り、副交感神経を優位にする。3分ほど浸かり心身ともにリラックスした状態になったら、湯船を出て、湯船のお湯より10℃程度低い温度のぬるま湯シャワーを手足にかける。すると今度は交感神経が優位になり、心身がシャキッ! これを2〜3回繰り返した後、最後は湯船に浸かり、副交感神経が優位な状態で上がるのがおすすめ。

    「まだまだ残暑が厳しいこの時季は冷浴のハードルが下がるので、初めて挑戦する方にもぴったり。疲れたな、と思った日に行うと、きっとよく眠れますよ」

    温冷交代浴の5つの効果

    早坂さん曰く「メリットばかり」な温冷交代浴。そのなかでも嬉しい効果を5つご紹介。入浴法を変えるだけで、心と体にこんないいことが?!

    効果1|疲労回復

    「温かい湯に浸かると血管が拡張し、ヒヤッとするシャワーを浴びることで血管が収縮。血管がポンプのようになり、血流が良くなります。その結果、老廃物や疲労物質の除去が促され、さらに疲労した組織が必要とする栄養分もしっかり届く。疲労回復だけでなく、筋肉痛の予防といった効果も期待できます」

    効果2|美肌効果

    「これも、血管のポンプ効果によって血流が改善されることと深い繋がりがあります。血液が体の末端の血管まで届くことで、肌の深い部分にある基底層にも栄養が行き渡り、皮膚がきちんと再生されるので、肌のターンオーバーがどんどん促されます。その結果、美肌がキープされる、ということです」

    効果3|免疫力アップ

    「人間の体には、NK(ナチュラルキラー)細胞をはじめ、たくさんの免疫細胞が存在していて、血液の流れに乗って全身をパトロール、異物を発見したら退治、を繰り返しています。血流が良くなることで免疫細胞は体中くまなく運ばれることになり、パトロールの精度もアップ。結果、免疫力が上がるといえるでしょう」

    効果4|睡眠の質向上

    「温冷交代浴は、湯船の湯とシャワーの水の温度差で、自律神経を切り替えることができ、意図的に切り替えることで、乱れた自律神経は整うといわれています。また最後を湯船にすることで、副交感神経優位の状態=リラックスした状態でお風呂から上がれるので、そのまま眠りに入れば、結果睡眠の質も上がります

    効果5|リラックス効果

    「お湯に浸かることで体が緩み、身体的にリラックスできるというのが一つ。また副交感神経がオンになることで脳が沈静化し、気疲れなどのメンタルの疲労がやわらぐ、といった効果も。入浴は体だけでなく心もリラックスさせてくれるので、温冷交代浴ができなくても、湯船にはぜひ浸かってほしいです」

    温冷交代浴を始める前に

    コップ2〜3杯程度の水分を摂りましょう

    40℃のお湯に10分入浴すると、500mL、場合によっては800mLの汗をかく場合も。「脱水状態になってしまう人もいるので、入浴前にコップ1〜2杯、そして入浴後にも同じくらい水分を摂ってください」

    髪や体は事前に洗っておきましょう

    「温冷交代浴で大事なのは、体に温度の差を感じさせること。湯船→シャワー→湯船…の流れの間に、別の行動は入れたくないもの」髪や体を洗うといったことは先に済ませ、湯船インとシャワーを連続して行えるようにしましょう。

    体調が優れないときは控えましょう

    自律神経を意図的に切り替えることで体が疲労を感じるのは事実。「具合が悪かったり、発熱があったりというときは、行わないほうがいい場合も。ちょっと疲れを感じるな…程度のときに行うと、効果を感じやすいと思います」

    自宅でTRY! 温冷交代浴

    湯船とシャワーさえあれば、温冷交代浴は自宅でも実践可能。「わざわざ外に出かけなくてもいいし、天候にかかわらず、思い立ったときにすぐ行えるのもいいところ。一番簡単な健康法だと思いますよ」

    温浴|40℃のお湯に3分浸かる

    湯船に40℃のお湯を張ります。湯船に入る前に髪と体を洗っておくのがポイントです。湯船に体の汚れを入れないのはもちろん、それによって体が温まり、体と中の湯の温度差がなくなるので、血圧が急に上がるのを避けるというメリットも。その後湯船に入ってお湯の中に体を沈め、肩まで浸かったらゆったりとリラックス。スマホなどはいじらずに、じっと温まるのが理想です。湯船に浸かっている時間は3分間。体が温まり、血管が拡張し、体全体がふわ~っとほぐれていく…そんな実感が得られること間違いなし。そのとき体の中では自律神経が切り替わり、副交感神経が優位に。

    冷浴|30℃のぬるま湯を30秒かける

    3分経ったら湯船から出て、30℃くらいのぬるま湯のシャワーを、つま先から膝あたりまで、また手も指先から肘のあたりまで、合計で30秒ほどかけます。大切なのは、湯船で温まった体がシャワーを浴びて「ちょっと冷たい!」と感じ、意識がシャキッとするということ。必要以上に冷たい水を浴びる必要はないのでご安心を。目安は、温水プールの水温くらいです。温度差を感じることで脳の自律神経が切り替わり、今度は交感神経が優位に。30秒経ったら再び3分湯船に入り、またぬるま湯シャワーを手足にかける。これを2~3回繰り返し、最後はお湯に浸かって上がります。

    温冷交代浴 Q&A

    実際に行うときに、何に注意したら? 気になる点を早坂さんに聞いてみました。意外とハードル、低そうです!

    Q. 頻度はどのくらいがいい?

    A. 週に1〜2回、疲れた日にやりましょう

    毎日やらなきゃ効果が出ない…? と思ったら、意外とそうではない模様。「温冷交代浴は温度差による刺激を体に与えるわけですが、人間の体は刺激に慣れてしまうので、毎日やると効果が出にくくなります。なので、週1回か2回、疲れを感じた日か、時間に余裕がある週末などに行う、くらいで十分だと思います」

    Q. 冷浴の水温は冷たいほうがいい?

    A. めちゃくちゃ冷たい水じゃなくて、OK!

    夏場は冷たいシャワーを浴びる気持ちよさがありますが、涼しくなるに従って、冷浴のハードルは上がるもの。「でも、先程も言いましたが、大事なのは“温度差を感じること”です。理想は、湯船より10℃程度低いシャワーを浴びることですが、耐えられなかったらお湯を混ぜ、湯船より低いぬるま湯にしても効果はあります」

    Q. さらにリラックス 効果を高めるには?

    A. 光、音、香りを使い、より心地よい空間に

    「副交感神経は、蛍光灯の明かりよりも夕日を思わせる白熱灯の光で優位に働くので、そういったライトを使うのもいいでしょう。また、スマホはメッセージなどを見てしまうので浴室の外に置き、スピーカーに音を飛ばしてラジオを流したり、好きな香りの入浴剤を使い、マッサージやストレッチをしたり…などもおすすめ」

    Q. お風呂上がりの過ごし方は?

    A. ぽかぽかの体は、自然に冷ますのが一番

    浴室から出たら体の水分を拭き取り、リラックスできるウェアに着替え、たっぷり水分を摂取。「温まっているのでついついクーラーや扇風機で体温を下げたくなりますが、副交感神経を優位にしたまま、自然に体温が下がっていくのを待つのがいいと思います。そのまま眠りにつくと、きっと質の良い睡眠がとれますよ」

    Q. サウナでととのうのとは何が違う?

    A. 温冷交代浴の強烈版が、サウナ&水風呂

    サウナでじっくり汗をかいてから、水風呂に入り、外気浴でととのう…。なんだか温冷交代浴と近そうですが、違いはあるのでしょうか? 「基本は同じです。ただサウナ&水風呂のほうがより温度差があるので体には刺激が強いと思います。温冷交代浴のほうがマイルドであり、自宅のお風呂でできるのが違うところでしょうか」

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    写真・小川朋央 イラスト・山中玲奈 取材、文・河野友紀

    anan 2510号(2026年9月2日発売)より
    Check!

    No.2510掲載

    自律神経ケア。

    2026年09月02日発売

    連日の猛暑にゲリラ豪雨や台風など気候の変化も相まって、夏疲れで限界寸前なカラダをリセットするためには、不調の源である自律神経の乱れを整えることがマスト。自律神経を調整するツボ押しやレシピなど、今日から始められるメソッドを様々な視点から紹介します。

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