
あらゆるリスクから自分の人生を守る「生活防衛資金」を貯めるために、先取り貯蓄を! ファイナンシャルプランナー・黒田尚子さんが教えてくれました。
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お金を貯めたいなら、先取り貯蓄をすべし!
現状の自分の収支を確認したら、次は貯蓄について見直してみたい。目標とする生活防衛資金を、半年分の生活費とした場合、いくらになる?
「仮に、月20万円で生活しているなら、目標額は120万円。すぐに貯められる額ではないので、下を参考にしながら、安定して続く貯蓄の仕組みを作りましょう。まずは、先取りで決まった金額を貯め、残ったお金で暮らす意識を持つことが大事です」
残ったら貯めよう……ではいつまでも貯まらないということ。気になる貯蓄額の目安は?
「ライフステージによって異なりますが、一人暮らしなら手取り月収の15~20%、親と同居なら20~30%を貯めるのが理想。ただし、ボーナスの比重が高い会社では、月収でそこまで貯めるのは厳しい場合も。その場合はボーナスで調整してかまいません」
せっかく先取りで貯めても、苦しくなって使ってしまったら意味がないので、がんばりすぎは禁物。
「モチベーションを保つためにも、貯める専用の口座を作って。給与が入ったらすぐここに貯蓄分を入れる習慣ができたら、先取りの完成です」
【TRY】毎月の貯蓄額を決めよう。
先取り貯蓄の目安額は個人差が大きく、ライフステージによって変わる。下の目安を参考に、まずはムリなく続けられる金額からスタートしよう。
・就職、転職したばかりの人
・子どもが生まれたばかりでいずれかが専業主婦(夫)のカップル
→手取り月収の10~15%
・一人暮らしのシングル
・子どものいる共働きカップル
→手取り月収の15~20%
・親と同居のシングル
・子どものいない共働きカップル
→手取り月収の20~30%
【POINT】“お金が貯まる”口座作りを!
下のように口座を整理し、先取りするお金を入れておく「貯める口座」を用意しよう。残高が増えていくのを見れば、貯蓄のモチベも上がる。
・使う口座
家賃やカードの引き落とし、生活費用の現金の引き出しは1つの口座にまとめる。「給与振込口座を“使う口座”にすれば、お金の出入りが一目瞭然に」
・貯める口座
生活防衛資金を貯める口座で、5年以内に使う引っ越し費用などのお金もここへ。給料日に一定額を移動させて。「ネットバンクは金利が有利でおすすめ」
・増やす口座
投資用の口座。「生活防衛資金が貯まったら、5~10年は使わないお金や“使う口座”の余裕資金を入れていきます。NISAのつみたて投資枠などに使うと◎」
Q&A
Q. メガバンクとネットバンク、どちらを選べばいいですか?
「メガバンクは安心感があり、給与振込や引き落としに便利。ただ、利便性や手数料、金利の面ではネットバンクに分が。ネット証券と同系列なら、金利やポイントで優遇も。対面サービスにこだわりがなければ貯める、増やす口座はネットバンクがいいでしょう」

Q. 給与振込後に「貯める口座」に移動させるのを忘れてしまいそう。
「給与から天引きで貯められる財形貯蓄や社内預金制度は確実に貯められます。特に社内預金は金利が最低でも0.5%ついて有利。銀行の自動積立定期預金も、毎月自動引き落としで手間なく貯められます。確実に貯めるためには給料日の翌日に引き落とす設定を」
Q. 今、1つの口座にすべての貯金(200万円)が入っています。3つの口座に振り分ける割合は?
「毎月の生活費が20万円なら使う口座に30万円ほど。貯める口座には、生活防衛資金として60万~120万円と5年以内に使うお金を。残りは増やす口座に入れるのがおすすめ。なお、銀行が破綻したとき保護される預金は1000万円までです。増えてきたら注意を」
Q. ボーナスはなるべく全額貯蓄したほうがいいですか?
「ボーナスは業績によって上下するので、当てにせず貯蓄したいところですが、今しかできないこともありますよね。スキルや経験値を増やすために自己投資も必要です。順調に貯められているなら、2割ぐらいをごほうびに使い、メリハリをつけていきましょう」
Profile
黒田尚子さん
ファイナンシャルプランナー(CFP(R))。城西国際大学、千葉商科大学非常勤講師。『マンガでわかる お金に人生を振り回されたくないから 超ビギナーが今すぐやること教えてください』(主婦の友社)ほか、著書多数。
anan2449号(2025年6月4日発売)より