社会のじかん

劣悪な労働環境にSTOP! アメリカ発「フェアトレード」って?

ライフスタイル
2017.02.17
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「フェアトレード」です。
社会のじかん

利益追求優先の搾取の構図をなくすために。

チョコレートやコーヒー、コットン製品などでときどき見かける「フェアトレード認証」ラベル。フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に取引し、生産者や労働者の生活の改善、自立を目指す「貿易のしくみ」のこと。認証ラベルは、生産や加工過程で、人権や労働環境、自然環境を脅かさない「国際フェアトレードの基準」を満たした商品であるという証明なんです。

フェアトレード運動はアメリカが発祥で、すでに60年の歴史があります。経済成長によって、世界中で大量生産大量消費が進みました。いま私たちは商品を安く手にすることができていますが、それはどこかの過程でコストを抑えているということ。たとえば、アフリカ、中南米などの発展途上国のカカオやコーヒー、バナナ農園で、低賃金で働く人々の搾取の上に成り立っていることもあり得ます。教育を受けられない貧しい子供たちが労働力となって作られている場合もあるんですね。

貧困をベースにした搾取の現場で起きた象徴的な事故が、2013年のバングラデシュの縫製工場倒壊です。1100人以上の死者、2500人以上の負傷者を出す大惨事になりました。この工場で縫製されていたのはほとんどが欧米や日本のアパレルメーカーの商品。この事故は先進国で消費される廉価な衣料品の多くが、劣悪な労働環境や低賃金労働の下で作られていることに気付かせるきっかけになりました。

私たちは安い商品に飛びついてしまいますが、それらがこういう悲劇とつながっているかもしれないことを知っておくべきではないでしょうか。

最近では「エシカル消費」が世界で提唱されています。エシカルとは倫理的なという意味で、人権や社会、地球環境を考慮して作られた商品を買おうという運動です。エシカルファッションブランドでは、フェアトレードのオーガニックコットンやリサイクル品を使い、動物保護の観点から皮革や毛皮は使いません。コストがかかり価格が多少高くなったとしても、これら搾取の構図のないところで作られたモノを買うムーブメントが、いま世界中で、セレブを中心に広がっています。

堀潤
ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2017年2月22日号より。写真・中島慶子 文・黒瀬朋子 (C)wundervisuals

(by anan編集部)


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