写真・小笠原真紀、村上未知 スタイリスト・池田木綿子 ヘア&メイク・NADEA 取材、文・鈴木恵美 PR・厚生労働省
クリエイティブに奮闘中!
最前線で感じる介護のしごと。
大変そう、難しそう…と思われることが多い介護の仕事。
しかし本当のところはどうなのか、気になる人も多いはず。
そこで介護業界でいま注目されている、画期的な取り組みを
行っている施設や事業所で働く人にフォーカス!
実際に働いている姿を取材して、介護現場のリアルを深掘りします。
Working File1
専門学校の仲良し同級生が介護の現場で個性を発揮中。
坂本みずきさん(22歳)
光吉由真さん(23歳)
●広島県尾道市美ノ郷町三成1114-1
☎0848・48・3877
小規模多機能型居宅介護
https://yuzzuco.com/?p=684
小さな気遣いや配慮が介護を楽しくさせる。
広島県尾道市にある「ゆずっこホームみなり」は、「尾道のおばあちゃんとわたくしホテル」という宿泊施設と隣り合わせになっている介護施設。ブルーベリーなど多彩な植物が植えられた庭に囲まれ、大きな窓から中の様子がのぞける建物は、介護施設とは思えないほど開放的な造り。スタイリッシュな雰囲気に包まれ、カフェだと思って間違って入ってくる人もいるそう! そんなユニークな施設で働く介護職員の松木綾香さん、坂本みずきさん、光吉由真さんに、介護の楽しさや今の働き方について聞いた。
光吉 実は私たちは同じ専門学校を卒業した同級生なんです。
松木 私たちが入社した株式会社ゆずの川原奨二代表が、その専門学校で講師をしていて、今までにない新しい取り組みをしていることに魅力を感じて、学校に通いながら3人ともアルバイトを始めて、そのまま就職しました。
坂本 アルバイトを始めて最初に驚いたのが、利用者さんが普段自宅で使用している洗剤を施設でも使って、ひとり分ずつ洗濯をすることでした。全員分を一度に回すより手間はかかりますが、慣れ親しんできた香りに包まれた衣類を身に纏ったほうが利用者さんも安心する。そんな小さなことにもしっかり配慮しながら介護を行っていることに感銘を受けて、ここで働きたい! と率直に思いました。
松木 入社1年目はみんな別々の事業所で働いていましたが、2022年に「ゆずっこホームみなり」がオープンすることになり、3人が集結(笑)。ホテルが隣接されることを知った時は正直驚きました。そんな施設、今まで聞いたことがなかったので…。
光吉 隣にホテルを建てたのは、「介護施設をもっと社会に開けた居心地の良い場所にしたい」という代表の想いから。そんな素敵な介護施設で働けて幸せです。
坂本 ホテルのチェックインは、施設を利用しているおばあちゃんが“担当”。施設側の建物の入り口にチェックインカウンターがあり、宿泊者はそこでおばあちゃんからルームキーを受け取るのですが、そこで初めて隣に介護施設があるから「尾道のおばあちゃんとわたくしホテル」という名前なんだと知る人もいて、思わぬおもてなしに喜んでくれる人も。庭は共用なので、触れ合う機会も多く、交流が生まれています。
多くの人に介護を身近に
感じてもらいたい。(坂本)
感情が動く環境の中でフリースタイルのケアを。
「ゆずっこホームみなり」は、小規模多機能型居宅介護と呼ばれる施設。中重度の介護が必要になっても住み慣れた地域で継続して生活ができるよう、通い、宿泊、訪問のサービスをひとりひとりの都合に応じて組み合わせて利用することができる。
光吉 特にここは環境を重視していて、「感情が動くことこそが人生の幸せである」という考えのもと、気遣いにあふれた設計がちりばめられています。たとえばリビングのカウンターテーブルは、窓際に設置され、四季折々の自然を身近に感じられるようになっています。庭の植栽も手で触れられる高さを意識しているので、車椅子の利用者さんの目にもとまりやすい。触れることで心が動き、自然と体を動かしたくなるような工夫がされています。ひとりひとりが思い思いの時間を過ごせるようにサポートするのが私たちの役目だと思っています。
松木 “いつまでも、どこまでも、フリースタイル”という理念に従って、利用者さんがやりたいと思ったことを自由にできるようなケアを日々心がけています。外に出たいという人がいたら、一緒に庭を歩いたり、畑に水やりに行ったり。喫茶店でコーヒーが飲みたいという話になれば、ご家族の方と相談してみんなでおでかけのプランを考えます。
坂本 実はごはんやおやつの献立も一切決まっておらず、そこもフリースタイル(笑)。リビングにキッチンがあるので、利用者さんのリクエストに応じてごはんを作ることもよくあります。
光吉 ごはんのことでいえば私は料理が不得意だったのですが、利用者さんは長く家事に携わってきた先輩ばかりなので、出汁のとり方を教わったりして、ようやく人並みに料理が作れるようになりました。居心地が良くて、みなさん家族のような存在です。
感情が動く瞬間を身近で
見られるのが嬉しい。(光吉)
介護職は、自分らしく働き続けられる職業。
介護職と聞くと、日々の業務に追われながら、肉体的にも精神的にも大変そうなイメージがあるが、3人の話を聞いているとシステマティックな部分が少なく、自分の持ち味を生かして楽しく働いているような印象を受ける。
坂本 たしかに車椅子へ乗り移る時、脚の力が弱い方の介助をしたり、特に自分より背が高い方や体の大きな方のサポートは身体的負担が大きいです。でも何年かやっているとどんどんコツを掴んでくるし、利用者さんとコミュニケーションを図ることでスムーズにサポートできるようにもなります。型にはまったことをするのではなく、やり方や伝え方を工夫しながらクリエイティブに働けるので、日々成長を感じています。
光吉 他の施設から脳梗塞の方が移ってこられた時、ここの環境がその方に合っていたのか、よく笑うようになったんです。そうやって利用者さんの気持ちの変化を間近で感じられるのが幸せですね。
松木 認知症の方など、思うように会話ができない利用者さんの笑顔を引き出せた時は、この仕事をやっていてよかったと思います。私は人の話を聞くのが好きなので、「あなたでよかった」「あなただから相談できた」と言ってもらえることも多く、励みになりますね。そうやって心を寄り添える関係を築けていけるのも介護の魅力。ひとりひとり異なる人間だから接し方も人それぞれ。必要最低限のルールはありますが、どうやったら心を開いてくれるか考えながら接することで、自分らしさを発揮できるので、やりがいを感じることばかりです。
坂本 シフト制なので、お休みの融通が利くし、私は夜勤が好きなのですが、ある程度希望通りシフトが組めて自分に向いた働き方ができるのがありがたいです。
光吉 私は今年3月に結婚して、今お腹の中に赤ちゃんがいて、出産後は時短で働く予定です。育児をしながら働いている先輩方もたくさんいるし、子供を施設に連れてくることもできる。ママも働きやすい環境が整っているから、ライフステージが変わっても自分らしく働けるので、介護の仕事は一生続けていきたいと思っています。
介護を通してみんなの
笑顔を引き出せる。(松木)
光があふれるモダンで先進的なデザインの「尾道のおばあちゃんとわたくしホテル」。予約すれば誰でも宿泊でき、尾道観光と併せて、介護の現場を身近に体験できる。1泊1名¥6,050~。https://watakushihotel.com
本プロジェクトは厚生労働省補助事業 令和5年度介護のしごと魅力発信等事業(情報発信事業)として実施しています。(実施主体:マガジンハウス)
●MY CARE WORK 02/
Working File2「介護の現場でかなえる、私らしい働き方。」は、こちらから!
●MY CARE WORK 03/ Working File3「井上咲楽×秋本可愛と理解を深める 介護のしごとの可能性。」はこちらから!