誰もがかかるリスクあり。対策&処置はぬかりなく!
気象庁によると、8月の気温は全国的に平年より高く、厳しい暑さとなる見込み。9月の気温も平年より高い所が多くなるそうで、脱水症や熱中症の対策がますます重要に!
「これだけ蒸し暑い環境下では、体力に自信がある健康な大人も含めて、誰がどこでなってもおかしくない状態。自分だけは大丈夫という油断は禁物です。特に、以前、熱中症になったことがある人は、交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えが上手くいかず汗をかきにくいなど、熱を放出しにくい体質の可能性があります。入念な対策を」
と、気象病や自律神経に詳しい医師の久手堅司先生。脱水症も熱中症も、放っておくと危険な状態に陥ることも…。
「脱水症なら口や皮膚の乾き、熱中症ならめまいや筋肉のしびれなど、初期のサインは意外と気づきにくいもの。なんとなくこのくらいなら大丈夫…と放置した結果、あっという間に症状が進むことも。室内でも不調をキャッチしたら、素早く処置を」
【脱水症】汗をかかなくても、無意識の内に体内の水分は抜けていくと心得て。
脱水症とは、体内の水分が足りず、日常生活や生命活動に支障をきたしている状態。汗をかくと水分とともにミネラルも抜けて、だるさを感じてくる。
「体内の水分は、排泄や汗以外にも、皮膚や呼気などから気づかないうちに蒸発していきます。その量は、成人では900~1000mlにも及びます。夏は気づかないうちに軽い脱水になっていることも多いので、渇きを感じる前から水分補給するクセをつけましょう」
CHECK
・喉が渇いている。
・唾液が出ず、口がパサパサしている。
・体がだるく、脈が速くなっている。
・尿の色が濃く、少量しか出ない。
もしなってしまったら…
【ACTION1】水分と塩分を速やかに補う。
【ACTION2】湿度が低く、涼しい場所に移動。
【ACTION3】吐き気や下痢などを起こし、体調が回復しない場合は医療機関へ。
喉やくちびる、皮膚に乾きを感じたら、何はともあれまずは水分の補給を。夏場の脱水は、発汗によって水分とともにミネラルも奪われるので、何も入っていない真水よりも、ナトリウムやカリウムが入ったスポーツドリンクや、水分吸収が早い経口補水液がおすすめ。めまいやふらつきなどの不調を感じたら、水分補給後に涼しい場所で安静に。“ペットボトルのふたを自分で開けられない”“水分を補給し、涼しい場所で安静にしていても、だるさや吐き気などの症状がやわらがない”といった時は、迷わず医療機関へ。
【熱中症】体温調節ができなくなり熱っぽく感じたら要注意。
体温の調節機能が上手く働かなくなり、体内に熱がこもって、さまざまな症状が出る熱中症。
「私たちの体は、汗によって体温調節を行っており、サラサラした汗がかける状態が理想的。しかし、高温多湿の環境によって、汗では対処しきれなくなり、体に熱がこもってきた感じがして、立ちくらみやこむら返り、頭痛などさまざまな症状が現れます。炎天下の屋外でなく、家の中でじっとしていてもなってしまうことがあります」
CHECK
・体に熱がこもっている感じがする。
・頭痛やめまいがある。
・大量に汗をかいている。
・意識が混濁している。
もしなってしまったら…
【ACTION1】横になり、襟を開いたり熱を逃がしながら、安静にする。
【ACTION2】水分と塩分を速やかに補給。それでも回復しない時は、医療機関へ。
熱中症らしき人を見かけたら?
・呼びかけに応えない場合、救急車を。
・意識があれば、屋内や日陰に避難。
症状や重症度にかかわらず、熱中症が疑われる時は、風通しのいい日陰や、クーラーのきいている室内など、涼しい場所へ移動しよう。さらに服や下着をゆるめ、濡らしたタオルや氷、保冷剤などで体を冷やすのが基本の処置。水分を補給し、安静にして、それでも症状が回復しない場合は病院へ。もし熱中症と疑われる人がいて、呼びかけに応じないなど意識がはっきりしない場合は救急車を呼ぼう。また、水分を自力で摂取できない状態の人に無理に飲ませるのは、気道に流れ込む可能性があるのでNG。医療機関で点滴などの処置を受けて。
久手堅 司先生 せたがや内科・神経内科クリニック院長。気圧予報を踏まえた体調管理アプリ「頭痛ーる」を監修。著書に『気象病ハンドブック 低気圧不調が和らぐヒントとセルフケア』(誠文堂新光社)など。
※『anan』2023年8月2日号より。イラスト・たきたて玄米 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)