一粒万倍日に気をつけたいことは? 幸運を掴むために知っておきたい“吉日”の意味

ライフスタイル
2023.03.21
「暦」と「カレンダー」の違いは? 吉日にたくさん種類があるのはなぜ? 暦について研究する日本良学の代表、藤本宏人さんに、吉日への理解を深める知識を教えてもらいました。

江戸の人々が熱狂! 験担ぎに活躍した「大吉日」とは?

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現代日本でスタンダードになっている西洋式「カレンダー」は、明治維新後に導入されたもの。

「それ以前の日本では、中国由来の暦や、日本で独自に開発した暦を使っていました。今のカレンダーを使うようになって、まだ150年ほど。むしろ暦の方が、私たちの国にはなじみが深いんです」(藤本さん)

暦には、現在伝わっているだけでも40以上の種類があり、それぞれ計算方法が違っている。

「星の動きを計算したり、十二支を時間に当てはめたりと様々。そのため、暦ごとに異なる吉凶が導き出されます。結果、ひとつの日にたくさんの吉日が重なり、大吉日ができたのです。昔の日本、特に江戸時代の人は縁起ものが大好きで、吉日を重視しました。そこで人々の実感が伴った評判の暦は知名度が高まり、今日に残っているのです」

暦が教える吉日は、先人たちが経験的に“幸せになれる”と太鼓判を押した日。私たちもぜひ、あやかりたい。

注目したい暦

十二直(じゅうにちょく)

北斗七星の位置から季節の変化を読み解く。
空を12の方角に分けてそれぞれに十二支を当てはめ、北斗七星の柄杓の柄が位置する干支から、月日を導き出したもの。元々季節を知るために中国で作られたとされ、そこに吉凶が当てはめられた。昔は庶民の間で役立てられ、広く支持されていた。様々な暦が記された江戸時代のカレンダーの中でも重要な位置、中段に記されたため「暦中段」とも呼ばれる。十二直の吉日には【除】【成】【満】【平】【定】【建】【閉】などがある。

暦注下段(れきちゅうげだん)

何度禁止令が出ても復活するほど重宝された。
月日や吉凶、行事など多種多様な要素が盛り込まれた江戸時代の暦の中でも一番下段に記された吉凶のことで、注釈的なもの。季節や干支などの組み合わせから生まれる。朝廷や政府から度々禁止されたが、世間の人々の信頼が厚く何度も復活したため、今日まで残っている。暦注下段の中でも一番の吉日は、【天赦日】。そのほかの吉日として【神吉日】【大明日】【鬼宿日】【天恩日】【母倉日】【月徳日】が定められている。

選日(せんじつ)

みんな大好き最強吉日【一粒万倍日】の出所。
各日を干支に当てはめ、季節や陰陽五行などの要素を組み合わせて算出したもの。最近注目が高まっている吉日【一粒万倍日】は、選日内唯一最強の吉日。小さなことが万倍の幸せになって帰ってくるという意味があり、この日に始めたことは大きな結果を収める、とされる。お金関係にも縁起がよい日。ただし、よくない行いも万倍化するので要注意。

六曜(ろくよう)

今なお冠婚葬祭を左右する最も影響力のある暦。
新月を元に計算された、中国発祥の暦。日本に残る暦の中では一番メジャーで、現在は国立天文台が観測する月の満ち欠け情報を元に計算されている。何をしてもうまくいくという【大安】が一番の吉日で、【友引】が二番手。こちらは勝負の決着がつかない日でもある。午前中または夕方の時間帯が吉で、午前11時から午後1時30分はあまりよくない。

陰陽(いんよう)

光の有無で年月日全ての吉要素が分けられる。
中国の陰陽五行説による考え方で、世の中のあらゆる事象は【陰】と【陽】に分かれる、というもの。年月日も、それぞれに分けられる。【陰】においては光の当たらない見えない領域がよしとされ、想像する、心の中でつぶやく、屋内が吉。【陽】は、光が当たって見える範囲が吉。たとえば行動を起こす、外出するなど。

藤本宏人さん 日本人の文化、歴史、世界観から30年以上「ご利益」を研究する「日本良学」代表。著書に『365日のご利益大全』(サンマーク出版)。メルマガ「ご利益1万倍のこよみメール」は毎日配信中(「こよみメール」で検索)。

※『anan』2023年3月22日号より。イラスト・木村友美 取材、文・風間裕美子

(by anan編集部)

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