イラスト・サンダースタジオ PR・渋谷区
SHIBUYA HISTORY
区制誕生から現在まで。写真で振り返る90年の渋谷区史。
悠久の昔、ナウマンゾウも闊歩していた渋谷。
約3万年前から人が暮らし始め、区制が始まり今年で90年を迎えた渋谷の歴史を、懐かしい写真とともに振り返ります。
小林幹育さん(宮益町会 前会長)
粕谷 崇さん(白根記念渋谷区郷土博物館・文学館学芸員)
松井圭太さん(白根記念渋谷区郷土博物館・文学館学芸員)
田原光泰さん(白根記念渋谷区郷土博物館・文学館学芸員)
1930s…渋谷区制施行
1932年10月1日。渋谷町、千駄ヶ谷町、代々幡町が合併し、東京市渋谷区が誕生。東京市は35区に変貌を遂げた。渋谷区は交通網の発達に伴い住宅地区として発展し、当時の人口は22万3573人。1936年に現在の神南1丁目付近に渋谷区庁舎が完成。1934年4月には渋谷駅前に忠犬ハチ公像が設置。
1950s…渋谷駅ターミナル化
渋谷初の百貨店・東横百貨店と、玉電ビル(旧・東急東横店西館)の屋上間の遊覧を楽しめる空中ケーブルカー「ひばり号」が運行。期間は1951年からわずか1年半ほどだったが、子どもたちに人気を博す。
1960s…オリンピックと都市開発
1964年の東京オリンピック開催に合わせて、ワシントンハイツが日本に返還される。それとともに選手村と国立代々木競技場、国際放送センターとして、のちのNHK 放送センターも建設され、現在の代々木公園の全貌が姿を現す。渋谷区内ではさまざまなオリンピック主要会場が整備され、渋谷の街の開発が加速する。
1980s…盛り上がる渋谷系カルチャー
パリ市6区と文化交流協定が締結され、1985年から東京国際映画祭がスタート。2003年までは渋谷のみで開催されていた。渋谷エリアの映画館やホールが会場となり、1989年にBunkamuraがオープンすると映画の街・渋谷という文化が復活。以降、先鋭的な作品や館独自の色を持つ、いわゆるミニシアター文化が渋谷を中心に広まる。
2000s…イルミネーションの復活
1991〜1998年まで毎冬開催され、冬の風物詩となった表参道けやきの木のイルミネーション。歩道が大渋滞を起こすほどの人気を博した。木への負担や見物客に対する周辺住民の不満などから長い間中止されていたが、2009年に復活。63万個の電飾でライトアップされ、電球はLEDに新調。取り付け方法や環境への配慮も改善された。
2020s…より便利な渋谷駅を追求
2009年より駅移築工事が進められていた銀座線渋谷駅の新駅舎がついに完成。明治通りの頭上に鋼製M型アーチ状の近未来的な駅舎がお目見えした。地下から地上へ吹き抜け空間のアーバン・コアが整備され、東京メトロ銀座線ホームの屋上に宮益坂から道玄坂までをつなぐ空中回廊の完成も控えている。
INTERVIEW
教えて! この街の未来。
「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を合言葉に、まちづくりに動き出している渋谷区。区制施行90周年を迎え、よりよい区民生活の実現に向けてこの先どのような未来予想図が描かれているのか? 区民を代表する中学生の質問に、区長が答えます。
(渋谷区立中学1年生)
渋谷区長 長谷部 健さん
私が区長になって最初に取り組んだ仕事が、渋谷区基本構想の改定でした。渋谷区基本構想は、すべての政策がそこに紐づいて運営されるのでとても重要です。「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」は、その基本構想を象徴する合言葉。すごく良い響きで、私自身も気に入っています。10年、20年、さらにその先を見据えて、渋谷区が目指すのはロンドン、パリ、ニューヨークと並ぶような国際都市に成熟すること。そのために大切にしていることの一つが多様性です。多様性を受け入れて、それをエネルギーに変えてまちづくりの原動力にしていく。今、世の中にある課題やニーズは、それこそ多様化していて行政の知識と経験だけでは追いつけなくなっています。だからこそ渋谷区は積極的に民間企業、学校や地域のみなさんの力を借りて産学官民一体型で政策に取り組んでいます。
もう一つがシティプライドです。渋谷区には、この街に住んでいて良かった、また住みたいと思っている人たちの意識の高さ=シティプライドがあります。これはすばらしい財産であり、アドバンテージだと思います。自分の街だからきれいにしたい、街に貢献したいという思いは原動力になりますし、シティプライドを高めていくことが良い街になっていくための一つのバロメーターだと思っています。例えば、恵比寿と広尾、幡ヶ谷と初台、神宮前と千駄ヶ谷のように隣り合った地域であっても、それぞれの街の個性はまったく違いますし、みなさん自分の街にプライドを持っています。その違いを力に変えていければ、渋谷区には本当にたくさんのパワーがあふれると思います。「ちがいを ちからに」という合言葉を聞いて一人ひとりが感じることを、それぞれが行動に移してくれたらいいですよね。個性を尊重する、発揮することは重要ですが、もっと大切なのは、街と街、自分と人の違うところを認識したうえで調和をしていくこと。調和=ハーモニーを奏で、奏でられたハーモニーが力を持っていくのだと思います。
テクノロジーを活用した最先端の田舎暮らし構想、リーガル・ウォールや学校の建て替えプロジェクトなど、面白い仕掛けをどんどん実現していく予定です。今はまだその道半ばですが、みなさんと一緒に未来の渋谷区を作っていけたらよいなと思っています。
はせべ・けん 1972年、渋谷区生まれ。株式会社博報堂を退社後、NPO法人を設立。原宿・表参道を皮切りに清掃活動、ポイ捨て問題に取り組む。2003年、渋谷区議に初当選。2015年4月より現職。
SOCIAL
渋谷を知り尽くす“はち”が解説。この10年で変わったもの、始まったこと。
2013年以降で変わったのは、都市開発による駅前の景観だけじゃない。より使い勝手が良くリニューアルした場所や行政サービス、新たに生まれた先進的な制度など、この街で暮らす人のためにイノベーションを繰り返しています。区民の笑顔のため、世界に誇れる街にするため、より良い未来のためのこの10年でのアップデートを“はち”がナビゲートします。
街歩きを日課にするディープな渋谷通。
「この街のことなら、なんでも聞いてね」
保健師さんが中心となって妊娠期から子どもが18歳になるまで地域で子育てのサポートをしていこうという福祉大国フィンランド発のすばらしい取り組みなんだ。
ここ渋谷区でも世界基準の子育てしやすいワンダーランドを目指しているよ。
ネウボラ(2021年開設)
緑がいっぱいの大人もひと息つける都会のオアシス。
散策しながら、あなたのナンバーワンの公園、見つけてみてね。
恵比寿南二公園(2021年開園)
北谷公園(2021年開園)
宮下公園(2020年開園)
きっとみんなにも、友達、家族、恋人のように大切な人がいると思うんだけど、その絆を認めないっておかしなことだと思わない? 一人ひとりの気持ちを尊重してワンチームで過ごせる街。それが渋谷だよ。
パートナーシップ証明(2015年施行)
渋谷区で暮らし、働く、障がいのある人が描いた文字や絵を、渋谷区でデザインを学ぶ学生たちが、フォントやパターンデータにしたんだ。
素敵なフォントがたくさんあるよ!
シブヤフォント(2016年スタート)
渋谷の未来を支える、ソーシャルグッドな次世代サービス。
スタートアップの成長をサポートする、渋谷区と民間企業による組織「Shibuya Startup Deck」など、よりよい暮らしに還元される先進的なサービスやプロダクトをつくるスタートアップを多様な制度で全力でサポートしている渋谷区。事業支援や提携、実証実験など、渋谷区との関係性が深く、アンアン読者のこれからの暮らしを変える可能性を秘めた3つのサービスと実用化までのヒストリーをご紹介します。
バカン・エアーノック
…バカン代表取締役 河野剛進さん
利用者の“優しさ”でトイレの混雑を抑止するサイネージ。
「VACAN AirKnock」は、トイレに設置したセンサーで空間の空き状況を検知し、データをもとに混雑具合を解析。そこで得られた情報を利用者に届けるサービスだ。「自分自身が家族との貴重な時間に、商業施設が混雑していて待つためだけに時間を浪費してしまった経験から、これまで見えなかった場所の混雑状況を可視化することに挑戦しました」。渋谷区では、サイネージを通じて個室にいる利用者にトイレの混み具合などをお知らせできる「VACAN AirKnock」を自治体としてはじめて導入し、トイレの混雑緩和を目指してきた。加えて、トイレ内に設置されたサイネージを通して、広告や施設情報を配信し、新たな情報提供の場を創出している。「今後も活性化が見込まれる渋谷区において、誰もが安心して施設を利用できる優しい都市の実現に協力したいと思います」
チカロ
…ChiCaRo 代表取締役社長 奥 温子さん
子育ての味方を呼び出すアバターロボット。
遠隔から操作をして、子どもを見守ることのできるロボット「チカロ」。料理や家事、仕事のちょっとした時間に利用すれば、遠方にいる家族が代わりに子どもの遊び相手になれる。「『チカロ』は子どもとロボットのコミュニケーションの研究をしている電気通信大学で、育児と仕事を両立している新米ママの声から生まれました。このサービスが、両親のキャリアと子育てが両立しやすい社会の実現につながることを願います」。現在はAIなどのテクノロジーによって子どもの個性に合わせたサポートができる“オーダーメイド育児”の仕組みを研究中。渋谷区でも実証実験の場として、渋谷区子ども発達相談センターや渋谷区立保育園と連携。育児の現場の声を聞くために保育の現場に「チカロ」を導入し、遊び方の実験、記録をしながらよりよいサービスのためのチューニングを続けている。
トゥルーリー
…TRULY CEO 二宮未摩子さん
人に話しにくい更年期の悩みに寄り添うオンライン相談サービス。
女性が抱える課題をテクノロジーで解決するというフェムテックの分野で、特に更年期の課題に寄り添い、悩みに応えるオンライン相談サービス「TRULY」。産婦人科医の宋美玄さんに助言、監修をいただき、“知る、調べる、相談する”という3つのステップで、メディアやセルフチェック、チャット相談のサービスを展開している。「サービス立ち上げの原点には妊娠、出産時に知識がなく、誰にも相談できなかったという自分の経験があります。更年期にまつわるサービスはまだまだ少なく、自分自身もいずれ年齢を重ねていくにあたって、妊娠期に感じたような孤独を感じることがないように、この課題に向き合うことを決めました」。渋谷区では「Shibuya Startup Deck」のサポートをきっかけに「働く女性の健康課題を解決するためにフェムテックを活用する実証実験」を実施した。
MY STORY
笑いあり、涙あり、人の心に刻まれた風景と記憶。私と渋谷物語。
“渋谷”と一口に言っても、時代や地域によって思い描く風景はさまざま。遊び場、仕事場、生活の場、と目的が変われば、目に映るものも百人百様。人生のハイライトをこの地で過ごした渋谷っ子が綴る、「私と渋谷」の記憶。
モデル 長谷川ミラさん
生きやすい社会へと常に進化していく街。
幼少期に渋谷区に住んでいたので、最初の記憶は代々木公園で自転車に初めて乗れるようになったことです。代々木公園は、別の区へ引っ越した後も学校帰りに友達とピクニックをしたり、大人になってからもよく遊びに行く、自分の成長を実感できる思い出深い場所です。渋谷は、特に学生の頃の思い出が詰まっている街。買い物もデートも、友達との集まりも、毎日通学で渋谷駅を使っていたので、かなりお世話になりました。昔から通っていた街だからこそ、近年の再開発を経ての変化を強く感じています。いたる所で開発前の状態を良い意味でキープしていることも分かりますし、雑多に見えつつも一つ一つ丁寧に作り上げられている街だと思います。また、渋谷区はさまざまな人が生きやすくなるように、日本を引っ張ってくれている区というイメージをもっています。例えば、11月から「東京都パートナーシップ宣誓制度」が始まりましたが、その先駆けは渋谷区の同性パートナーシップ証明制度ですよね。渋谷区から東京を変えたということは、日本も引っ張っていく力がある、街やカルチャーだけじゃなく「人」が生きやすくなるように進化していく区なんだなと思います。
プロバスケットボール選手 田中大貴さん
渋谷をホームタウンとして
渋谷には多くの人が集まります。時代を先行し、多種多様な文化を受け入れる日本を代表する街だと感じます。その渋谷をホームタウンとするアルバルク東京というクラブに所属し、活動できることが僕の誇りです。これからも、日本を、そして世界をリードしていく渋谷とともに成長していきたいと思います。
モデル 道端カレンさん
衣食住+αで満喫できる稀有な街。
渋谷区で暮らして二十数年目となりました。いろんなものがあって住みやすいです。渋谷区にないものはないのかもしれません。
個人的にこの街はプールや競技場も豊富なため、趣味のトライアスロンの練習場としてもうってつけです。区内で泳げて走れるのはとても助かります。また、私は二人の息子の母でもあり、この地で育てた長男は今年で18歳を迎えました。夢中で駆け抜けた子育てもそろそろ卒業に差し掛かっています。振り返ると、子どもたちの通った保育園や小学校も素晴らしかった。次男が小学生の頃には、「渋谷区モデル」として全国に先駆けて、児童1人に1台のタブレットが貸与されたんです。日々の学習の中で浮かんだ疑問をすぐに調べられる喜びに目覚めていましたね。ICT教育を推進する一方で、子どもたちがのびのびと遊べる公園も充実しているのも、いい。渋谷駅周辺にある最先端の商業施設に目がいきがちですけれど、子育て世代にとっても暮らしやすい街なんですよ。毎年夏には区主催の盆踊りに参加していました。大人の私も子どもたちと一緒に楽しい夜を過ごせたのも、いい思い出です。
青山学院大学地球社会共生学部教授、陸上競技部監督 原 晋さん
渋谷でパレードが行くよ。
もっとも心に刻まれているのは、「箱根駅伝」3連覇を記念したパレードです。2017年1月7日に私と陸上競技部員はハチ公前広場の特設ステージに上がりました。集まってくださったおよそ1万人の方々を前に総合優勝と3連覇の報告をさせていただいたんです。選手、スタッフ、それから楽隊とスクランブル交差点を渡って渋谷センター街を歩く。「箱根駅伝」のために練習を積み重ねてきた選手たちが、応援してくださるみなさんと優勝の喜びを分かち合えた。“感動を与える人になる”というチームスピリットを見事に体現してくれました。選手にはスポーツ一色ではなくいろんな経験を積む大学生活を送ってほしい。その方が深みのある人間になれる。最先端のトピックスに触れられる青山キャンパスへ通うことで、彼らの感性も磨かれているでしょう。我々には「箱根駅伝」総合優勝という大きな目標がありますが、夢を叶えるためのトレーニング内容は個々に任せています。チームでの話し合いは「誰が言ったか」ではなく「何が正しいか」を基準にしています。「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」と掲げているように、渋谷区は新しい価値観を作る都市でもあると思います。先進的な街を舞台にマラソン大会が実施されたら、おもしろそうですね。青山学院〜宮益坂〜渋谷センター街〜道玄坂〜国立競技場といったルートとか。見どころもたくさんありますし。
Information
渋谷区制施行90周年記念特設サイト「渋谷区のちから。」
マガジンハウス クリエイティブスタジオが手がけた渋谷区政施行90周年記念誌『渋谷区のちから。』特設サイトでは、書店等で配布されている記念誌の電子版を無料ダウンロードできる。ぜひチェックして!