意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「NPT会議決裂」です。

核の危機感を持ち、橋渡しに、本気の姿勢を見せて。

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ウクライナでは、ロシア軍がヨーロッパ最大級のザポリージャ原子力発電所を占拠し、原発を盾に攻撃を強めています。本来、国際法により、原発は攻撃してはいけないと定められているのにもかかわらず、原発のある地域を舞台にした戦闘が続いています。国際原子力機関(IAEA)が現地に入り、誰が攻撃し、何が起きているのか、原発事故が起きないよう策をとっていますが、送電網が遮断されるなど、非常に深刻な事態に陥っています。

8月にはNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議がニューヨークで開かれました。ここでは、核兵器の不拡散だけではなく、現在のウクライナ情勢を背景に、原子力は平和利用のために使うことを盛り込んだ最終合意文書を作ろうとしましたが、ロシアは一貫して、「原発を攻撃していない。ロシアに非があるようなことを盛り込むのであれば、文書に署名できない」と主張。最終的に文書はまとまりませんでした。

前回の検討会議でも、最終合意文書はまとまらず決裂しました。中東の非核化を求め合意を取ろうとしたのですが、土壇場になってアメリカが核保有国のイスラエルに配慮して、合意できないと言い出し否決されました。NPTは2回連続、核を持つ国は大きな脅威であり、保有国にしか交渉力がないことを見せつける結果になりました。

核保有国も非保有国も一致団結しようと昨年、核兵器禁止条約が発効しました。しかし、核保有国は不参加。広島選挙区選出の岸田総理は両者をつなぐ橋渡しをしたいと話していましたが、核兵器禁止条約には参加せず。NPT再検討会議に乗り込んだものの、何か成果を残したわけではありません。

いま、核兵器がいつ使われてもおかしくない緊張が続いていますが、その危機感が日本では共有されていないように思います。今年は、核兵器や原子力の平和利用の大きなターニングポイントとなる年になるはずでした。次のチャンスは、来年のG7。岸田総理の肝入りの企画で、広島で開催されます。核保有国に対し、「核が再び攻撃に使われるようなことがあってはならない」と、粘り強く交渉する姿勢をぜひ世界に打ち出してほしいと思います。

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ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2022年10月12日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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