1、自分の声の高さによって、発声を変える。
声の大小、高低、テンポは、その人の特性やネット環境によって異なるため、最初の音声チェックの際に、ひとりひとり声出しをして、聞き取れるか確認を。「大小はマイクの音量で簡単に変えられますが、高低は地声が大きく関係しているので、高めの人は少し抑え気味に、低めの人は声を通りやすくするためにワントーン上げて話すことを意識するとよいです。テンポは、慣れないとついつい早口になるので、通常より少しゆっくりめに話すことを心がけましょう」
2、大切なことを言う時は、“間”を利用する。
「重要な発言をする時は、強調したい言葉の前でひと呼吸おくと、注目が集まり、相手に伝わりやすくなります」。それ以外にも、間をうまく活用すると、さまざまな効果が得られる。「オンラインで発生しがちな会話かぶりを避けたり、相手に意見を促すタイミングをつくる時にも有効です。また、自分の意見を言い出せない人の本音を引き出す時にも使えます。ダイレクトな質問をした後に、間を与えてみると、相手が思っていることを聞き出しやすくなります」
3、滑舌に自信のない人は日頃から発声練習を。
発声や発音に大きく影響する滑舌。舌や口が滑らかに動くと、聞き取りやすくなり、好印象に直結! 「テレワークで人と話す機会が減り、さらにマスク生活で口を大きく開けて話すことが少なくなったことで、滑舌が悪くなっている人が多くいます。滑舌に関わる顔の筋肉を鍛えるには、日頃から大きく口を開けて、“あいうえお”と発声練習を行いましょう。呼吸も滑舌に影響するので、腹式呼吸を意識すると、一音一音が聞き取りやすくなります」
4、相手に合わせたペースで話す「ペーシング」を。
オンラインでは、ひとりの発言に注目が集まるため、対面より緊張してしまう人が多い。「声のトーンや話すテンポなどを相手に合わせる『ペーシング』というコミュニケーションスキルがあります。自分のペースをつくるのに役立つほか、焦っている人がいたら、発言のテンポに合わせて、うなずいたり質問をしてみて。相手が話しやすくなり、信頼感が生まれます」。自分の話し方だけでなく、聞き上手になれれば、気遣いができる人と思われ、周りと差がつく!
5、抑揚は感情をのせることでつける。
自分の声の大きさや高低、テンポを自由に組み合わせて、抑揚をつけながら話せるようになれば、自己表現の幅が広がる。「強調したい言葉を大きな声や強いイントネーションで言ってみたり、感情を伝えたい時にわざとゆっくりめに話したりすると、人の心を動かしやすくなります。逆に、『ここだけの話なんですけど…』と、急にささやき声で話すのも関心をひく時には効果的。聞き手を飽きさせず、自分の話をじっくり聞かせるためにも、抑揚は欠かせません」
6、語尾が消えないよう、文末のバリエーションをつける。
話しだしたはいいが、最後がうやむやになりがちな人も多い。「自分の思いを最後までしっかり言い切ると、説得力が生まれます。語尾が弱いと自信がなさそうに聞こえ、逆に強すぎると押しつけがましく聞こえて、キツイ印象を与えるので要注意」。さらに文末表現を工夫すると、より伝え上手に! 「『です』だけでなく、『と思います』『いかがでしょうか?』など、文末にバリエーションを持たせると、話にリズムが生まれ、聞き手を魅了しやすくなります」
片桐あいさん 人材育成コンサルタント、産業カウンセラー。『オンラインコミュニケーション35の魔法』『これからのテレワーク』(共に自由国民社)など、著書多数。
※『anan』2021年4月21日号より。イラスト・伊藤ハムスター 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)