意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「国連演説①」です。
各国首脳の国連演説から見えてくる多様な価値観
9月に開かれた第81回国連総会。今期で退任するグテーレス事務総長は改めて、国際法を優先する、人間の尊厳を守るという国際社会の原則を主張。世界情勢が変化した今、アフリカに常任議席のない安保理は正当化できないと改革を訴えたことが象徴的でした。多くの国の首脳が戦争や気候変動、経済格差やAIをテーマに演説しました。「8bitNews」では23か国の首脳の演説を和訳し、記事にしました。なかでも異色だったのはブータンです。トブゲー首相は戦争や政治には触れずに、「今日はセールスマンとして来ています」と語り始めました。ブータンは自然や文化、人間の幸福を守りながら、世界から投資や技術、人材を呼び込む新都市構想「ゲレフ・マインドフルネス・シティ(GMC)」、「AIと瞑想の都市」にすると宣言。世界に参画を求めたのです。
背景にはブータンの若者が仕事を求め海外に流出していることへの危機感があります。若者にとって魅力ある国にするためにも、AIを中心とした研究開発事業の実装拠点として、世界中の人と共に研究を進めたい意向です。
ブータンはいわゆる経済指標ではなく幸福の尺度を導入しています。AI技術の集積地を作りながら、あくまでも人間が幸福になるためという両輪で展開することをアピールしました。
もう一つ、注目したのはナオエロ共和国のアデアン大統領の演説です。「ナウル」という名で知られる、オセアニアにある島国ですが、その名はナオエロをうまく発音できない欧米人が付けたもので、国民のアイデンティティは「Naoero」にあり、世界の人たちにこの名を知ってほしいと語りました。また、ナオエロは国際刑事裁判所(ICC)からの脱退を表明。トランプ大統領が脱退を各国に呼びかけた直後だったので、アメリカに倣うのかと批判もありました。ナオエロは中国との関係も重要視しているため、どちらを向いているのか問われたのです。アデアン大統領は「私たちは中立ではない。独立だ」と訴えました。大国に左右されることなく、小さくても主権のある独立国家と訴えたことは、非常に大きなメッセージだったと思います。
五月女ケイ子解読員から一言

国連での演説を初めて知りました。小さな国の想いやアイデンティティが伝わり感動してしまいました。強い国につくのかつかないのかみたいなことだけで、世界を一括りにしてしまうのは怖いしもったい無い。もっといろんな国の演説を知りたくなりました。
解説員
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堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
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五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。近著に、細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)。
anan 2517号(2026年10月28日発売)より






























